2018.08.17.FRI

品質システム(PQS)

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第12回】

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執筆者:中川原 愼也

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第11回】

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理

作業者意識

1.不平不満
 GMPの現場だけでなく、いろいろな職場において不平不満はあると思う。その不平不満をただの文句と片付けていないだろうか。実際の作業でやり難さなどがあるはずである。実は、そこにヒューマンエラーなどの逸脱やヒヤリハットの要素を含んでいることは多い。従事者がそこに問題意識を持ち、そのやり難い状況を改善する意欲まではないが、まず、気が付くことが必要である。手順書が分かりにくい、記録が多すぎる、器具の保管場所が遠い、連絡が遅い等々、きっと、数多くあることと思う。実際の作業において、もし、何もなく、作業者の不平不満もなく、逸脱0の製造所があるならば、多分、稼働率も低い、製造数量も少ない施設であろう。100%の人が満足することはない。些細なことでもいいので、不平不満をマネージャーは聞き留めることが必要である。
 
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 第1回で、ハインリッヒの法則1を述べたが、ヒヤリハットの集計をするは大変である。ヒヤリハットは逸脱でもなく、CAPAまでする必要はないだろう。作業者自身から不平不満という問題意識を持ってもらうことにより、業務改善に結びつけることが必要である。QA業務における不満は、連絡等の情報不足のことが多い。逸脱や変更管理で、現場からの回答が遅いなどはよく聞くことである。結局、コミュニケーション不足である。情報共有のために、定期的な会議をすることも多いが、定期的な会議では、情報が遅くなる。また、いろいろな問題を取り上げることとなり、結局、会議で、結論やその方向性を決定できないことが多くなる。もし、ミーティングを行うなら、その関連する部署や人を限定し、他人ごとにならないように会議を進める必要がある。その上で、その事態の解決方法や方向性(私はよく「落としどころ」と言っている)を見出すことになる。CAPAの予防措置として、横展開を行うことも重要だが、単なる情報の共有化ではなく、各部署が自分自身にも起こりうる問題として認識しなければ意味がない。行政はよく縦割りといわれるが、組織が大きくなれば、縦割りとなり、情報の共有化も難しくなる。また、立場により、意見も変わる。品質も大事だが、安定供給も大事なんて、意見が対立することも多いだろう。患者の生命に関わる医薬品だからこそ、その品質は大事だが、パッケージのデザインまで、品質として取り扱う必要はない。医薬品の情報としての表示ならば品質として取り扱わなければならないし、その品質に影響する直接の容器も重要である。しかし、コスメティックな部分まで品質とすることもない。従業員が品質に対して認識し、その不平不満が品質に影響するかどうかを考えることが必要であろう。それがリスクマネジメントとしての活動にもなることを認識すべきである。

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中川原 愼也

中川原 愼也

高田製薬株式会社生産本部品質統括部門品質統括部長
1984年神奈川県庁に入庁し、1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍した。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)の締結の際のEUの調査、2005年の製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職し、医薬品原薬輸入商社であるコーア商事株式会社で、品質保証部長として国内管理人としてのGQP取決め及び医薬品製造業としての GMP管理を統括した。2015年から株式会社ファーマプランニングにて、GxPコンサルタント業務に携わり、2017年高田製薬株式会社に入社、4月より同大宮工場製造管理者に就任。