2018.01.28.SUN

その他医療機器関連

医療機器関連業界への招待【第4回】

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執筆者:吉川 典子

医療機器関連業界への招待【第3回】

医療機器関連業界への招待

【第4回】開発を知る

●要旨
 第4回は、開発とデザインやマネジメントについて扱います。開発の早い段階で、デザインに取り組み、マネジメントを取り入れることは、ビジネスとしての成立と、より良い医療の実現とに役立ちます。同時に、薬機法の審査の視点に応えます。コンセプトを明らかにすることは重要であり、実際的なものを目指しましょう。薬機法に示されているリスクマネジメントなどを活用することで、医療現場の変化にも備えることができます。

●はじめに デザインへの取り組み
 第3回において、ニーズからコンセプトに導く、デザイン思考について触れました。デザインは、売れるように見場をよくすることという理解では勿体無いものです。もう少し詳しく説明したいと思います。
 産学連携、医工連携の現場で、しばしばあったことは、こんな製品があるので、医療にも使えませんか?というものです。ニーズに合致していないばかりか、顧客の観察プロセスもないため、商品としての仕上げは無理でしょう。しかし、医療の世界ではまだ使われていない、何か優れた技術が先にあって、ニーズから開発に取り組んでいる人々と出会った時、しっかりとした観察の裏付けとビジネスプランがあれば、上手くいくことがあります。ですから、シーズの発表自体が無意味ということではありません。
 医療機器は、使用する時がとても重要ですから、製品だけをデザインするのではなく、環境も情報もデザインをすることも大事で、その根底にデザイン思考があることが望ましいと思います。

1 バイオデザインに学ぶこと
 バイオデザインの書籍を見るといくつかの章に分かれています。そのうち、法制度の違いなどにより、日本の環境に合わせて読み替えた方が良いところがあります。しかし、バイオデザインが秀逸なのは、観察のプロセスからコンセプトまでをきちんと導いていること、ビジネスプランをしっかりと考えていることにあります。医療は継続性を大事にしなければなりませんから、売れなかったらやめよう、ということではなく、経営が成り立つ仕組みも必要です。

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<図1 バイオデザイン テキストの章立て>

2 ステートメント作成がもたらすもの
 バイオデザインのプロセスの中に、ニーズの記述、ステートメントの作成というところがあります。私は、ここが最も大事なものだと考えています。その製品はどんなものですか?端的に説明できるでしょうか?真剣に考えていくプロセスが、その製品を磨き上げます。何を解決しているか、よりも、どんなに素晴らしいか、の方に思考が走ってしまうことがしばしばで、結局、誰にとっての価値なのかが見えず、コンセプトが崩れてしまうことさえあります。
 このステートメントですが、コンセプトがはっきりしないとなかなか書けるものではありません。できるだけシンプルに書くために、日本語をしっかり考えることも必要です。その結果、薬機法で言えば、「使用目的、効能または効果」をどう書くかに結びついていきます。そして、開発コンセプト、そして、設計コンセプト自体もシンプルに書き上げることができます。
 科学技術論文とは少し違った性質のプロセスですから、開発をするということは、研究とは違いがあることを感じるでしょう。

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吉川 典子

吉川 典子

特定非営利活動法人医工連携推進機構 客員研究員 医工連携コーディネータ協議会会員
大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程にて生物学的人工肝臓をテーマに研究を行った後、製薬会社に入社し、開発企画実務を経験。兵庫県庁薬務課を皮切りに、保健衛生行政に携わる。政策研究などの経験も多い。医療機器センター調査部(PMDAの前身)にて、審査行政に関与。先端医療振興財団にて、振興業務に従事。神戸大学大学院医学研究科にて、プロジェクト支援を行った。また、各地の振興組織、大学研究機関での支援を長年行っており、医療従事者の目線を活かしたコラボ、参入促進や新規性の高い医療技術への支援に強みがある。
デザインに強い関心があり、京都造形芸術大学に在学中。