2019.11.29.FRI

その他レギュレーション関連

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<178号>

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執筆者:橋本 奈央子

【最近のウォーニングレター】

ASTROM通信<178号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2019.9.15】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー

~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

朝晩はかなり涼しくなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回も、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から、製薬会社向けに出されたウォーニングレター(2件)について見ていきたいと思います。
今回は、FDAの査察に備えて品質文書を偽造したことで話題になっている中国の製造所に対するレターが含まれています。
最後までお読みいただければ幸いです。


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最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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■WL:320-19-31 中国の製造所の査察(2019/3/18~2019/3/22)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2019/8/2付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、すべての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品
  の合格/不合格を判断するための責任と権限を持った品質管理部門を制定するこ
  とを怠った。
貴社の施設の査察中、貴社の品質スタッフが我々査察官に多数の品質文書を提供した。提供された文書に対する懸念に基づいて我々査察官がこれらの文書の正当性について貴社の品質マネージャに質問した。貴社のジェネラルマネージャと品質マネージャは、提供された多数の文書は、実のところ、“この査察のために”偽造されたものだと述べた。
偽造文書としては、洗浄バリデーション報告、多数の製品のバッチレコード、年次製品照査がある。更に貴社はこれに限定されないが以下のものを含む製品の製造に関しCGMP要件を裏付ける基本的な記録を提供できなかった。
・装置の適格性評価(21 CFR 211.63)
・原材料の適格性評価 及び 原薬の試験(21 CFR 211.84)
・最終製品と原材料の試験の適格性評価(21 CFR 211.165)
・製品の安定性プログラム(21 CFR 211.166)
・バッチレコード(21 CFR 211.188)
・プロセスバリデーション(21 CFR 211.100)
貴社は回答の中で、いくつかの手書きのCGMP文書を提出した。しかし、貴社の過去の偽造文書を考えればFDAはそれらの正当性について懸念する。
貴社は不備の範囲を完全にレビュし、貴社のシステムを包括的に修正したというエビデンスを提供し、貴社の医薬品の製造作業の継続的な管理を保証する手順とプログラムを実装することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、以下のものを提供せよ。
・貴社の品質部門が効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを
 保証するための包括的なアセスメントと修正の計画
 アセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含むべきである。
 ○貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
 ○適切な手順の遵守を評価するための品質部門による貴社の作業全体の監督に
  関する対策
 〇品質部門の出荷判定前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的な
  レビュ
 〇調査の監督と承認、及び、すべての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証
  するための他のあらゆる品質部門の職務の実行
・逸脱、食い違い、苦情、規格外(OOS : Out-of-Specification)の結果、不具合の調
 査に関する貴社の総合的なシステムの包括的で独立したアセスメント
 このシステムを修正するための是正処置・予防処置(CAPA)を含めよ。貴社の
 CAPAの計画には、これに限定されないが、調査能力の大幅な向上、調査範囲
 の決定、根本原因の評価、品質部門の監督、文書化された手順を含むべきであ
 る。CAPAの計画には、調査の全ての段階が適切に実施され、CAPAが効果的で
 あることをいかに保証するかについても取り組むべきである。
・成分、容器、蓋の全ての供給業者に適格性があり、原材料に適切な使用期限とリテ
 スト日が指定されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括
 的で独立したレビュ
 レビュは、入荷した原材料の管理が、不適合の成分、容器、蓋の使用を防ぐために
 適切であるかどうかの判断も含むべきである。
・文書化手順のどこが不十分かを判断するための貴社の製造及び試験の作業で使用さ
 れている文書化システムの完全で独立したアセスメント
 作業全体を通じて、帰属可能で判読可能で完全で原本性があり正確で同時性のある
 記録を保持していることを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に修正する
 詳細なCAPAの計画を含めよ。
・サードパーティのコンサルタントにより実施されたデータ・インテグリティのアセ
 スメントの概要アセスメントには、独立した評価の対象である貴社の作業の全ての
 局面の詳細な記述と、アセスメントの深さと範囲を含む手順のコピーを含めよ。
完全な修正の要望に関し、以下の、”データ・インテグリティの修正“を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために、21 CFR 211.34章に規定された適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようとする前に、適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施してきた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備と不具合を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
コンサルタントは、貴社の修正された品質システムが要件を満たしていて、FDAに提出された全ての文書が正当であるという証明を提出せよ。
●品質システム
貴社の品質システムは不十分である。21 CFR のPart210,211のCGMP要件を満たすための品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装するための手助けとして、FDAのガイダンス文書“Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations”を見よ。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を適切に保証していない。CGMPを遵守したデータ・インテグリティの手順を制定して遵守するためのガイダンスとして、FDAのガイダンス文書“Data Integrity and Compliance With Drug CGMP”を見よ。
我々は、貴社の改善を助ける適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。この文書への回答において、次の情報を提供せよ。
A.データの記録と報告の不正確性の範囲の包括的な調査
   貴社の調査には、以下のことを含めるべきである。
   ・調査の手順と方法論の詳細
   アセスメントでカバーされる全ての試験室・製造作業・システムの概要と、
   貴社が評価から除外しようとしている作業の正当性
  ・データの不正確さの性質、範囲、根本原因を特定するための、現在とかつ
   ての従業員のインタビュ
   我々はこれらのインタビュが、適格性のあるサードパーティによって実施
   されることを推奨する。
  ・貴社の製造所におけるデータ・インテグリティの不備の範囲のアセスメント
   省略、変更、削除、記録の破壊、非同時の記録の完成、その他の不備を特定
   せよ。貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落している貴社の製造所
   の全ての作業を述べよ。
  ・試験と製造に関するデータ・インテグリティの不備の性質の包括的で回顧的
   な評価我々は、潜在的な不履行が確認された分野の専門知識を持った適格性
   のあるサードパーティが全てのデータ・インテグリティの欠落を評価するこ
   とを勧める。
B.貴社の医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響に関する現在の
  リスクアセスメント
  貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた
  医薬品の出荷により患者に引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業に
  より引き起こされるリスクの分析を含めるべきである。
C.グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略
  貴社の戦略には以下のことを含めるべきである。
  ・分析データ、製造記録、FDAに提出される全てのデータを含む貴社が生成す
   る全てのデータの信頼性と網羅性を、貴社がどのように保証するかを述べた
   詳細な是正処置の計画
  ・現在のアクション・プランの範囲と深さが、調査とリスクアセスメントの結
   果に釣り合うエビデンスを含むデータ・インテグリティの欠落の根本原因の
   包括的な記述
   データ・インテグリティの欠落の責任がある個人が、貴社でCGMP関連また
   は医薬品の申請のデータに影響を与得ることができる状態のままかどうかを
   示せ。
  ・顧客への通知や製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するために安定
   性プログラムへのロットの追加、製品の申請アクション、強化した苦情モニ
   タリングなど、患者を守り、貴社の医薬品の品質を保証するために、貴社が
   とった、または、とろうとしているアクションを述べた暫定的な手段
  ・貴社のデータの完全性を保証するための、手順、工程、方法、管理、システ
   ム、監督、人的資源(例:教育、職員の改善)に対する改善努力と強化を述
   べた長期の手段
  ・既に進行中または完了した上記の全ての活動に関する状況報告
●不正商標表示の医薬品に関する違反
貴社の日焼け止めローションは、病気の診断・治療・緩和・手当・予防を目的とし、また/かつ、身体の構造や機能に影響を与えることを目的としているので、医薬品であるが、製品のラベルに用法や注意や適切な使用指示が含まれていない。
●医薬品の回収
我々は、FDAの査察で見つけたものに基づき、アメリカ市場に出荷された使用期限内の医薬品の回収に同意したと認識している。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年6月13日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/ningbo-huize-commodity-co-ltd-581345-08022019

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橋本 奈央子

橋本 奈央子

株式会社プロス CSマネージャ

製薬企業向け生産管理システムの導入、バリデーション作業に従事。
コンピュータ化システムバリデーションにマンパワーをかけられない
中小の製薬企業にて、バリデーション作業支援を実施。
規制当局のサイト等から、最新の規制動向や指摘事例を収集し、月2回ASTROM通信にてご提供。