経歴
大阪大学 大学院工学研究科 講師。 1997年群馬大学大学院工学研究科博士後期課程を中退。国立循環器病センター研究所生体工学部にて生体適合性材料の研究を行った後、株式会社東海メディカルプロダクツにて循環器用カテーテルの開発および製造に関わる。2004年より株式会社セルシードにて再生医療に係る開発および品質保証を担当し、臨床用細胞加工物の工程設計や細胞培養加工施設の設計と運用を実施。東京女子医科大学での細胞シート製造装置開発を経て、2014年より現職。細胞製造システムの開発に従事。工学研究科の細胞製造コトづくり拠点において、細胞製造コトづくり講座(社会人教育)および標準化・規制対応に関わる共同研究を担当。
2020/02/07 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第10回】
はじめに 再生医療等製品の製造における上流工程とは、細胞の単離、細胞の増幅(複製)あるいは分化誘導などの細胞を加工する操作を実施し、必要な数の目的細胞を無菌かつ製品規格内で、再現性よく調製する工程群を意図しています。一般的な医薬品製造では、上流工程の主たるリスクは不純物であり、製造方法や工程の手順は
2020/01/10 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第9回】
はじめに 今回も、前回に引き続き、安定して製品を製造するため、工程を適切に実施する上で必要な補助(サブ)工程についての雑感をお話しします。前回は細胞加工工程の導入形態について考えることでしたが、今回は、各工程操作の終了後における無菌操作環境の維持要件について議論します。 本議論は、無菌操作等区域およ
2019/12/06 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第8回】
はじめに ここまでに、工程設計を行うための準備として、製造に用いる原料等および工程資材の品質確保について説明しました(第3回,第4回)。次に、工程設計において、細胞を製品としてきちんと製造できることを解説し(第5回)、工程設計に不可欠な製造の再現性を確保するために必要な、細胞製造性に基づく重要工程パ
2019/11/01 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第7回】
はじめに 今回は、製造の再現性に関わる機械化についての雑感をお話しします。機械化と自動化については、以前、「細胞製品の品質確保のための要求事項」(第8回:工程の機械化と自動化)にて述べていますので、本稿では、品質保証の立場で機械化について関与できること、および、AMED事業「再生医療の産業化に向けた
2019/10/11 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第6回】
はじめに 今回からは具体的な製造工程手順の構築についてお話しをします。本稿では、工程の定義、および、製造再現性に関わる重要な操作および動作(重要工程パラメータ, CPP)の決定に向けて、細胞を製品とする上での課題について雑感を述べさせていただきます。 ● あらためて工程について定義する これまで、工
2019/09/13 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第5回】
はじめに 前回までは原材料等や工程資材について雑感を述べてきましたので、今後では工程設計についてお話ししたいと思います。ただその前に、本稿では、一般的なGMP適合確認に向けた活動と、再生医療等製品のGCTP適合体制構築に向けた活動におけるギャップについてお話しをします。内容としては、第2回のお話しと
2019/08/09 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第4回】
はじめに 再生医療等製品の製造では、培地や添加因子などの「細胞以外の原料」、最終製品に含まれない重要試薬である「アンシラリマテリアル(製造補助剤)」、および製品に直接接触する培養容器などの「工程資材」は、いずれも細胞の育成において重要な環境であり製造の再現性において大切な要素です。前回では細胞以外の
2019/07/12 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第3回】
はじめに 細胞を成育させる再生医療等製品の製造では、製品品質の構築において、細胞以外の原料としての培養培地や添加因子(基質や成長因子等)はとても重要な構成要素です。本稿では細胞以外の原料と製品品質保証の相関について概要と雑感を述べさせていただきます。 ● 培養培地の品質に対する考え方 培地(培養培地
2019/06/14 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第2回】
はじめに 本稿では再生医療等製品の品質保証に関わる情報について、どの時点から留意すべきかについてお話しします。品質保証において製品開発から治験までにどのような情報を製品開発者と共有すべきか、情報が十分でないことで品質マネジメントシステムにどのような影響が生じるのかについての雑感となります。 ● 製品
2019/05/17 AD 再生医療
再生医療等製品の品質保証についての雑感【第1回】
はじめに 再生医療・細胞治療のための細胞製品(再生医療等製品・特定細胞加工物)の製造では、生きた細胞を製品とするため、製品開発、治験計画、製造工程設計あるいは構造設備設計など、これまでとは異なる考え方が要求される場合が生じます。筆者は、過去の役職(企業)において品質保証部門の担当を任じられ、拙いなが