医薬品品質保証こぼれ話【第46回】

医薬品産業ビジョンへの期待

8月末(2021年)、厚生労働省は「医薬品産業ビジョン2021(案)」(以下、「本ビジョン」)を発表しました。副題として、“医療と経済の発展を両立させ、 安全安心な暮らしを実現する医薬品産業政策へ”の記載が見られます。この副題が示すように、本ビジョンは医療と経済の発展を両立させ、国民の安全安心な暮らしを実現するために、今後、医薬品産業が推進すべき重要な事柄をとりまとめたものであり、我々国民にとっても大変重要な意味を持つものと考えられます。この目的を達成するために、本ビジョンの「Ⅱ、各政策領域における基本的な認識と課題」の項において、重要な政策領域として「ⅰ.革新的創薬、ⅱ.後発医薬品、ⅲ.医薬品流通、ⅳ.経済安全保障」の4つを取り上げ、これらについて現状の基本的な認識と課題について詳細が述べられ、合わせて今後取り組むべき方向性が示されています。現在、“後発医薬品の品質確保と安定供給”が問題視されていますが、これに関しては、この「ⅱ.後発医薬品」の項において取りまとめられています。「ⅱ.後発医薬品」の項は、“後発医薬品の品質確保と安定供給”、“医薬品の情報提供の促進”、“後発医薬品製造販売業者等の在り方”、“後発医薬品の海外展開等”、および、“バイオシミラー産業の育成”の5項目から構成され、それぞれに、経緯、現状認識と課題、および今後のあるべき姿とその実現の要件などが示されています。

後発医薬品の品質確保と安定供給”の項に記載されている内容を要約すると、概ね次のようになるでしょう。“後発医薬品の使用量の増加に伴い、医療における後発医薬品の重要性が増していることから、後発医薬品を製造・販売する企業は、その品質と安定供給への責任を強く認識する必要があり、価格に加えて、品質と安定供給の確保の状況を的確に把握し、常に、医療現場や患者に示すことができる体制を整備するなど、信頼され選択される後発医薬品とするために一層の努力が必要である。”また、“後発医薬品製造販売業者等の在り方”の項の記載も主旨を理解し要約すると、概略、次のようになるかと思います。“一部の後発医薬品企業の違法製造とそれに伴う業務停止などにより後発医薬品の品質と安定供給への不信・不安が高まっており、これらの信頼回復は業界・行政の喫緊の課題である。製造販売業者は医薬品の品質と安定供給について最終責任を負う主体であり、委託先製造所(自社他社に拘わらず)の実態を把握し、GQP省令の下に適切に医薬品が製造されていることを管理監督する義務がある。よって、製造委託先の管理監督が的確に行える企業のみが製造販売業者となるべきである。一方、製造業者については、製造販売業者の管理監督の下、GMP省令を遵守し、的確に製造管理・品質管理を行える企業のみが製造業者となるべきである。

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