2021.06.04.FRI

建設プロジェクトマネジメント

医薬品工場建設のノウハウ 【第7章-3】

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執筆者:古川 猛

医薬品工場建設のノウハウ 【第7章-2】

試運転・スタートアップ(PJ Closing)保全計画

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【第7章-3】試運転・スタートアップ(PJ Closing)保全計画


1.GMPと保全
 製造施設設備のバリデーションが完了した後、製造を開始する前に保全計画を策定することになる。本稿は製造設備の保全計画について記載するが、施設、品質試験装置についても同様に適用できると考える。
 GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年12月24日厚生労働省令第179号。 )では保全に関して以下のように規定している。
「(第九条、構造設備)製品の製造所の構造設備は、次に定めるところに適合するものでなければならない。
一 手順書等に基づき、その用途に応じ適切に清掃及び保守が行われ、必要に応じ滅菌され、また、その記録が作成され、保管されていること。
「(第十条、製造管理)製造業者等は、製造部門に、手順書等に基づき、次に掲げる製造管理に係る業務を適切に行わせなければならない。
八 構造設備を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。」
また、「バリデーション基準」では設備の保全に関連して以下のように規定している。(平成25年8月30日付け薬食監麻発0830第1号「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについての改正について」の第3章 医薬品・医薬部外品GMP省令第4)
再バリデーション:実施対象となる設備、システム、装置、製造工程及び洗浄作業において、バリデートされた状態が維持されていることを定期的に再確認するために適格性評価、プロセスバリデーション及び洗浄バリデーション等を実施し、引き続き目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために妥当であることを検証することをいう。
実施の必要性、実施時期及び実施項目は、製造頻度、製品品質の照査の結果等を考慮して決定する。
(以下略)」
 なお、PIC/SのGMPガイドにも、同様のことが記載されている。
 保全について上記規定を要約すると以下のようになる。
・製造所の構造設備の保全について、製造部門は手順書を作成し、定期的に点検整備し、その記録を作成し、これを保管すること。
・バリデーションを実施した設備、システム、装置についてバリデートされた状態が維持されていることを定期的に検証すること。実施の必要性、実施時期及び実施項目は、製造頻度、製品品質の照査の結果等を考慮して決定する。
 

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古川 猛

古川 猛

1980年、藤沢薬品工業㈱に入社し、研究所の施設管理・改装工事業務に携わる。1987年、同サイトのアンプル製剤工場にてオペレータを経て保全業務に従事。1995年より5年間、アンプル製剤・包装の工程責任者として工程管理を担当。2001年 同社アイルランド工場にて新製品・新設備導入プロジェクトで現地技術支援を行い、2005年 合併に伴いアステラス製薬エンジニアリング部門次長として製造設備の開発・導入を担当。2015年にはアイルランド工場に開発・導入した充填済共通チューブへの多言語表示ためのラベル貼り装置で米国ISPEのFOYA(Facility Of the Year Award) を受賞。2018年㈱シーエムプラスに入社し、設備導入業務を担当し、現在に至る。