2020.05.22.FRI

開発薬事

医薬品GLP基礎知識のよもやま話【第2回】

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執筆者:飯島 護丈

医薬品GLP基礎知識のよもやま話【第1回】

【第2回】信頼性確保の為の規制情報とQC・QA

第1回では、GLPは安全性に係わる非臨床試験の信頼性を確保するために、実験計画に従って過誤のない適切な試験の実施、解析、評価、報告書から承認申請資料の作成には欠かせないツールで、その重要性を述べた。また、実際の試験実施以外に試験施設の運営管理者は、施設全体の複数試験のスケジュールや施設の管理運営、従事者の教育等の業務のマネージメントの役割を果たし、信頼性保証部門は、試験への第三者的立場で標準操作手順書と試験計画書に基づいて試験が実施されていること、報告書が適切に記載されていることの調査を行い、試験の信頼性確保に支援を行っている。
此処では、試験の実施と機器操作に係わる内容やその他の試験に関連するものの詳細について、省令から引用する。

Ⅲ章 試験施設及び機器について
■試験施設は、試験に必要な面積及び構造を設け、適切に機能するために試験に影響するものは、十分に分離(セキュリティや清浄等を考慮した導線等)する。
①動物を用いる試験では適切な飼育管理、②飼料・保育品等の適切な用品供給施設のほか、③被験物質の取扱い区域・操作区域等、④資料保管のための施設を含める。
■機器には、①試験成績の収集、②測定又は解析する機器、③施設の環境を維持する機器や④その他の試験を行う機器があり、試験施設に適切に配置され、適切な保守点検・清掃・修理を行い、適切な記録(内容・日付・実施者)と保存が求められる

Ⅳ章 試験施設等における操作について
■試験施設における標準操作の手順書(SOP:Standard Operating Procedure)では、①被験物質及び対照物質の管理、②施設設備又は機器の保守点検及び修理、③動物飼育施設の整備、④実験動物の飼育及び管理、⑤実験動物の一般症状等の観察、⑥試験の操作、測定、検査及び分析、⑦ひん死の動物及び動物の死体の取扱い、⑧動物の剖検及び死後解剖検査、⑨標本の採取及び識別、⑩病理組織学的検査、⑪生データの管理、⑫信頼性保証部門が行う業務、⑬試験従事者の健康管理、⑭その他必要な事項が含まれ、手順書の作成は運営管理者が行い、それぞれ操作の適用される区域に配置する。SOPを変更する場合には、日付に加えて変更理由と箇所が明確になると関係する従事者の理解が早い。また、変更前SOPは適切に保存する。
試験従事者はSOPに準拠した実施内容は生データとして記録し、準拠できない事象も記録し、試験責任者の承認を受けなければならない。
■動物の飼育管理では、購入した動物は受け入れ時に、他の動物との汚染を避けられる飼育施設に収容し、個体識別を行い、体躯、健康状態や行動等の異常の有無を観察し、記録(馴化・検疫)する。動物の馴化・検疫期間又は試験期間中に試験成績に影響を及ぼす状態の変化(疾病や状況)が見られた場合には、隔離をして、試験に使用しない。飼育施設、動物用品等は衛生的な管理を行う。これら一連の業務は試験従事者が行う。

V章 被験物質等の取扱いについて
■被験物質及び対照物質の取扱いでは、秤量過誤や劣化等があれば、試験成績を大きく左右するため、適切な取り扱いが必要となる。
被験物質及び対照物質は、その特性及び安定性の測定、必要な表示等により適切な管理(保存条件・使用期限等)を行わなければならない。
被験物質又は対照物質と媒体を混合した場合、被験物質又は対照物質の安定性及び均一性を測定等により確認して適切に使用する。
被験物質及び対照物質の配布(使用)、受領、返却又は廃棄を行うときは、その日付及び量を記録する。
■試薬及び溶液の取り扱い
試薬及び溶液の保管条件、使用期限等を適切に表示し、その性質及び使用方法等に従って使用する。
一連の取扱い業務は試験従事者が行い、使用(授受)が発生する場合には、適切にはかり取った量と氏名、日付を記録する(試験の実施の項も参照)。

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飯島 護丈

飯島 護丈

獣医師、1975年台糖ファイザー株式会社(現:ファイザー社)入社。
研究所では、各種毒性試験の試験責任者を担当し、申請書類の作成、照会事項への対応にも携わる。新医薬品・医療機器・医薬品添加物、一般薬、農薬、動物用医薬品、化学物質の品目に係わる。
GLP導入に伴い米国や欧州でGLP研修を受ける。GLP統合型毒性試験システムの導入・運用のためSystem manager研修、責任者も務めた。
その他、医学系大学病理学で学位を受領、モントリオール大学では毒性学の研究も行う。
2007年定年退職後、AEIC研究所 代表 非臨床開発コンサルタント