基礎からのGPSP【第15回】

 

~製造販売後臨床試験の実施~

 
はじめに
 製造販売後臨床試験は、治験から継続的に実施される臨床試験、早期承認制度に伴う承認条件としての臨床試験、その他承認時までに得られなかった有効性や安全性に関する情報を検証するための臨床試験、製造販売後に新たに得られた情報を必要に応じ検証するための臨床試験と、様々な理由で実施が求められる。いずれの場合も、GCP及び臨床試験の実施手順を十分に理解し、如何に実施部門(多くの場合臨床開発部門に依頼したり、CROに委託したりする)と連携して、試験全体をGPSPの手順に則り管理し、計画的に推進していくかを明確にすることが重要である。そして、最終的に、適正使用推進の情報として作り上げていくことが求められている。
 
1. 実施準備
 製造販売後臨床試験(以後、試験)はGCP遵守にて実施する必要がある。このために、一般的な(GVP及びGPSPの教育を受けている)医薬情報担当者による試験の実施は不可能であることから、如何に準備を開始し、適正かつ円滑な試験の推進への道筋をつけるかが重要である。
医薬品リスク管理計画書に従い、試験を開始するにあたり、
 第一に、
  • 実施体制の確立
  • 実施計画の策定
 に努め、次いで
  • 実施部門との連携方法
  • 進捗管理報告方法
 そして、最終的に結果報告(必要に応じて、中間報告)並びに資料管理についてもその概略を取り決めたうえで、社内合意事項として実施計画を策定できるよう、事前に準備を整えておかなければならない。

 

2. 実施体制の確立
 製造販売後に臨床試験として実施することにより収集しなければならない情報の主なものは、
  • 腎機能障害を有する患者等特別な背景を有する患者での適正な使用方法を確立するための試験
   (例:腎機能障害患者における体内動態に関する試験)
  • 長期使用による延命効果,QOLの改善等について薬剤疫学的手法により検証するための試験
  • 新医薬品の臨床評価ガイドライン等に基づいて有効性及び安全性を検証するための試験
  • 有効性又は安全性に影響を与えると考えられる要因が見出された場合に、その要因が実際に
   有効性又は安全性に影響していることを検証するための試験
  • 治験参加患者への治験薬継続提供に関わる試験
 などがあげられる。
 承認時の不足情報を充足するためや、有効性の検証が不十分(例数等が不足、評価基準が新たに設定されたなどの理由で)で、これを充足するためなどに、多くの場合、承認条件としてその実施が必要となる。また、製造販売後に臨床評価ガイドラインが設定されたり、他の調査等より検出された情報を検証するために再審査期間中に新たにその実施が必要となり、追加で計画される。

 前者の場合は、開発関連部門並びに製造販売後調査管理部門が承認取得に向け全社的合意のもと検討を継続しているため社内体制の構築は比較的簡単にでき、実施部門の選定や管理体制が整う。しかしながら、後者の場合は管理部門から製造販売業者にその実施の必要性や、開発関連部門への協力指示の発出を述べなければならない。そして体制構築までに若干の時間を要することを考慮し、管理責任者は事前の対応を意識しなければならない。
 
 

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