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葛城 知子・小暮 慶明

葛城 知子・小暮 慶明

筆者らは教育訓練とは何かについて、長年にわたり研鑽を積んできた。今回、その内容の一部を、テーマごとに簡潔にまとめてみた。


※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

葛城 知子・小暮 慶明の執筆記事一覧

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  • 2018/02/23

    品質システム(PQS)

    筆者等は、時として、製造委託先のGQP監査や、海外政府機関を前提としての模擬査察実施の依頼を受けて、日本国内の原薬製造や最終製品の工場を訪れ、多くの事を学ばせていただく機会がある。それらの工場を訪問するときは、事前に、インターネット、営業部門、品質保証部門(以下 “QA”と略記)、そして知人から可能な範囲で情報を入手している。これは、事前情報を総合して、監査等を効果的に進める戦略を練るためである。この「事前入手情報からの総合的判断」と、「実際に訪問して監査/模擬査察を行った印象」とは、かなりの相関性があると感じている。その一つが今回取り上げた「QAの質(quality)」と、「工場(企業)としての信頼性・誠実さ(trust and sincerity)」の確保との相関である。

  • 2017/12/31

    品質システム(PQS)

    短期間の非正規社員(派遣社員)の存在は、製薬業界においてその存在は大きなものである。日本国内の若年労働者数の減少は、各企業で正規社員を増加させ、優秀な職員を確保しようとする傾向を生み出している。しかし、正規社員化を進めるにあたっては、生産変動に対応させて、迅速な人員の組替えのシステムを同時に構築する必要性がある。それがうまく機能しなければ、組織の硬直化を招くことになる。
    短期間非正規社員(以下、「短期間派遣社員」と表記する)の雇用は、この組織硬直化への対応手段として用いられると推測される。そのため、この先10年ほどの期間では、全社員に対する短期間の非正規社員の比率は、減ることはなく、むしろ増加する可能性をもっている。

  • 2017/11/24

    品質システム(PQS)

    GMP三原則は、日本がGMPを導入するとき、厚生省(当時)の課長補佐であった佐藤氏がGMPの概念をわかりやすく分類したものといわれている。その一番目には、「人による間違いを最小限にする」があげられている。医薬品業界における人の過誤によるトラブルの発生比率に関しての統計データは明らかにされていないが、他分野の事例から推測して、かなりの比率であると考える。
    しかし、医薬品工場における人の過誤、いわゆるヒューマンエラーの防止について、GMP教育としては勿論のこと、工場内研修の形でも、殆ど教育らしきものがされていない。多くの場合、一部の社員を派遣して、社外研修を受けさせているのが実態である。これから推測されることは、人の過誤の問題の重要性は認識されているものの、工場内にそのような専門知識を持つ者がいない、あるいは教育してもその効果が見えないために、GMP教育訓練のテーマとしては避けて、現状維持をしていると思われる。

  • 2017/10/30

    品質システム(PQS)

    前回は、教育訓練者と教育訓練受講者の思いについて述べた。今回は「教育訓練者の適格性」ということを考えてみたい。教育訓練も様々な形態があるのが、今回の話は「集合教育(off-JT)で、座学」を前提としているため「教育訓練者(trainer)」を「講師」に、「被教育訓練者(trainee)」を「受講者」と言葉を置き換えて話を進めることにする。

  • 2017/09/30

    品質システム(PQS)

    この連載記事の目的は、約10年後のGMP教育訓練が置かれている状況を推測し、その対応の方向性と、今からどの様な心構えを持ち、準備をすべきかを述べることにある。また、対象読者として「QA部門のGMP教育担当者」と「工場のGMP対象部門の管理職」を前提としている。そのために、連載記事の内容が現実の問題点を捉えておらず、「概念的な話であり、現実味に欠けている」という意味のコメントを頂戴している。そのコメントに応える形で書き上げたこの記事が、いまだに“抽象的”な域を出ないことは、ひとえに筆者の力量の不足によるものである。
    筆者等も長年にわたり企業内でGMP教育訓練を担当していたので、ご批判は正鵠を射ており、真摯に受け止めなければならないと感じている。その一方で、教育を実施する場合の立場の違い(訓練者側の思いと、受講者側の思い)、それに加えて個人の考え方や置かれている状況は大きく異なっていることも経験している。話が抽象的になると普遍性は高まるものの、現実の問題への応用が困難になるこれは、全ての教育訓練に共通する悩ましい事項である。
    これまでの連載記事は、目的や読者の対象者層を考えて普遍性を優先させたが、頂いたコメントへの反省の意味を込めて、今回は、あえてこの「思いの違い」を取り上げることにした。「思いのギャップ」の問題は10年後であっても、基本的にその状況は変わらないであろう。

  • 2017/08/25

    品質システム(PQS)

    Off-JT(職場外訓練)は、OJT(On-the-job training;職場内訓練)と対比される用語である。企業での人材育成の主たるプログラムはOJTとなっており、GMP教育訓練でも例外ではない。Off-JTの位置づけは、OJTを補完させるというのが、各製薬工場での共通した姿である。Off-JTは座学という形式で対象者を集合的に教育する形態が多いので、Off-JTを集合教育と呼ぶ事例も見られる。Off-JTには外部研修という形で、企業外の組織に教育を委託するプログラムもある。しかし、この連載では製薬工場内でのGMP教育訓練を前提としているので、ここでのOff-JTは「医薬品GMPに関しての、工場内での座学形式の集合“教育”」について話を進めたい。
    またOff-JTの実施方式は、各企業のGMPの状況によって、その実施方法や運営面で大きく異なるであろう。各企業特有の品質を重んじる文化や、従業員の品質への士気によって、その具体的な対応を最適化することが必要である。記載内容とこの点のミスマッチは、本連載を行うにあたり設定した趣旨や対象読者層の制約によることを、ご理解頂きたい。
    一方で、受講者がGMP教育に望むことと、教育訓練者の思いの「行き違い」については、次回以降で取り上げたいと考える。

  • 2017/07/24

    品質システム(PQS)

    今回も主として概念的な話となるが、すこしずつ具体的な話を取り入れて行きたいと考えている。さて、OJTは、いうまでもなく“On-the-job training”または“On Job Training”の略称である。“direct instruction” (直接指導)とも呼ばれており、英国では“sit-by-me training”(傍に座らせての訓練)とも呼ばれる。OJTの日本語訳は、ネットで調べてみると「職場内研修」や「職場内訓練」という訳語が定着していると思われる。比較的長期にわたってのOJTは、「計画的OJT」とも呼ばれている。
    ネットにはOJTに関わるwebsiteがあふれており、OJTを学ぶに上での情報入手には、事欠かないであろう。このことは、OJTという教育訓練形態が産業界で普遍的である反面、その実施と効果は問題も多くあることを示唆している。事実、ネット上には「OJTで指導を受けたが、役立った記憶が無い」とか「新人の教育をOJTで指導するように命じられたが、業務多忙のなかで困惑している」と言った意味の投稿も多い。
    今回は、OJTが本来どの様な意図を以って成立したのか、またOJTの導入、運営、そして評価で留意すべき事項は何かを議論する。

  • 2017/06/26

    品質システム(PQS)

    経済のグローバル化の波が身近まで押し寄せている今日では、社内GMP文書の英訳を命じられた人は多いと思われる。そのような時に「GMP教育訓練」の用語を英訳するのに、戸惑った経験を持つ人は多いであろう。GMP教育訓練に相当する訳語は、“GMP Training”とするのが一般的である。しかし“Training”という単語は、日本語の「教育」という意味を含んでいない。
    それでは、日本におけるGMPの「教育訓練」の実施内容は、欧米の“Training”の内容と異なるのであろうか。このことへの妥当な回答は「教育訓練プログラムの実施内容は殆ど同じであるが、その基本的理念が異なる」というものであろう。日本は題名に「教育」の文字を入れている思いは、日本のGMP教育訓練の理念の現れのように思われる。実は、「教育・訓練」の理念的側面は、かなりその国の文化的な影響を大きく受けるものである。今回はこの問題を掘り下げることによって、GMP教育訓練の根底にある考え方を探って行きたい。

  • 2017/05/29

    品質システム(PQS)

    この連載の意図は、多くの人々が係わるGMPでの教育訓練のあり方を、約10年後の将来の姿を想定して、どの様なシステムの構築を目指すべきかについての問題提起である。つまり、GMP教育訓練の「テクニック」を述べるものではなく、製薬工場の経営陣、管理者、教育訓練担当者そして人事部門担当者が、今後のGMP教育訓練をどの様な方向で考えるべきかを考える契機として役立つことを目指している。