薬機法の本質を踏まえた総責のあるべき姿を考える【第3回】
~品質を「経営の言語」に翻訳する ― 例えば、COPQ(Cost Of Poor Quality)を踏まえたリソース確保~
前回(第2回)は、法改正によって強化された責任役員と総責の「権限と義務」、そして総責が持つ「意見申述権」の重要性について解説しました。
第3回となる今回は、その権利を行使して実際に「人」や「予算」を獲得するための実践的なアプローチを考えます。
例えば、「人が足りないからGQP監査は延期した」という説明は、もはや法律違反に直結しかねません。
必要なリソースを確保するためには、経営陣を納得させるだけの伝え方が必要です。
1.「法律、法令だから」では経営陣は動かない?
総責が経営会議で意見を述べる際、陥りがちな状況があります。
それは、専門家としての「正論」だけをぶつけてしまうことです。
- 経営陣に「響かない」?言葉の例
- 「法律で義務付けられているので予算をください」
- 「法第●条の要件を満たす必要があります」
- 「現場が疲弊していて、このままでは危ないです」
こうした発言を聞いた経営陣は、心の中で「またコストが増える話か…」とシャッターを下ろしかねません。
むしろ経営陣が求めているのは、法律、法令の解説ではなく「事業への影響(特に、投資対効果)」です。
- 経営陣が「動く」言葉の例
- 「〇〇万円の投資で、数十億円の回収リスクをヘッジできます」
- 「出荷停止1ヶ月で失う売上は〇億円です。監査人員の増員はその何分の一の●●のコストです」
- 「このまま放置すれば、行政処分の可能性があり、処分後は出荷などが当分できませんし、回収も必要となる可能性があります。」
2.品質を経営に翻訳する「COPQ(Cost Of Poor Quality)」の活用
経営陣の判断を引き出すために「COPQ(Cost Of Poor Quality:粗悪品質のコスト)」を考えてみると良いと思います。
品質不良が引き起こすコストには、廃棄ロスや再製造コストといった「目に見える損失」だけでなく、市場回収費用、行政処分による出荷停止(機会損失)、そして取引先や医療機関からの信頼喪失(ブランド毀損)といった「目に見えない甚大な損失」が含まれます。
総責として、業界の行政処分の事例などを反面教師として引き合いに出し、「監査人員への人件費=年〇万円」と「出荷停止1ヶ月の機会損失=〇億円」を対比させて提示するのも良いかもしれません。
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