ゼロベースからの化粧品の品質管理【第66回】
―GMP管理体制におけるヒューマンエラー対策―
新年度を迎え、多くの企業において社内規則や作業標準書に関する教育が実施されていることと思います。化粧品製造所においても、安全教育に続き、実務に直結する教育として、薬機法やGMPに関する理解が重要なテーマとして取り上げられているのではないでしょうか。
しかし、現場に目を向けてみると、新入社員だけではなくベテランの社員でも色々な場面でミスを発生させています。そして、ミスが発生した際には、「うっかりしていた」、「確認を忘れていた」、「運が悪かった」といったように、個人の注意力の問題として片付けられてしまうケースが少なくありません。また、再発防止策も「再教育をした」、「注意喚起をした」と対策も、“人”と“教育”で止まっているケースを良く目にします。
もちろん、人の不注意が全く関係ないとは言えませんが、実際にはヒューマンエラーの多くは、作業の仕組みや環境、さらには組織の運用方法に起因しています。つまり、「人がミスをした」のではなく、「ミスが起きやすい状態になっていた」と捉えることが重要です。
そこで、今回はISO 22716の考え方を基盤として、ヒューマンエラーの発生要因と具体的な対策を整理し、さらに行動変容を理解する枠組みとしてレヴィンの場の理論を用いて、現場での実践しやすい形での展開について解説します。
1.ISO 22716によるヒューマンエラー防止の基本的な考え方
ISO 22716は、化粧品GMPの国際規格として、「人」「設備」「原材料」「製造」「品質管理」「文書」「逸脱・クレーム」などを体系的に管理する枠組みです。その目的は、安定した品質を確保することであり、そのためには“ヒューマンエラー”をいかに低減するかが重要なテーマとなります。“ヒューマンエラー防止”の観点からは、以下の要求項目に関してGMPでの具体的な展開が必要です。
① 「人員」に関する要求
例えば、新人作業者が秤量工程に配属された場合を考えてみてください。
原料名も似たような名称のものが多くある。荷姿もあまり特徴がなく、更に、同じメーカーのものは化学組成が近いものは名称も、例えば数字が違うだけ、というような環境での作業になります。
そのため、秤量作業は一見単純な作業に見えますが、実際には原料の取り違えや秤量ミスが製品品質に直結する重要工程になっています。
そのため、「手順を教えたから大丈夫」とするのではなく、「なぜこの原料をこの量で秤量するのか」、「間違えるとどのような影響があるのか」まで理解させることが重要です。
但し、この意識も段々慣れが生じ、意識を高めるだけではリスク低減には繋がりません。
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