2018.12.07.FRI

レギュレーション

PIC/S データインテグリティドラフトガイダンス

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執筆者:余 知暁

PIC/S データインテグリティドラフトガイダンス

2018年11月30日にPIC/Sはデータインテグリティに関するドラフトガイダンスの第三版のパブコメを公布した。
データインテグリティ自体は新しいものではないが、その概念は近年出た新しいものである。国際的にGMP査察する時に関心を集める問題であり、各国の工場がGMP査察において頻繁に指摘された点である。
2015年から、多くの国の当局を含む組織が、データインテグリティに関するガイダンスを続々公布した。

・2016年WHO(2015年初版を基にした。)

・2016年4月米国FDA

・2018年イギリスMHRA(2016年7月に初版を公布した)

・2018年11月PIC/S(2016年8月のガイダンスの第2版を基にし、第3版を公布した。)

適用範囲について、上記4つの組織から公布されたデータインテグリティに関するガイダンスのタイトルからも分かるが、米国FDAがGMPに限定している以外に、他の3つは医薬品に関係する活動にも関連している。そのため、内容もそれぞれ異なる。
WHOのガイダンスにおいては、GMP以外に、GLPとGCPの活動にも適用している。
イギリスMHRAのガイダンスにおいては、更に広い範囲となり、医薬品のライフサイクルに関係するGLP、GCP、GMP、GDP、そして市販後のGVP活動にも適用している。
PIC/Sのガイダンスにおいては、医薬品のGMPとGDP活動に適用している。
話をPIC/Sのデータインテグリティガイダンスに戻す。3.1.1に明確に書かれているように、このガイダンスは査察官が査察を実施する時、データインテグリティ管理に関連するGMP/GDP要件を確認するためのものである。つまり、業界向けではない。ただし、このガイダンスにより、査察実施時の視点が分かるので、業界にとっても参考になるのではないかと思う。
PIC/Sデータインテグリティドラフトガイダンスの第3版は、第2版に比べ、各章の内容に増減がある。ただし、下記のように基本的構成は変わっていない。

1. Document history(発効日)
2. Introduction(概要)
3. Purpose(目的)
4. Scope(適用範囲)
5. Data governance system(データ管理システム)
6. Organisational influences on successful data integrity management
(効果的なデータインテグリティの管理に影響する組織)
7. General data integrity principles and enablers
(基本的なデータインテグリティの原則と有効手段)
8. Specific data integrity considerations for paper-based systems
(紙媒体システムに対する特別なデータインテグリティの配慮)
9. Specific data integrity considerations for computerised systems
(コンピュータ化システムに対する特別なデータインテグリティの配慮)
10. Data integrity considerations for outsourced activities
(アウトソーシング活動に対するデータインテグリティの配慮)
11. Regulatory actions in response to data integrity findings
(データインテグリティに関する指摘に対応する規制措置)
12. Remediation of data integrity issues
(データインテグリティ問題の是正)
13. Definitions
(定義)
14. Revision history 
(改定履歴)


内容の詳細における、主な変更点は下記の通りであると考える。大きく変化がある2、3、5、6、8、9、11章について簡単に記す。
 

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余 知暁

余 知暁

株式会社シーエムプラス中国リエゾンオフィス所長、GMP Platform コンサルタント。
2005年瀋陽薬科大学を卒業、同年日系大手エンジニアリング会社に入社。GMP部門のバリデーションエンジニアとして、日本において新設医薬製剤工場設立におけるバリデーション業務、DQ/IQ/OQ要領書の作成に従事。2010年上海東富龍科技股分有限公司入社。凍結乾燥機のエンジニアリング業務での通訳及び日中間における各種契約事項の調整に携わる。2013年株式会社シーエムプラスに入社。
PMDAによる中国製薬企業原薬工場GMP調査での通訳経験を複数回有し、中国語、日本語、英語と三ヶ国語を扱う。
2018年には中国CFDA(現NMPA)が主催する『日本のGMP査察システムに関する検討会』にメンバーとして参加。

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