2019.09.13.FRI

レギュレーション

ドマさんの徒然なるままに【第8話】

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執筆者:古田 ドマ

ドマさんの徒然なるままに【第7話】



第8話:QA三秒ショッキング

♪♪♪  ~ ♬ ♬ ♩ ♩ ♩ ♫ ♫ (某ご長寿料理番組のミュージックのつもり)

残暑お見舞い申し上げます。
暑さしのぎにはなりませんが、暑さで低下した思考回路修復のためにちょっと一息。
こんなのはいかがかでしょうか?

● 悪気はない製造部門・1
QA部門のオフィスで、
 「神経を遣う仕事で大変ですねー。」
製造現場(身内だけに聞こえる程度に)で、
 「このくそ忙しい中、何しに来たんだー!?」

●  悪気はない製造部門・2
QA部門のオフィスで、
 「出荷のためのバッチレビュー、お疲れ様です。」
製造部門の管理室(身内だけ)で、
 「バッチレビュー? QAって俺たちのやってること信じてないんだよなー。」

●  悪気はないQC・1
顧客監査・オーディターの質問とその回答の場で、
 「この試験検査シート原本の承認と管理はQAですか?」
 「はい、そうです。」
 「実際に使用するシートの発行もQAですか?」
 「はい、そうです。」
QCオフィス(身内だけ)で、
 「規格及び試験方法の設定も分かってないQAが承認? ふざけんじゃないよ。」

●  悪気はないQC・2
顧客監査・オーディターの質問とその回答の場で、
 「Excelスプレッドシートのバリデーションは定期的に行っていますか?」
 「はい、行っています。」
 「バリデーションの承認はQCですか、それともQAですか?」
 「QAです。」
QCオフィス(身内だけ)で、
 「QAが承認って言ったって、計画書と報告書があるかないかだけで、中身なんか
  何も見てないんじゃないのか!?」

●  悪気はないQA・1
顧客監査・オーディターの質問とその回答の場で、
 「Master Batch Record(MBR)の承認と保管はQAですか?」
 「はい、そうです。」
 「実際に使用するバッチ指図記録書の発行もQAですか?」
 「はい、そうです。QAがコピーし発行署名します。」
QAオフィスで製造部門の者からバッチ指図記録書の発行依頼を受けて、
 「あのキャビネットにMBRが入っているから、そこのコピー機で必要部数コピー
  して。それからQAの発行承認スタンプこれだから、自分でやっておいて。」
《筆者注》当たり前ですが、これはMBRシステムそのもの(本来の目的)を無視した
     行為です。セルフサービスで済まされる問題ではありません。監査・査察時
     であれば、QAの信頼を失墜させるcriticalとも言える指摘になると思います。


●  悪気はないQA・2
QAによる自己点検で、
 「入退室記録・点検記録・清掃記録等の日常記録に漏れが多いんじゃないか。」
 「すいません、注意します。」
顧客監査による各記録類のQA確認と承認についての書面調査で、
 「各記録類の月次のレビューと承認はQAですか?」
 「はい、そうです。」
 「承認欄に漏れが多いように思うが。」
 「すいません、注意します。」
《筆者注》他人に厳しく、自分に甘い。うーん、GxPの精神からすると、そういう問題
     では済まされないと思いますが、まずは率先垂範。


●  知識 (だけの) 管理
自己点検の開始時に製造部門の担当者に、
 「バリデーションは知ってる?」
 「はい、知ってます。」
 「クオリフィケーションは知ってる?」
 「はい、知ってます。」
 「ベリフィケーションは知ってる?」
 「はい、知ってます。」
 「じゃ、バリデーション等はやってると思っていいのかな?」
 「いいえ、やったことはありません。」
 「お宅、何年この部署にいるの?」
 「えーと、トータル18年かな。部門責任者としては5年前からですが、何か?」
《筆者注》定期的な設備機器のクオリフィケーションは必須ですし、現在のプロセスバ
     リデーションの考え方では、Ongoing Process Verificationもあります。
     また長い間には変更の再バリデーションも発生するでしょう。それで「やっ
     たことがない」というのでは、さすがに問題ありと言わざるを得ないかと思
     います。本件の場合、知識と言えるレベルに至っておらず、正確には「情報
     だけの管理」と言ったところでしょうか。


●  自己点検
自己点検の開始時に被点検部署の面々に、
 「では、これから自己点検を始めます。」
 「熱なし、吐き気なし、ケガなし。はい、特に健康に問題ありません。」
 「あなた、何を言ってるの?」
 「いま、点検始めますって言ったじゃないですかー。」
 「・・・」
《筆者注》確かに、GMPやISOなどを知らない者に対して「自己点検」と言えば、こん
     な身体のセルフチェックになってしまうかもしれません。ただ、GMP組織内
     の者であれば、それこそ教育訓練不足という判定になるかと思います。


●  育訓練
教育訓練の開始時に、
 「教育訓練記録として残すので、出席者は出席名簿に部署と氏名を記入してから
  退出してください。」
 「今すぐ書きますので、受講票を回してください。」
《筆者注》開始直後に退席する者はさすがにいないと思いますが、何らかの理由により
     途中退席する者が発生することは考えられます。退席のタイミングにも依存
     すると思いますが、皆様の会社の「教育訓練に関する手順書」の中に、“途中
     退席者の取り扱い”について規定されていますか? 通常で考えれば、欠席者
     と同様に別日時で再受講すれば済む話ですが、こういうところを嫌がらせの
     ように突っつく監査員や査察官がいないとも限りませんので。


●  育訓練
教育訓練の最中に、
 「今日はPCを使わないので使用を止めていただけますか? 他の受講者への迷惑
  にもなりますし。」
 「いやー、ヤバイ逸脱が発生して大変なんっすよ。」
《筆者注》表現や状況は別として実話です。社内・社外を問わず、会場によってはプロ
     ジェクタ投影画面が小さく、かつ事前のダウンロード資料だけで印刷物によ
     るハンドアウトがなく、やむを得ずPC画面でスライド確認する場合もあるか
     もしれません。が、大方は個人のメールチェック等、教育に無関係な作業で
     あることが多いように思われます。これが管理者や責任者であれば、教育訓
     練そのものを否定することに繋がりますので、ご注意のほど。ちなみに、余
     談ですが、講師サイドからは、内職している者だけでなく、寝ている者、眠
     そうなのを必死に堪えている者など、全て見えています。


●  書管理
顧客監査の場で、
 「●●記録がありませんが、どうしたんですか?」
 「廃棄しました。」
 「GMP管理に係る記録なので、必要年数、保管義務があると思いますが。何か
  廃棄理由はあるのですか?」
 「保管しておくのが面倒というのが理由です。」
《筆者注》本件、ショートコント風に脚色してはいますが、趣旨的にかなり類似した
     実話に基づいています。


内容がないって? そう堅いこと言わずに。あくまで、このGMDPエッセイ、特に本話については、純粋な教育資料として執筆しているつもりはなく、混雑した電車内、出社後仕事開始前の一息、あるいは会議終了後の一服といった息抜きまたは気分転換を一番の目的として執筆している。しかし、よく読むと笑いながらもちょっとだけ勉強になる、考え方としては参考になるという意味合いも込めている。執筆サイドから言えば、ある程度下地としてGxPの知識・経験がないと笑えないと言えるレベルを対象に書いている。そういう意味では、あまり初心者向きではないかもしれない。笑いのツボが分からなかったら、自分で勉強するか、先輩や上司にお尋ねください。もし先輩・上司がそのツボを理解できなかった場合であったら、部署・会社として真剣に勉強し直しましょう。

では、また。See you next time on the WEB.


【徒然後記】
歳をとった証なのだろうか。最近、涙もろくなった。TVなどを観ていて、ちょっと感動的な場面や台詞で泣いてしまう。号泣するわけではないが、目頭が熱くなり、場合によっては、涙を流してしまうのである。還暦過ぎた、いいオヤジがである。しかも、感動的な場面や台詞だけではない。5年近く前に他界した家内が生前行きたがっていた温泉や世界遺産などが画面に出てきても泣いてしまう。妻に先立たれるシナリオは想定していなかった。こんなことになるんだったら、連れて行ってあげれば良かった。「いま忙しいから、定年になって時間が出来たらな・・・。」なんて素っ気ない言葉を吐いていた。単なる言い訳でしかない。人間、明日のことなど分からない。過去には戻れない。GMPで品質リスクマネジメントだ、何だと偉そうに言っている自分。でも、ホントは、人生のリスクマネジメントが全くできていなかった。後悔してもし切れない。自分を責めながら、今も生きている。

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古田 ドマ

古田 ドマ

GMDPエッセイスト

2018年に薬業関係の某有名誌のオンライン版にコラムニストとして忽然と登場。製薬業界の内部事情に詳しく、特に監査業務に造詣が深いことから、医薬品の品質保証業務に従事していたものと推測されるが、その正体は不明。毒舌的な内容が多いものの、ヒューマニズムを掻き立てる心温まる物語的な内容のものもあり、歯に衣着せぬ物言いは実務担当者にとっての心の声を反映した本音トークとも言える。

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