2019.12.13.FRI

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ラボにおけるERESとCSV【第59回】

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執筆者:望月 清

ラボにおけるERESとCSV【第58回】

ラボにおけるERESとCSV

FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(29)


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7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
 
■ MM社 2018/1/23 483
施設:製剤工場


Observation 1
A)    2008年~2012年および2015年に発生した逸脱の調査において、試験結果に影響する41件のデータインテグリティ課題が明らかにされた。承認申請後の2017年12月にこれらの逸脱への対処が開始された。しかし、今回の査察時点では、これら逸脱の影響が見直されていなかった。

★解説:
査察の1ヶ月前に逸脱への対処が開始されたのことであるが、逸脱の影響を回顧的に評価していなかったものと推測される。FDAへ承認申請すると承認前査察(PAI: Pre-Approval Inspections)が行われる。FDAの査察官用マニュアル CPGM 7346.832 に承認前査察の目的が以下のように規定されている。
 目的1:量産準備はできているか
 目的2: 承認申請書に適合しているか
 目的3:データインテグリティの監査
  •    生データ、ハードコピー、電子記録を監査し
    ◆   承認申請書のCMCセクションに記載されたデータが信頼できるもの
      であることを確認する。
  •    安定性やバイオバッチデータなど全ての関連データがCMCセクションに
    提出されていることを確認し
    ◆   提出データが完全で正確であることをCDERの製品レビュアーが信
      頼できるようにする。
本査察はPAIであり、承認申請書に記載されたデータのインテグリティを調査し、逸脱の影響を回顧的に評価していなかったとの指摘に至ったと推測する。本来は承認申請を行う前に、申請データのインテグリティを自己点検しておくべきであったと考える。

最近、以下の事件が報道された。
申請内容に不正なデータが含まれているのを知っていながら新薬の承認申請をおこなった。新薬申請が承認された後に不正データの事実をFDAへ報告した。FDAは新薬を開発した企業を査察し483を発出した。
  •   事件の報道:   •   新薬開発企業への483: そのような事がないように社内監査/社外監査を徹底する必要がある。

B)    データインテグリティ逸脱に対するCAPAが効力を発していない。例えば;
  ①   Windowsに保存された電子記録へのQC職員のアクセス制限と監査証跡
    のQAレビューがCAPAに盛り込まれた。しかし今回の査察時点において
    は、保存された電子記録に対するアクセス制限も監査証跡もなかった。
 

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望月 清

望月 清

合同会社エクスプロ・アソシエイツ代表。
1973年山武ハネウエル株式会社(現アズビル)入社。分散型制御システム(DCS)を米国ハネウエル社と分担開発。2002年よりPart 11およびコンピュータ化システムバリデーションのコンサルテーションを大手製薬会社にご提供。2009年より微生物迅速測定装置の啓蒙普及に従事。2014年5月より現職。