2018.09.21.FRI

品質システム(PQS)

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第13回】

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執筆者:中川原 愼也

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第12回】

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理

CAPAとリスクマネジメント

1.教育訓練の徹底
 例えば、逸脱、特にヒューマンエラーでその再発防止策として「教育訓練の徹底」としていないだろうか。神奈川県庁薬務課に在籍していた時、回収等の違反で、その報告書に「教育訓練の徹底」と記載されるケースを目にした。しかし、「教育訓練の徹底」では、是正措置になっていないと受け取らないこともあった。まず、考えてもらいたいのは、その逸脱が起きた原因は何かをきちんと原因究明することである。その原因が不明だとしても、推測でもよい。本当に、教育訓練が不足していたのか考えなくてはならない。教育訓練が原因だと判断するなら、その教育の内容を作業者が理解したかの評価はどうであったか確認したであろうか。教育訓練の理解度評価が適切に行われた記録が必要である。また、その教育訓練の時間は十分であったか。教育訓練の方法が手順書の読み聞かせだけで、OJTとして教育をしていないのか。教育訓練の内容について確認した上で、教育訓練の理解度評価はどうであったのか確認しなければならない。アンケートのみか。テストを行ったか。OJTとして実作業を見て評価したか。教育訓練が不足していたかの確認だけでもこれだけ考えられる。特性要因図から考えて、他に原因となる点はなかったか。SOPは読みにくい点がなかったか。手順書はどこに保存して、作業時にSOPは確認できる状態になっていたか。SOPと製造指図書に齟齬がないか。作業者はどちらを見て作業をしているかを確認しなくてはならない。また、製造環境はどのようになっていたか。5S活動がされ、作業がしやすい環境か。設備のメンテナンスがされていたか。設備のSOPは、読みやすくなっていたか。その是正措置を実施する前に、原因究明に問題がなかったかを確認してほしい。「教育訓練の徹底」では、是正措置とはならない。そして、その教育訓練の効果があり、作業者にスキルが身についたかを確認することが必要である。
 
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 教育訓練をPDCAサイクルで運用する時、Check(評価)を教育訓練対象者の評価だけにしてはならない。Check(評価)は、その教育そのものが有効であることを確認しなければならない。もし、教育訓練を受けた者の半数以上が理解できないならば、その教育方法自体を見直し、改善しなくてはならない。また、是正措置としての教育訓練を実施後、その逸脱が再発するようなことがあれば、教育訓練は有効なものではなかったと判断すべきである。是正措置として教育訓練を実施する時は、CAPAの有効性確認として、教育訓練対象者がその逸脱等の行為を再発しないかを確認することが重要である。
GMP事例集のGMP0-12で述べられているように、「CAPAが品質リスクマネジメントの一つではなく、CAPAを含めた品質システムの活動の中でこれらのプロセスを活用するべきである。」CAPAを実施するうえで、リスクマネジメントの考えを踏まえ、行う必要がある。では、どのように、リスクマネジメントの考えを取り入れるべきかを考える。
 
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<典型的な品質リスクマネジメントの概要1
 
 CAPAの処理をリスクマネジメントにおいて考える場合、原因究明はリスク分析となる。特性要因図などを用いて、原因を調査する。その原因究明した結果、必要な是正措置がリスクマネジメントにおける低減策であり、逸脱等のランク付けにもなる。逸脱の発生時にランク付けがされているが、さらに是正措置により、再発防止策が有効であることを検討し、最終的なレビューをすることになる。

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中川原 愼也

中川原 愼也

高田製薬株式会社生産本部品質統括部門品質統括部長
1984年神奈川県庁に入庁し、1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍した。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)の締結の際のEUの調査、2005年の製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職し、医薬品原薬輸入商社であるコーア商事株式会社で、品質保証部長として国内管理人としてのGQP取決め及び医薬品製造業としての GMP管理を統括した。2015年から株式会社ファーマプランニングにて、GxPコンサルタント業務に携わり、2017年高田製薬株式会社に入社、4月より同大宮工場製造管理者に就任。