GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第78回】

教育訓練


1.実効性評価
 GMP省令が改正され、教育訓練について、実効性評価を行うことが求められた。教育訓練において行うべき実効性評価について、逐条解説で示された。

27.第19条(教育訓練)関係
(4)第19条第4号関係
① 教育訓練の実効性を定期的に評価し、必要に応じて改善(例えば、教育訓練プログラムの改訂、拡充
  等)を図るとともに、その記録の作成及び保管を要するものであること。
② 教育訓練の実効性に関して、その教育訓練を受けた職員、組織、部門等ごとに業務の種類、内容等に
  応じて、必要な知識並びに技能及び技術の習熟度を踏まえ、その業務を適切に遂行できるかどうか、
  教育訓練の頻度及び内容が適切であるかどうか等を定期的に評価する仕組みが求められる。


 教育訓練に時間が取られ、作業が行う時間が無くなっては意味がない。作業に必要な知識、技能、技術が身につけばよい。担当する作業に間違いを起こすことがなく、品質が保つことできればよい。教育訓練だからと言って、講座を行わなければならないわけではない。
 海外のGMPにおいて、教育訓練は、トレーニングとして示されている。製造や試験検査を間違えなく行う技術として訓練することが求められている。日本の製造業者では、教育訓練として、座学として行い、製造方法や試験検査方法としての知識を学ぶ体制で行うことが多い。
 しかし、海外では、その作業を実技として、教え、身についたことを実技として確認する。知識だけでは、本当のその作業を行えるか判断はできない。実技として行わなければ、知識を活かすことはできない。
 薬科大学で、薬剤師を目指すと、実技の研修の時間が多い。調剤や試験検査として理解したからといって、実技でエラーすることは多い。添加剤の物性を理解だけでは、実技を果たすことはできない。理解したつもりでも、実技でエラーを生じることは多い。実技で、その作業ができることを確認しなければならない。
 施行通知解説でも「その業務を適切に遂行できるかどうか」を確認することが求められている。

 教育訓練の実効性評価は、教育訓練の受講者がその業務を理解し、実行できるようになったことを確認しなければならない。
 しかし、受講者一人ひとりの理解力の判定ではなく、受講者全員が実技に反映できたことを確認する必要がある。時間的にも、実技に無駄を起こさないように、コントロールする必要がある。講義だけでは、理解が難しいものである。テストで、理解できたかを判断するのは難しい。それは、例え、十分理解できたかもしれないが、実技ができないことも多い。それは、個人の能力、得意分野などが異なるためである。各個人の特技を把握し、どのような教育訓練方法が効果あるか見極めることが肝心である。
 教育訓練も誰にどのような講座が一番有効であるかを見極める必要がある。見極めが不十分ならば、時間を無駄にしてしまう。その教育訓練として効果があったことを見極め、不足がないか、非効率な点がなかったか、訓練方法、費やした時間、費用、教育指導者、文面などに不備がなかったかを見極めることが効果判定である。そして、次回の教育訓練をより効果的なものに変更し、効果を一層、増すことが重要である。

 教育訓練の実効性評価として、例えば1年間の受講内容に対してのアンケートを行う。
  ① 2023年度の受けた教育訓練のうち 習得した知識、技能等があることの講座名とその内容
  ② 2023年度に受けた教育訓練で、十分習得できなかった知識、技能等がある講座名とその内容
  ③ 2024年度に受けたい、もしくは行いたい実技等の教育訓練とその内容、実施方法
 このアンケート結果を集計して、次に行うべき教育訓練の計画をすることで、実効性評価と考えてもよい。
 

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