ラボの業務効率化とデータインテグリティ対応強化の両立を実現させるために~LIMS導入のメリットや課題を探る~

記事投稿:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
 

ラボの業務効率化とデータインテグリティ対応強化の両立を実現させるために 
~LIMS導入のメリットや課題を探る~



 昨今、改正GMP省令にデータインテグリティ(DI)関連の要件が盛り込まれたことや、GMP違反などの不正製造事案が相次ぐなど規制対応の必要性が増している背景が重なり、製薬業界でラボ情報管理システム(LIMS)を導入する企業が増えている。LIMSの特長や導入におけるメリットは、どのようなものがあるのだろうか。


データ一元管理によるラボ業務の効率化
 LIMSとは、ラボの中のあらゆる情報/データやワークフローを一元管理するシステムだ。LIMSによって、ラボで使用する分析装置からのデータや、出荷試験実施のための検査ロットの情報などを紐づけて管理することができる。特に、試験依頼からサンプル受領、前処理、計測、報告書作成までの一連の業務フローと、そこで得られるデータや業務要件の仕組みを紐づけることで、業務効率化がサポートされる。

      LIMSの流れイメージ図 

 ラボで使用される装置は多様で、そこに紐づく端末もばらばらだが、これらを統合的に一元管理できることもLIMSの大きな特徴のひとつである。



海外・国内におけるLIMS導入企業の増加
 
LIMSの導入が欧米で特に進んでいるのは、一元管理による業務効率化というのが理由の1つにあげられる。ただ国内で導入企業が増加しているのは、信頼性向上や規制対応強化のため、という背景も大きい。

 製薬業界では2016~17年頃からDIの不備が問題視され、GMP査察での指摘が増加するとともに、各国でガイドラインが整備され、ALCOA+への適合などが求められるようになった。また国内ではデータ偽装や改ざんによる不正製造事案も頻発しており、LIMSの大きな特徴である「データを一元管理できる」という強みを活かし、データ偽装や改ざんなどの不正が起こる機会をシステム的に排除し、査察などに対応するという意味でも、製薬企業での導入が増えている。

サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)片山翔太


LIMS導入のメリット:効率化から、ビジネス戦略上の武器として
 また、業務効率化、つまり信頼性を確保したうえで作業を短時間に遂行できれば、その時間をデータ解析やトレンド分析などに振り分けることができる。日々の業務負担を減らすことでデータ解析に時間を多く費やせるのは、生産や品質管理のラボはもちろん、膨大なデータを扱って開発確度の向上を狙うR&D部門でも重宝されている特長である。

 また“規制対応強化”に関しても、データや業務の信頼性が確保されれば、製薬企業にとっては当局からの査察対応やDI対策の充実につながる。また受託機関や原薬メーカーから見ると、より信頼性の高いサービスを顧客に提供できることで、ビジネス戦略上の武器にもなりうる。導入にあたっては初期投資や要件定義など一定の期間も必要にもなるが、LIMS導入により自社のビジネスレベルを対外的にアピールするという、自社の付加価値向上という目的でも、LIMS導入を攻めの投資として捉えることもできるだろう。
 

サーモフィッシャーサイエンティフィックが提供するLIMS
 サーモフィッシャーサイエンティフィックは、これまでグローバルで長くLIMSを提供してきた実績をもち、ノウハウを積み重ねている。同社は約40年前からLIMSを提供し、時代に合わせて機能を拡充してきた。約40年前の提供開始から、市場ニーズや新たな規制要件などにキャッチアップして改良を重ねている。また、製薬関連では98年時点で21 CFR Part 11対応を行い、近年では実務的にニーズの高いLESも提供するなどサービスを強化した。

Thermo Scientific™ SampleManager™ LIMSソフトウエアの歴史

 LESとはラボ実行システムのことで、分析者が試験法の各ステップを順に実行することをサポート・管理するものだ。サーモフィッシャーが提供しているLIMS、Thermo Scientific™ SampleManager™ LIMSソフトウエアを構成する機能のひとつでもある。

 例えば下画面の例では、左側にステップを設け、各ステップの指示が右上に画像と共に表示される。また下に、何をどのくらい測り取るか、など詳細な作業手順の情報をマスターとして登録することができる。

LES(ラボ実行システム)の画面サンプル

 また、下の画像のように、手順から逸脱した作業を行った場合は、エラーが表示されるため、実際に作業する人は、このマスターに沿って手順を行い、その結果を、実施の履歴として残すことができるという機能だ。これによってSOP遵守が保証されるとともに記録が残り、DI対応という意味でも業務の信頼性を高めることが可能になる。

LES(ラボ実行システム)の画面サンプル

 海外で古くから積み重ねてきたノウハウを基に、常に機能向上を図れるのは同社独自の強みで、国内のみならず今後海外展開を考えるユーザー企業にとっても、その実績は信頼の裏付けになる。


国内でのサポート体制
 また同社は国内でのLIMS需要増加に応え、これまで数十社に導入した実績をもつが、今後も継続的にユーザーを支援すべく、20名以上の国内スタッフによる構築・導入のサポート体制も整えている。
業務効率化と規制対応強化という2つの大きなメリットがあるLIMSだが、導入検討にあたっては、グローバルでの実績やノウハウを活用でき、国内にもサポート体制があるという安心感も、検討要素の1つとなるだろう。

サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
デジタルサイエンス              
マネージャー アカウントマネジメント 片山翔太

 

【問い合わせ先】
 サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
 〒221-0022 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3-9 
 E-mail:support.jp@thermofisher.com 
 URL:https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/digital-solutions/lab-informatics/lab-information-management-systems-lims.html

 

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます