2019.03.08.FRI

その他医療機器関連

医療機器関連業界のいま【第3回】

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執筆者:吉川 典子

医療機器関連業界のいま

【第3回】新しい技術に対する視点

●要旨
 新しい技術を取り扱うときには、受け入れの問題にぶつかることがあります。新規性を受け入れないのではなく、ステップを踏んでいくことを理解しておくことが肝要です。また、新しいことを受け入れる人たちを知っておくこともとても大事です。新しいことの兆しを知るための仕組みは存在しています。また、兆しを作るために、いくつかのコツがあります。
●はじめに 受け入れ側の問題?
 前回は、開発シーンにおける、プレイヤーの変化について、紹介しました。今回は、技術に対する態度に、焦点を当てます。新しい医療を支える技術は、シーズ発表会などで、盛んに公開されています。大学からの公開では、研究の価値がある新規性を持ったものが多いでしょう。しかし、それだけではなく、休眠特許の活用なども魅力的な手法です。すでにあるものと何かを組み合わせる、取り組んできた開発の課題を、他の分野のありふれた技術を取り入れて解決する、そのような方法で新しい製品やサービスが実現していることがあります。
 様々なプロジェクトの支援をしていますと、新しいものに対して、受け入れが悪い悩みをしばしば聞きます。特に、規制における受け入れの問題については、あまり良いイメージで語られることはありません。ドラマや映画の題材にも取り上げられることもあります。しかし、本当のところ、新しい技術に対して、どう進めていくか、真摯に考えることが大事なのです。
1 新規性を受け入れないのではない
 本連載の最初に、キャズムの話を書きました。これを少し違った目線で捉え直してみます。新しい技術を受け入れるのはどんな人々でしょうか?周囲がやっているから、私も、といった層ではありません。しかし、時間が経ち、その技術を周囲が受け入れて見慣れたものとなれば、より多くの人が受け入れることがあります。あなたの技術は、最初に、誰が受け入れるでしょうか?その層をまず浮かべてほしいと思います。
 ここで、別のことを扱います。薬機法を始め、医療製品に関する規制には、規格基準が存在していることは皆さんがよくご存知の通りです。こうした基準がどのように作られるか、ご存知ですか? PMDAのサイトに、それを説明したところがあります。ある程度こなれた技術に対して、規格基準が制定されますが、それよりも前の段階では、ガイドライン的なもの、が提供されます。ガイドラインになるよりも前の、有識者による考えはどうでしょうか?
 つまり、とても新しい技術が出てきた時、基準がありません。だからダメということではありません。有識者によって科学的な検討を始め、それから、必要に応じてガイドラインに仕上げ、一般化する時点で、産業としての規格基準が決まります。新しいものを受け入れないのではなく、ルールがこれから作られる、ということに過ぎません。
 
<図1 キャズム理論 再掲>


<図2 検討からガイドライン、規格基準へ>
 

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吉川 典子

吉川 典子

特定非営利活動法人医工連携推進機構 客員研究員 医工連携コーディネータ協議会会員
大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程にて生物学的人工肝臓をテーマに研究を行った後、製薬会社に入社し、開発企画実務を経験。兵庫県庁薬務課を皮切りに、保健衛生行政に携わる。政策研究などの経験も多い。医療機器センター調査部(PMDAの前身)にて、審査行政に関与。先端医療振興財団にて、振興業務に従事。神戸大学大学院医学研究科にて、プロジェクト支援を行った。また、各地の振興組織、大学研究機関での支援を長年行っており、医療従事者の目線を活かしたコラボ、参入促進や新規性の高い医療技術への支援に強みがある。
デザインに強い関心があり、京都造形芸術大学に在学中。