医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第79回】
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「新規導入設備評価システムの重要性」
1.製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。その中で課題を抱えているのは欧米のAuditに対応することです。日本の製薬会社・工場は国内の行政や企業のAuditは既に経験しているので、良いにつけ悪いにつけAuditの進め方を知っています。指摘事項の対策や結果報告も熟知しておられることと思います。それでも、重大な問題を起こして新聞沙汰になっている企業もあります。なぜなのでしょうか? これはグローバルスタンダードが作成出来ていないからではないでしょうか。特に新規導入設備評価システムというプログラムを持っていない日本企業が多い事が挙げられます。どの製薬工場でも生産設備の導入や移管・移転はつきもので日常的に運用を行っている重要な業務です。新工場建設、竣工となると複数の生産設備やユーティリティー設備が導入され稼働する事になります。これがM&Aによる工場移転や閉鎖、生産ラインの移転、その他社内工場間の生産設備移転など様々な理由で生産機械は購入・売却・移転が日々行われています。又、工場も建物としての工場も改修・増築などにより変更が行われています。医薬品の生産数量増や製品の追加変更により新しい生産体制作りを短時間で行う事が求められています。なぜなら、医薬品生産工場は生産計画を達成することで欠品や供給不足を発生させないことが使命となっているからです。これは会社工場の目標や方針に掲げられている工場が多く見かけられます。従って、如何に短時間で立上げ、生産開始出来るかが重要課題となります。これには自社の生産担当者やエンジニアリング、生産計画担当者がプロジェクトを組んで目標達成するところですが、多くの企業では生産機械メーカーの技術者に依存していて自社の社員自らの技術のみで全ての工程を施工する事が出来ません。さて、この現状を製薬企業が経営上の要件を満たし、これらに対応すべく生産開始を計画通り又は遅れを取り戻すべく生産開始前、生産再開前その対象設備のHSE評価としての新規導入設備評価や移管・移転を行い、より安全でリスクの小さい状況を作る為の改善やオペレーション上のリスク低減対策を施した上で本生産を開始することが出来る事があるべき姿です。これには「新規導入設備評価プログラム」のグローバルスタンダードを用いてリスクアセスメントを行い、リスク低減対策を行う事。そして、生産開始や再開をする場合は安心してオペレーターがオペレーション出来るよう、作業前新規導入設備評価結果報告とリスクの大きい作業ポイントやKSEを評価者から引き継ぎ教育を受けてから作業開始する事が重要です。これには生産機械メーカーの技術者など、サプライチェーン関係の方々から教育を受けることなどもあるため、グローバルスタンダードのプログラムが無くては目標達成出来ません。グローバル企業では当然のようにやっていることが、日本国内企業でもグローバル化を図る上ではこのスタンダードを作成し、取り込んだ世界に通用する経営戦略として用いられることが課題であり、あるべき姿です。

2. 国内製薬企業の現状
しかし、国際化・多様化が求められている日本の医薬品工場の現状は、日本国内の行政査察や企業の査察に対応することで事業活動を進めているのが現状でグローバル化を意識していてもこの「新規導入設備評価システム」のグローバルスタンダードを作成することなく、新規導入設備のメーカーとの共同検査をするのみで使用開始されている事例があまりにも多く、残念乍ら、これで良いと判断されているようです。問題は「知らないこと」でこれでは不十分であることをグローバル企業以外は2026年が終わろうとしている今でも知らないようです。なんとか生産活動が出来ていればOKとお考えのようです。
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