2013.06.10.MON

品質システム(PQS)

現場に役立つISO9000s【第6回(最終回)】

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執筆者:和賀 克公

現場に役立つISO9000s【第5回】

現場に役立つISO9000s

【第6回(最終回)】ISO9000sと医薬品GMPの類似点と相違点

はじめに
 品質マネジメントシステムの基本は、第1回に、プロセスを基礎とした品質マネジメントシステムのモデルで、顧客、法令・規則並びに自社設定の要求事項を満足した製品・サービスを提供することにより、顧客満足度を向上させ、かつ継続的に改善することであると解説しました。このような活動を着実に実施するために、「経営者の責任」「資源の運用管理」「製品実現」「測定、分析及び改善」が不可欠です。この一連のサイクルを確立することが、すなわち品質マネジメントシステムの確立なのです。そして、それを文書化することが求められているのですが、すべての要求事項を文書化することが求められているのではなく、規格の要求事項に従って文書化すればいいのです。確立された品質マネジメントシステムを実施し、維持することが求められています。さらに、その有効性を継続的に改善することが求められています。
 一方、医薬品のGMP省令が要求していることは、製造所ごとに、製造管理者の監督の下に、製造部門と品質部門を置かなければなりません。そして、製造・品質管理業務を適正かつ円滑に実施するため、製造規模に応じた適切な人数でかつ業務遂行能力を有する人員を確保しなければなりません。そのうえで、製造手順、規格などを記載した製造標準書、設備の衛生管理や従業員の衛生管理などについて記載した衛生管理基準書、製造工程の管理や製品保管などについて記載した製造管理基準書、サンプルの採取方法や試験結果判定方法などを記載した品質管理基準書を作成しなければなりません。そのほか、バリデーション、変更管理、逸脱管理、回収ならびに苦情処理、教育訓練、自己点検、文書管理を適正かつ円滑に実施するために、手順書を作成し、保管しなければなりません。
 ここでは、両者の類似点と相違点について考えてみることにします。
 
1.類似点
1.1 5つのM
 以前にプロセスを5つのMで考えるとお話しました。すなわち5つのMとは、Man(人)。Machine(機械、設備)、Method(手順)、Material(原材料)、Measure(測定)です。
ISO9001:2008の品質マネジメントシステムも医薬品GMPも、それぞれのMについての要求事項があります。その内容は概ね、両者は類似しています。
 Manでは、教育訓練の必要性が言及されています。業務に必要な能力(ISOでは、力量と記載、6.2.2項 力量、教育・訓練及び認識)が個人別に登録されています。GMPでは能力を保有するための教育訓練が実施され、教育訓練記録として保管されなければなりません。
 Machineでは、ISOでは、6.3項 インフラストラクチャーの要求事項があります。医薬品GMPでは、設備ならびに機器の適格性が求められています。
 Methodでは、ISOもGMPも標準作業手順書などを作成し、保管し、最新版の使用が要求されています。また、プロセス、文書の変更などは変更管理のもとに変更されなければなりません。
 Materialでは、ISOでは、7.4.3項 購買製品の検証という要求事項があります。GMPではAPI(Active Pharmaceutical Ingredient)の品質確保が重要になっています。
 Measureでは狭義の意味として、測定器の校正などが両者の要求事項となっています。
 
1.2 是正処置と予防処置(CAPA)
 ISOでは、8.5.2項 是正処置と8.5.3項 予防処置の要求事項があります。是正処置では、単なる応急処置ではなく、再発防止のため、根本原因を究明し、有効な対策を講じることが求められています。GMPにおいてもCAPAとして、是正、予防処置の重要性が言及されています。

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和賀 克公

和賀 克公

ハーモニー・マネジメント・コンサルタント 代表。
1974年川崎重工業(株)入社。P&Gを経て1994年参天製薬(株)入社。GMPプロジェクトのリーダーとして、ハード面(設備)、ソフト面(文書管理)を強化する。その後、取締役生産本部長、取締役常務執行役員生産物流本部長、取締役社会・環境担当を歴任。
GMPの推進、新工場建設、グローバル生産体制の戦略立案、またCSR(企業の社会的責任)推進、環境マネジメント(EMS)に携わる。2009年7月より現職。