2021.03.05.FRI

その他

業界雑感 【2021年2月】

この記事を印刷する

執筆者:村田 兼一

業界雑感 【2020年12月】

 新型コロナウィルスのワクチン「コミナティ筋注」がようやく承認された。早い国では昨年の12月初めから接種が始まっているので、2ヵ月以上遅れての承認ということになる。ところが、PhaseⅢでもないPhaseⅣでもないPhase3.5のような医療従事者への先行接種とか優先接種で副反応の様子を見るというハードルを設定しているので、高齢者からとされている一般にワクチン接種が開始されるのはさらに2ヵ月近く後になるようだ。昨年5月にベルクリー(レムデシビル)が申請からわずか3日後に特例承認されたときには、ドラッグ・ラグを乗り越えて厚労省もなかなかやるな、と思ったものだったが、その後ファビピラビル(アビガン)については継続審議となったままだし、その他の治療薬候補についても表立った進展があるようには見えない。ファイザーのワクチンが昨年7月から始めた最終治験前から治験に日本人対象者が入っていなかったことは分かっていたにも関わらず、対応をとらずに9月になって「やはり日本人での効果確認も必要」と一転した結果が、今回世界から2ヵ月以上も遅れての承認となったともいわれており、相変わらず後手にまわった感は否めない。
 ワクチン開発では多少遅れをとっているが、ワクチン製造に関して半年で新規の工場建設や設備導入は無理にしても、国内製造に向けて既存の工場や設備で製造技術移転を受け入れる決断をしていれば、今頃は国内産のワクチン供給に目途がついていたかもしれない。世界中でコロナワクチン争奪戦が繰り広げられている今だからこそ、日本の製薬業のものづくりの実力と存在感を示すチャンスがあったかもしれないと思うと少し残念でもある。

1 / 2ページ

村田 兼一

村田 兼一

村田兼一コンサルティング株式会社代表取締役。
1978年藤沢薬品工業(現アステラス製薬)入社。注射剤製造、無菌バリデーション技術開発、FDA対応、基幹システム(SAP)開発等に従事後、生産本部にて中期戦略企画、工場分社化推進・合併準備委員会に携わる。合併後のアステラス製薬では、戦略企画の後、製造委受託の推進を担当する。
2012年に退社し、村田兼一コンサルティング株式会社設立。工場の原価をはじめとする計数マネジメントを中心に、SAP開発を含むサプライチェーン全般の管理・改善を専門とする。