【第49回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、“変革推進、品質は儲かる”

改善テーマを見つける 価値流れマップ Value Stream Map(その2)

【どのように改善(プロジェクト)テーマ見つけるのか】
 改善テーマがトップダウンで降りてくる場合と、ボトムアップで検討し、それを部門やマネージャーが承認する場合があると述べました。昨今、会社の重要施策として行われる新製品・サービス開発などのトップダウン施策以外は、ボトムアップ&承認型が多いようです。ボトムアップが好まれる時代ですが、ボトムアップといって、現場から積極的に意見やアイデアは出てくるのでしょうか。職場や業務への不満や不安の声は出てくると想像できます。個人的興味や意見は出てきそうですが、会社が欲しいのは業務に有益な意見やアイデアです。会社の企業理念に合致していて、カスタマー目線で喜ばれるものです。長期ではなく、比較的短期に実現できる価値あるものです。
 私の経験では、それを簡単に、直ぐに見つけることは難しいです。過去に職場改善に取り組み、ワークショップなどで意見やアイデア出しのブレインストーミングを毎年やってきました。ただそれが一度だけだと、有効な改善策に繋がりませんでした。毎年や年に数回行うと、参加者も慣れてきて、良いアイデアや意見が出てくるようになりました。
 ボトムアップ&承認型では通常、マネージャーはそこまで高度で有益な意見やアイデアを求めてはいない。マネージャーはできるかどうか分からないけど、業務で気づいたこと、何かアイデアはないだろうかと聞いているのです、と書きました。何か理想的な取り組み、素晴らしいアウトプットの改善プロジェクトを目指すのではなく、まずは多くのアイデアや意見出しが大切です。理想を高く持つことは大切ですが、ステップバイステップと持続させることです。

【夢なき者に成功なし。(吉田松陰)・・・少し余談】
私は毎年、新年に手帳を更新しています。PCでスケジュール管理をしますが、どこでも開ける小型の手帳が好きです。手帳にはスケジュールのほかに、簡単な日記やメモ、その年にやりたいこと、その年に読んだ本や見た映画、大切にしたい事柄、元気が出る言葉・名言などを書いています。「理想」という言葉で、思い出した吉田松陰の名言があります。少し本題から外れますが、紹介させてください。みなさんもご存知かと思いますが、次の言葉です。

  夢なき者に理想なし、

  理想なき者に計画なし、

  計画なき者に実行なし、

  実行なき者に成功なし。

  故に、

  夢なき者に成功なし。    吉田松陰

 夢を持っていれば成功するわけではありませんが、世の中、夢・理想・明確な目標を持った人が成功しています。この名言は心に深く沁みました。日本は失われた30年とか、GDP(国内総生産)は中国抜かれ、ドイツに抜かれ第4位に、急激な円安、今後も少子高齢化でどんどん厳しい社会になると言われています(マスコミがそう言っています)。吉田松陰が生きた幕末、尊皇攘夷が吹き荒れ、国をどのように外国から守るか、人々はあれこれ模索しました。明治維新では富国強兵が国家の目標でした。太平洋戦争後はゼロからの復興で、アメリカに追いつけと、できることは何でもやり、上を目指しました。結果、世界第二位の経済大国となり、人々は裕福になりました。
 日本国内でも解決すべき社会問題はいろいろ存在します。1990年代のバブル崩壊後、日本の次なる夢・理想・目標は何なのでしょうか。吉田松陰の名言や、渋沢栄一の「論語と算盤」などは今一度読んでみると、時代の転機をいかに生きるか、先人たちの知恵を学ぶことができます。時代を超え普遍的な内容でもあるので、本棚に置いて、たまに見返すと改めての気づきや元気をもらえます。
 また、ここで論じるには大きすぎるテーマですが、内閣府のホームページ(https://www5.cao.go.jp/j-j/keikaku/keishin2-j-j.html)にはその1つの方向性が示唆されています。他にもいろいろな政府方針、指針が公開されていて勉強になります。ただこれは夢や理想から出たものではなく、現状課題からのボトムアップの目標・プランに見えます。例えば、「今の日本に必要なグローバリゼーションの進展」、「高次な成熟経済社会への転換」、「少子・高齢化への移行、情報通信の高度化」、これらに対応する基盤整備と従来の構造改革の必要性はその通りです。逆に内閣府が夢や理想だけを示したら、大いに叩かれるでしょう。夢や理想は個人が持ち、語ることが肝要なのでしょう。「サッカーワールドカップで日本が優勝する」のようなスポーツの世界での夢、理想の話は大いに支持したいものです。

 

 

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