【第5回】治験に係るベンダーの要件調査

 今回は健康成人試験を専門に受託する施設の要件調査票(チェックリスト)を作成し、施設を訪問してツアーとインタビューを行う際の調査内容について紹介しよう。

健康成人試験専門施設の要件調査票
 
第Ⅰ相臨床試験(フェーズⅠ試験)や生物学的同等性試験(Biological Equivalence Study; BE試験)は健康成人を被験者として行われるのが一般的であり、これらを行う施設は通常の診療行為を行う医療機関ではなく、ほとんどの場合が専門の医療機関で行われる。
 治験は医療法に基づく医業であり、「医業」とは医療行為を反復継続の意思をもって行うこととされている。この医療行為とは、いわゆる治療行為だけではなく、医師の管理・指示の下で行うべき行為、例えば、問診や投薬、採血や各種検査なども医療行為に含まれると解されている。この医療行為を行う施設が一般的に医療機関と呼ばれ、医療法第1条の5で「病院は20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの」であり、「診療所は患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの」と定義されている。さらにこれらの施設は「傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない」と定められている。

 フェーズI試験やBE試験は24~36人程度の健康成人を対象に試験を行うことが多い。この場合に診療所で試験を行うと、GCP実地調査で「病床数が19床で登録されているが24例を同時に入院させることは問題である」という指摘を受けることがある。治験は医療法に基づく医業であると書いたが、この医療法の定義を見ると、あくまでも傷病者(患者)を入院させる施設が定義されており、健康成人を収容して医療行為を行う施設については触れていない。したがって、規制当局も口頭で指摘するものの文書で「改善すべき事項」となることはないようだ。

 しかし、健康成人を被験者とする試験施設であっても、通常の治験の実施医療機関と同様の要件が求められることから、健康成人試験専門施設の調査には、実施医療機関の要件と治験審査委員会の要件を調査することになる。それに加え、健康成人試験の専門施設特有の調査内容が要件調査票(チェックリスト)になる(図1)。
 来院患者や入院患者が被験者となる通常の治験とは異なり、健康成人を被験者とするフェーズI試験やBE試験の場合は、健康成人を募集しこれに応募してきた人が被験者となる。このような被験者を治験ボランティアと呼ぶ。治験が具体的に計画されてからボランティアを募集することもあるが、基本的には多くのボランティアのリストの中から、年齢層や人種などをもとにして被験者になっていただく。
 このリストのことをパネル(Volunteer Data Base)呼んでいる。このボランティアの募集方法やパネルの内容を確認することが重要となる。なお、ボランティアやパネルに関しては試験施設が独自に行わずに、専門の募集業者を介していることがある。

 

 

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