2020.07.31.FRI

品質システム(PQS)

医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第6回】

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執筆者:佐野 旭

医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第5回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?

医薬品会社の国際的事業所閉鎖業務のポイントについて

1、 医薬品工場における現状
日本国内の製薬会社は国際化に向けて、M&Aの対象として世界の各製薬会社からDue Diligences評価にかけられ、またかけています。この競争に他人ごとだと決めつけたり、尻込みしている会社は、これからの競争に負けて買収、事業所閉鎖等をよぎなくされることでしょう。積極的にM&Aの研究をしている多くの会社には専門職の部署があり、日々調査・検討をしています。しかし、多くの企業のDue Diligences担当者は財務部門や経理部門又はプロジェクトメンバーです。つまり、資産価値評価に環境面での評価が抜けていたり、知らなかったりすることが多く、後から付け足しで外注業者に依頼することが多くなっていると聞いています。その結果、売り買いの作業が先行していて環境浄化の調査検討がなされないまま売買契約書の締結サインの段階に事務処理で進めてしまっているにも関わらず、担当者は大きな仕事をやってのけた気分でいる事例が多いようです。筆者は、この担当者責任を明確にして抜けのない仕事をするように命令するトップの責任でもあること、その後発生するだろう損害賠償請求訴訟の発生リスク低減が必要であることを認識されるようコメントしています。Due Diligencesで最初にやっておくのが買収を検討する対象会社の工場事業所の履歴から将来的に土壌汚染、地下水汚染とならないよう環境基準に照らした浄化費用と損害賠償費用、裁判費用、産廃費用、売買契約書上に明記しておく要件とし、売却後発生するであろう定期業務として年一回の地下水サンプリングとその分析結果行政報告の実施費用等を算定評価しておくことが医薬品工場の土地には必要で重要な仕事です。そして近隣住民の方々にご理解いただけるよう、事前に環境調査の中で地域住民の情報集めが出来ていることが重要な課題となります。然し乍、一般的にこの仕事は製薬会社の社員で業務の傍らに行うことには無理があります。専門知識が足りないからです。私はHSEのAdvisorを専門知識の面談評価をして契約されるべきとアドバイスをしております。医薬品工場の跡地は環境基準を超える項目が複数存在していると言って過言ではありません。事業所で使用していた化学薬品や原料APIはPhase1対象で履歴調査からPhase2サンプリング調査、その後汚染浄化作業、浄化後のサンプリング調査、産廃処理結果報告等すべて専門知識の必要な仕事が連続します。これらがわかり専門知識があるだろう医薬品会社のHSE担当者や環境部の社員の方々を本件専門家に育成することには無理があります。HSE Advisorを専門知識の試験をして契約し、責任ある社員としてHSE Advisorの話が分かるように徹底的に勉強をしていただくことが必要でしょう。その一部分を次の項で少しご紹介しておきたいと思います。事業所閉鎖業務についても医薬品会社はGlobal Standard(和文英文併記)をもってダイバシティ各国法制をすべてクリヤーする運用を図る必要があります。

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佐野 旭

佐野 旭

外資系医薬品会社に入社後、建設プロジェクトや設備保全などを担当し、また関連会社においては、医薬品の検査・包装にも携わる。。その後は工場のHSE Managerとして工場長と共にHSE Global Standardの社内への浸透をさせるべく事業所内教育に力を注ぐ傍ら、たびたび海外の事業所へAuditに出かけてHSE Global Standardの重要性を身をもって学んだ。
M&Aが始まり7回の会社統合を経験し、そのたびに工場閉鎖が発生し、その環境影響評価と土壌汚染対策を担当。
又、会社統合のたびにGlobal Standardが変わり、Global Standardの体質まで学ぶことになった。
2006年に退職後、現在はコンサルタント会社を設立し、今までの経験を生かしてHSEのアドバイザーとして、企業のHSE導入サポート、企業内教育、HSE Audit、社内教育、講演などを行っている。
元日本製薬工業協会環境安全委員
元日薬連BCP構築プロジェクトメンバー

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Mail: sanohseconsul@fd5.so-net.ne.jp