2019.08.23.FRI

品質システム(PQS)

医薬品品質保証こぼれ話【第7回】

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執筆者:浅井 俊一

医薬品品質保証こぼれ話【第6回】

医薬品品質保証こぼれ話

【第7話】後発医薬品の重要性と課題

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最近、調剤薬局に勤務する知人と話す機会が何度かあり、後発医薬品(以下、「ジェネリック医薬品」)の使用や推奨などに関し、調剤の現場の情報を得ることができました。これまで、あまりこういう機会がなく、製薬工場で製造された医薬品が、どのような形で医療の現場で使用されているかということについて、大変参考になりました。私に限らず、医薬品の製造や品質保証に携わる者は、医薬品が医療や調剤の現場でどのように使用され、どういう問題を抱えているかといった点について、あまり多くを知らないように思います。

逆に、医薬品を医療の現場で使用する立場に立ち、医療に携わる医師や調剤を担う薬剤師は、医薬品の製造や品質保証に関する情報に乏しいのが現状のようです。例えば、ジェネリック医薬品に使用される原薬の多くが、現在、中国やインドなど海外から輸入されているといったことも、その一つです。立場が変われば、業務に必要な知識や情報も異なり、日常、必要としない知識や情報に疎くなるのは当然ですが、同じ医薬品を取り扱う者として、お互いの業務の状況をもう少し知っておいたほうが、対応に幅もでき、日常の業務もより適切に行えるのではないでしょうか?ちなみに、これに関連する事項として、最近、医療側の要請に応じ、大手ジェネリック医薬品企業を中心に、原薬製造国をネット上で開示する動きが見られることは、歓迎されるべきことと言えるでしょう。

さて、現在、ジェネリック医薬品は政府の使用促進策により使用率が上がり、目標の「2020年9月80%達成」に向けて順調に推移しているようです。厚生労働省の調査によれば、2018年9月には72.6%に達しており、このまま推移すれば、来秋には目標の80%達成が見込まれ、ジェネリック医薬品の重要性は益々、高まります。この状況の中、オーソライズドジェネリックの上市など、ジェネリック医薬品を取り巻く環境も少しずつ変化してきていますが、一方で、品質面の課題も見られます。

一つは、使用する原薬の多くが海外から輸入される状況下、このところ、海外原薬に起因する異物混入などの品質問題が散見されることです。その中には、セファゾリンのようなKey Drugへの異物混入により、医療現場に混乱を来たしている事例も見られます。このほか、過去には、GMP不適合や試験記録の改ざんなどによる、工場の操業停止が原因で原薬の安定供給に支障が生じ、汎用される医薬品の欠品を招いたケースもあります。こういった海外原薬の品質問題(リスク)は、最近の医薬品回収報告からも見てとれます。海外原薬の使用理由には、製造コストの削減に加え、安定供給のためのリスク回避を目的とした代替原薬の確保という観点もありますが、いずれにせよ、ジェネリック医薬品の使用率の上昇に伴い、海外原薬のさらなる使用が見込まれることを考慮すると、「海外原薬の品質確保」は日本の医療の根幹に関わる喫緊の課題と言えるでしょう。

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浅井 俊一

浅井 俊一

1974年ロート製薬入社。品質管理・薬事・品質保証の各業務にそれぞれ7年・15年・16年間従事。退職後、2018年まで中国の原薬工場および国内受託企業において、改善・人材育成を含む品質保証全般に携わる。
中国での活動に、「新薬事法下の日本の医薬品品質保証体制」(2009/上海),「日本に輸出するための原薬品質の要件」(2017年/杭州)などの講演や、北京CFDA(現, NMPA)主管「医薬経済報」への「中国原薬の品質確保の視点」の連載(2012年)などがある。
取り組みテーマは「製薬工場のヒューマンエラー対策」,「中国等の海外原薬の品質と安定供給の確保」,「GMP記録の信頼性確保」,「組織コミュニケーションの活性化」,「作業者のモチベーションの確保」など。
著書に「改訂版GMP教育訓練マニュアル」(㈱じほう、共著),「3極対応/試験検査室管理実践資料集」(㈱情報機構、共著)などがある。
元,日薬連品質委員会常任委員。元,日本OTC医薬品協会品質委員会委員長。元日薬連CSV検討会メンバー。 薬剤師。