2019.10.25.FRI

試験室管理

QCの役割を徹底理解【第10回】

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執筆者:脇坂 盛雄

QCの役割を徹底理解【第9回】

日本薬局方(日局)など公定書を知る(2)


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日局品の保証について
・GMP許可のある製造所で製造/出荷&COA
・原薬がGMPでない場合は、転用理由を出す
・添加剤で日局品でない場合は、製造所で日局試験により適合すれば日局品として使ってよい。ただし、当局は最近、日局品があればそれを購入するように指導している。

公定書への新規収載について
別紙規格だと、ユーザーが様々な規格で申請している場合があります。そこで日局/薬添規に新規収載することで、規格を1本にできます。

公定書の変更について
公定書の変更は、業界を通して提案するか当局に直接提案することで可能になります。ただし、それを当局が受けるかどうかは別の話になりますが。

日局収載基準(過去と今は異なる)について
 含量均一性試験が入っている(今の基準では不要)場合、業界を通してまたは直接提案すれば重量偏差試験へ変更可能になります。ただし、提案した会社がデータの提供などをする場合があります。

日本薬局方標準品について
日本薬局方に規定された試験に用いるために一定の品質に調製されたもの
1)厚生労働大臣の登録を受けた者が製造する標準品
医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団(旧日本公定書協会)
2)国立感染症研究所が製造する標準品

日局に収載された場合、試験において標準品が必要な場合は登録されて販売されます。医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団が日局標準品を販売しています。日局に収載されていない場合は、製造販売承認書(未日局収載品)に標準品の規定が明記されています。

従来は原則として含量(純度)を表示していなかったが、現在は純度が表示されています。当時公定書協会に尋ねたら、99.5%未満の場合にはその純度が表示しているとのことでした。含量算出にはその純度で補正する旨が標準品に明記されています。

医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団
https://www.pmrj-rs.jp/faq/#sec-keeping(参照2019-09-12) より
定量的試験に用いる標準品については、日局各条の含量規格値が有効数字3桁で規定されているとき、標準品の用途である試験法を考慮した純度が99.5%未満の場合、補正係数として有効数字3桁で表示します。また、生薬成分標準品など、日局各条の含量規格値が有効数字2桁で規定されているとき、標準品の用途である試験法を考慮した純度が99.0%未満の場合、補正係数として有効数字2桁で表示します。
ただし、一度補正係数を表示した標準品については、ロット更新によって純度が向上して99.5%あるいは99.0%以上となっても、補正係数の表示を継続しています。そのため、99.5%以上の純度(例えば「補正係数0.997」)が表示されている標準品もあります。
また、第十七改正日本薬局方第一追補以降に新規に設定された標準品については、定量的試験に用いる標準品すべてについて補正係数を表示しています。

[問]GMP8-21(標準品等) 医薬品・医薬部外品GMP省令第8条第3項の品質管理基準書の記載事項としての一部改正施行通知第3章第3の8(10)コの「試験検査に用いられる標準品及び試薬試液等の品質確保に関する事項」を記載する上での注意事項を示してほしい。


[答]標準品及び試薬試液等が、適切に管理されるために必要な事項について、あらかじめ明記しておくこと。具体的には例えば以下の事項が挙げられる。
1.標準品及び試薬試液は、手順書に従って調製され、表示がなされ使用期限が適切に設定されること。
2.いわゆる一次標準品の供給者についてあらかじめ文書により定めること。一次標準品についてあらかじめ定められた手順に従って使用及び保管を行い、記録を作成すること(公式に認められた供給者から入手した当該承認書の規定に適合する一次標準品は、当該供給者の定めた手順に従って保管される場合には、通例、試験検査を行うことなく使用に供することができる。)。
3.公式に認定を受けた供給者から一次標準品を入手することができない場合には、「自家製一次標準品」を設定すること。「自家製一次標準品」については、同一性及び純度を立証するために適切な試験検査を行い、記録を作成し、これを保管すること。
4.いわゆる二次標準品については、入手又は調製、試験検査、承認及び保管を適切に行うこと。二次標準品の各ロットが適切なものであるか否かについて、その初回使用前に一次標準品との比較により明らかにすること。
二次標準品の各ロットはあらかじめ定められた実施計画書に従って、定期的に適格性を再確認すること。

 日局標準品は二次標準品を作成して使うことが認められています。ただし、1回/年程度、日局標準品とのトレーサビリティを確認しておいた方がよいと思われます。
 日局標準品を使い年間100~200万円購入している製造所もあります。Q&Aで日局標準品の二次標準品を作成することは認められているので、それを作成し、日局標準品に使っている費用削減もQCの業務の一つであると思います。QCも製造所の重要な組織です。製造所において医薬品の①品質の確保②タイムリーな供給(欠品回避)が重要課題です。それを継続していくためにはコスト削減も重要な課題になります。
 ある製造所では日局標準品を一年分購入していました。欠品を恐れての対策のようです。日局標準品には使用期限が記載されていません。前に公定書協会時代に、日局標準品の使用期限を尋ねたことがあります。返答は「速やかに使ってください」とのことで、「速やかとどのくらいですか?」と再度尋ねても使用期限については言及されませんでした。速やかとは1か月くらい、長くても~3か月以内ではないでしょうか? 日局標準品は7日以内に発送されるとのことですので、それ以上になると、その日局標準品が安定であるとの根拠データが必要になります。しかし、そのデータを取っていませんでした。

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脇坂 盛雄

脇坂 盛雄

1979年エーザイ株式会社入社、9年間、品質管理と21年間、品質保証を担う。
専門領域はGQP品質保証、注射剤及び固形剤の異物対応、品質リスクの発見と低減対応 ・医薬品/食品の表示校閲、製品回収リスク回避対策 ・逸脱/苦情対応、変更管理(一変/軽微変更)対応。品質保証責任者(品責)、統括部長および理事を歴任し、2013年9月末に退職。
現在は企業のコンサル・顧問を行う傍ら講演会講師、書籍執筆などを精力的に行っている。