2018.08.24.FRI

その他レギュレーション関連

医療分野でのベトナム進出に関する法規制及び新薬事法細則のポイント【第4回】

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執筆者:石川 賢吾

医療分野でのベトナム進出に関する法規制及び新薬事法細則のポイント【第3回】

医療分野でのベトナム進出に関する法規制及び新薬事法細則のポイント

【第4回】新薬事法細則(Decree 54/2017/ND-CP)のポイント


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 前回は、新薬事法細則(Decree 54/2017/ND-CP)のポイントのうち、外資による医薬品輸入業での進出について検討しました。
 今回は、日本からベトナムへの医薬品輸出に関する新薬事法上の改正のポイント、外資のベトナム駐在員事務所におけるMRの雇用の可否、その他の新薬事法細則による実務への影響等について解説します。
 
1 ベトナムへの医薬品輸出に関する改正のポイント
 日本を含むベトナム国外で製造された医薬品をベトナムに輸出する場合、従前は、Circular 17/2001/TT-BYT(Circular 17)が適用されました。
 Circular 17は、医薬品の輸出者に対して、医薬品事業活動登録を行うことを義務付けており、医薬品事業活動登録にあたっては、1)輸出国において適法に設立され医薬品の製造又は販売を行う法人であること、2)ベトナムの医薬品輸入業者との間で輸出入契約を締結していること、3)輸出国において医薬品の製造又は販売につき3年以上の実績を有することなどが要件とされていました(Circular 17第5条)。
 新薬事法の下では、Circular 17に代わってDecree 54第91条15項が適用されます。Decree 54第91条15項は、上記の医薬品事業活動登録という手続を規定しておらず、その代わりに、ベトナム国内の医薬品輸入業者と輸出入契約を締結できる主体を、1)医薬品の製造業者、2)輸出国における医薬品の製造販売承認の取得者、3)ベトナムにおける医薬品登録の申請者又は4)ベトナムにおける医薬品輸入業許可等の取得者に限定しています。
 
 当該改正について、医薬品事業活動登録制度の撤廃により、輸出国における3年以上の製造又は販売実績という要件が撤廃されている点は外資に対する規制緩和と捉えることができます。
 他方で、Decree 54の上記規定をふまえると、医薬品の製造業者又は製造販売承認の取得者に該当しない医薬品卸売企業は、ベトナムにおける医薬品登録の申請者となるか 1) 医薬品輸入業者としての許可を取得しない限り、ベトナムに医薬品を輸出できないことになると考えられます。Decree 54の施行により、医薬品卸売企業によるベトナムへの医薬品輸出事業が制限される結果となったと解される点に留意する必要があります。
 
 
1) ベトナムにおける医薬品登録の申請者となるためには、新薬事法第54条3項に基づき、当該申請者が医薬品販売事業を行っていること及びベトナムに駐在員事務所を設立していることが要求されます。したがって、医薬品卸売企業であっても、ベトナムに駐在員事務所を設立し、当該駐在員事務所をもって当該医薬品に係る医薬品登録を申請することにより、ベトナムへの医薬品輸出が可能となると考えられます。

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石川 賢吾

石川 賢吾

弁護士(東京丸の内法律事務所)。2007年一橋大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2015年米国ジョージタウン大学ロースクール卒業。同年ニューヨーク州司法試験合格。2015年~2016年ZICO Law法律事務所ホーチミンオフィスに勤務し、日系企業のベトナム進出案件に従事。2016年9月より東京丸の内法律事務所に復帰。