理系人材のための美術館のススメ【第13回】

第13回「お散歩注意報発令中」


 美術館にあまり足を運ばない方向け、「理系業界に美術館のご利用をプッシュしてみよう」という本コラム。

 先月の掲載が一回飛びましたが、これは明らかに私自身がお散歩モードではなかったためで、いかに「忙しい時ほど頭を一回リセットよ!」…などと言っても限度があります。地球において一日は24時間であり、私は15の時からいつか1日が36時間にならないかと機会がある都度ずっと願っていますが、未だ叶いません。悪魔とかランプの魔神とかが出てきたら、魂をかけて絶対にこのお願いをすると決めているのに、出てきてくれない。うぬ。
 その限られた時間の中で、普段の私が一生懸命ぱたぱたと走って詰めて、可能な限り効率的にお仕事を回そうとするのは何故かというなら、単に確保できた時間を全力で遊ぶためです。よーしここなにも気にしないでお休みー!新美行こー!…とすることもできますが、万一仕事を詰めすぎてトラブルが生じた場合にはバッファとしても機能するため、大失敗に至らずリカバリできます。これは全力休みにはなりませんが、まあ舌打ちくらいで済む。そして「もう一回頑張って詰めて仕事しようね?」と自分をだまして、次に来る休みを夢見るわけですよ(自己欺瞞)。
 …のですが、コロナ罹患はそうはいかないな!? いつ陰性になるんだこれと慌てながら過ぎていく24時間を無為に見送り、「会議全部オンライン切り替えでお願いします!」「うわーんリスケー」「オンラインなのに声が出ないー」…とかやっている間に、開催期間終了が迫っていた展覧会は、次々に私をおいて終わってしまったのでした。ああ、美術館がコロナ休業中だった間、私はあんなに待ってたのに…。
散歩してないのに散歩の話できるもんか!

 そんなわけで、改めて「勤労者のスケジュールが一週間ずれる」という事象の恐ろしさを噛み締めたわけですが、はたと気づけば梅雨も明け夏真っ盛り。その中で私は思いました。いや、きっと誰もが気づいている。もはやこれは散歩の季節ではない。散歩で命を危険に晒してはいけません。
 でも悔しいので今回はふわっと、こんな中でもちょっとかいくぐれる美術館と、小技をご紹介しておきます。

【展覧会の切り替え時+α】
 6月から7月というのは、わりとどこの美術館も展覧会を切り替える時期となります。やはり夏休み前、お子様とご一緒できる内容にしたり、ちょっと大型の企画を組んでみたりと、一斉にやってくれます。同時に、5月の大型連休にあてていた企画を刷新する意味もありますね。
 でもこれ混むのですよ? どこもわりと力を入れて来るし、大学なんかは夏休みに入ったせいもあり、通りすがりの美術館前にうっかり行列を見たりします。
 一度ここでご紹介している国立近代美術館は、現在「ガウディとサグラダファミリア」展を開催中。楽しそうですね、でも先週末は天気相まってすごいことになっていました。命を大事にしたいところです。美術館に行く心構えは夏フェスほどじゃない。
 しかも美術館・博物館というのは、実は海外からの旅行者の方の比率がなかなかに高いのです。本邦の観光客数ががんがんあがっている昨今ですから、混雑にはさらに拍車がかかります。入館しても満足にふらふらできないのであれば、散歩の意味はありません。

 まあもともと夏というのはいろんなイベントごとがあって、基本この現象はどこでも変わらず、暑くてキツくて混んでいるんですけどね! どこも行きたくないよーと体がバテるのも当然ですが、そのまま冷房の中にいるとさらに怠さは溜まっていく。
 こうなったら駅から一度も、一歩たりとも表に出ないで行ける美術館を探せば良いのでは!?…と相成りました。展示を合わせてご紹介しておくので参考になさってください。しかしご自宅から最寄り駅までの間は我慢です(ええ…)。
 

 

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