2020.02.14.FRI

医療機器(品質システム)

FDAの対応すべき医療機器規制について【第5回】

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執筆者:細田 誠一

FDAの対応すべき医療機器規制について【第4回】

第5回 検証とバリデーションの違い

QSRに記載された検証とバリデーションという用語は、以下のように定義されています。

検証
規定された要求事項が満たされることを、客観的証拠を提供することによって確認すること。(Part 820.3)[4]

バリデーション
規定の使用目的に対する特定の要求事項が“一貫して”満たされることを、調査および客観的証拠を提供することによって確認すること。(Part 820.3)[4]

 2つの定義の明確な違いは“一貫して”という用語が含まれるか、そうでないかということになります。この“一貫して”という用語の意味は、英語ではconsistentと表現されており、「首尾一貫した、矛盾しないあるいは調和した」という意味に訳されます。これを分かり易く言い換えると、ずっと「変わりなく続いて」というように表現できるでしょう。
 この「変わりなく続いて」ということを、設計検証/設計バリデーションということに限定せず、医療機器の設計・製造活動に適用すると考えた場合、要求事項を一時的に満たすのではなく、生産活動が続いても変わらずに満たすことを保証するという意味に解釈できます。

 上記のことから、「検証」は“一貫して”が含まれていないため、規定された要求事項が満たされれば、一時的に試験に合格しただけでも、その定義が満たされることとなります。それに対して「バリデーション」は規定された要求事項が「変わりなく続いて」満たされることを客観的証拠により提供すればよいということになります。しかし、提供すると言っても、それは単純に試験に合格すればよいというものではなく、設計バリデーションやプロセスバリデーションのガイダンスに沿ったやり方が求められるということです。そのやり方は、複数の確認行為を組み合わせることで確実に実証される必要があるということになります。

 まず、設計バリデーションでは、臨床評価や臨床試験、ユーザビリティ、また最終仕様の機器が模擬された使用条件下における試験、ソフトウエアのバリデーションおよびリスク分析などを含んで総合的に医療機器として良いか、こうした複数の確認行為により評価されます。したがって、設計バリデーションにおいて“一貫して”を言い換える場合、安全性と有効性を「変わりなく続いて」保証できるかどうか、という観点が必要になります。
※設計バリデーションのガイダンスは、Design Controls[18][19]あるいはApplying Human Factors and Usability Engineering to Medical Devices[20]の参照をお願いします。

 次にプロセスバリデーションですが、その要求事項は「プロセス後の検査および試験によって十分に検証できない場合に必要とされ、高い保証レベルでバリデーションされ、確立された手順に従って承認されること」(Part 820.75)[4]というように求められており、そのプロセスの保証は「変わりなく続いて」いることが必要になります。
 プロセスの保証では、部品加工、製造工程、包装工程、滅菌工程などが対象となり、バリデーションによる確認行為の時だけでなく、生産活動中に「変わりなく続いて」保証されている必要があります。このため、バリデーションされたプロセスのプロセスパラメータの監視と管理のための手順を確立し、維持すること(Part 820.75)[4]が求められており、監視によってプロセスが適切に稼働していることを確実にすることも、「変わりなく続いて」を保証するための活動ということになります。

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細田 誠一

細田 誠一

東京電機大学卒。オリンパス光学工業(株)、オリンパスメディカルシステムズ(株)、オリンパス(株)にて、医療用内視鏡システムの設計・開発、製造と工程管理、品質保証と多岐に亘る業務担当の経験を重ね、グループ子会社の工場品質部門にて品質システムの管理責任者、オリンパスメディカルシステムズ製造部門にてプロセスバリデーション推進、本社品質保証部門にてCAPA活動推進の責任者の任務を遂行しました。FDA査察/MDD 監査/QMS 適合性調査における実践対応の経験、および定期FDA査察においてNAI(No Action Identified)に導いた実績があります。定年退職後、現在はコンサルタント、セミナー講師、書籍等への執筆活動を進めております。

資格等
IRCA品質マネジメントシステム審査員補
(公財)日本医療機器センター QMS講習会検討委員
未来医学研究会会員