2019.10.25.FRI

品質システム(PQS)

医薬品品質保証こぼれ話【第9回】

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執筆者:浅井 俊一

医薬品品質保証こぼれ話【第8回】

医薬品品質保証こぼれ話

【第9話】重要課題への対応と責任者の役割

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医薬品の品質確保のための「責任者の役割」に関しては、2017年6月26日付で「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について」というタイトルの通知(厚生労働省医薬・生活衛生局長、薬生発0626第3号)(以下、「三役通知」)が発出され、また、同タイトルのQ&Aが、2019年1月に事務連絡されています。ここで言う三役とは、言うまでもなく、総括製造販売責任者、品質保証責任者および安全管理責任者を指しますが、これは、2005年の法改正により医薬品製造にかかる業態が、製造販売業と製造業の二業態制とされた際に示された、医薬品の品質保証と安全確保の根幹をなす責任体制であることはご承知のとおりです。また、この法改正により、医薬品の承認書(医薬品製造販売承認書:業と品目の両者が対象)の保有者を製造販売業者とすることが規定され、医薬品の品質と安全性に関する最終責任が医薬品製造販売業者(以下、「製販」)に帰属することが明確にされました。このような、法改正にかかる一連の考え方の下、三役の責任の重大性は、当初より繰り返し説明されてきました。

しかしながら、上記のような通知が、この時期になって発出されるということは、これが一部では形骸化し、医薬品の品質や安全性の確保に支障が出てきているとの判断があったからと考えられます。ここ数年の間に見られる重大な法違反、特に、営業停止につながる承認事項逸脱など、コンプライアンスに関わるような事例の発生がその大きな理由の一つと推察されますが、三役通知はこういったことに対し、各責任者の役割を再確認し、管理者としての責任を改めて問うものと理解されます。


ここで、通知の要点を簡単に確認しておきたいと思います。
この通知では、「別添」で留意事項が詳しく示されており、その内容は「1.総括製造販売責任者に関する事項」、「2.三役体制に関する事項」、「3.品質管理業務に関する事項」および「4.安全確保業務等に関する事項」の4項目で構成されています。「1.総括製造販売責任者」の項では職位、要件、三役会議の開催、「2.三役体制」の項では、指揮命令、社内の理解、人材の確保、「3.品質管理業務」の項では、職員の意図的不正への対策と製造所監査に関し、それぞれ、その重要性や対応の考え方が解説されています。なお、「4.安全確保業務」に関しては、情報収集の範囲ほか、品質管理業務と同様な観点から留意事項が示されています。

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浅井 俊一

浅井 俊一

1974年ロート製薬入社。品質管理・薬事・品質保証の各業務にそれぞれ7年・15年・16年間従事。退職後、2018年まで中国の原薬工場および国内受託企業において、改善・人材育成を含む品質保証全般に携わる。
中国での活動に、「新薬事法下の日本の医薬品品質保証体制」(2009/上海),「日本に輸出するための原薬品質の要件」(2017年/杭州)などの講演や、北京CFDA(現, NMPA)主管「医薬経済報」への「中国原薬の品質確保の視点」の連載(2012年)などがある。
取り組みテーマは「製薬工場のヒューマンエラー対策」,「中国等の海外原薬の品質と安定供給の確保」,「GMP記録の信頼性確保」,「組織コミュニケーションの活性化」,「作業者のモチベーションの確保」など。
著書に「改訂版GMP教育訓練マニュアル」(㈱じほう、共著),「3極対応/試験検査室管理実践資料集」(㈱情報機構、共著)などがある。
元,日薬連品質委員会常任委員。元,日本OTC医薬品協会品質委員会委員長。元日薬連CSV検討会メンバー。 薬剤師。