2018.11.09.FRI

そのほか

業界雑感 2018年10月

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執筆者:村田 兼一

業界雑感 2018年8月

 オプジーボの薬価がまた引き下げられる。薬価は100mg1瓶が27万8029円から17万3768円まで引き下げられ、引き下げ幅は37.5%となる。2014年9月の薬価収載時は72万9849円だったのだから、わずか4年で四分の一以下まで引き下げられたことになる。また、今のタイミングでの薬価引き下げは本年4月に行われた薬価制度の抜本改革で導入された、年間販売額が350億円を超える医薬品について、適応拡大など市場が拡大したり用法・用量が変わったりした場合、年4回ある新薬の薬価収載のタイミングにあわせて薬価を見直すというルールにもとづくもの。以前にも書いているが、過去3回の薬価引き下げのうちで、一回目の薬価引き下げは2年に1度の引き下げのはずが突然特例拡大再算定を持ち出し、定例の薬価改定後一年目の改定、今回の3回目改訂は今年になってルール変更されたいわば後付けルールによるもの。従来通りのルールなら2018年4月の薬価改定で50%の改定が適用されるだけで現在販売されているはずだったのである。
 そのオプジーボに関して、京都大学の本庶佑特別教授がノーベル賞を受賞することが決まった。生理学・医学賞として日本人の受賞は5人目となるが、受賞内容が治療用薬剤の開発と直結しているという意味では、日本の製薬業界としては初めての経験ではないかと思う。オプジーボに関する特許は本庶先生と小野薬品の共同所有で、小野薬品からはある程度のロイヤリティは支払われているが、本庶教授はそれとは別に売り上げの一部を大学に寄付する形で基金を設立し、若手の研究者育成に充てたいとの思いがあるようで、小野薬品との軋轢が生まれているとの報道。受賞会見で「この研究に関して、小野薬品は全く貢献していません」と断言されていたことはいささか残念ではあるが、後付けの薬価改定ルール変更で数千億円の売り上げをさらわれた立場として、さらに今後に向けても医療費抑制が続く不透明な状況であることも理解しなければならないと思う。

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村田 兼一

村田 兼一

村田兼一コンサルティング株式会社代表取締役。
1978年藤沢薬品工業(現アステラス製薬)入社。注射剤製造、無菌バリデーション技術開発、FDA対応、基幹システム(SAP)開発等に従事後、生産本部にて中期戦略企画、工場分社化推進・合併準備委員会に携わる。合併後のアステラス製薬では、戦略企画の後、製造委受託の推進を担当する。
2012年に退社し、村田兼一コンサルティング株式会社設立。工場の原価をはじめとする計数マネジメントを中心に、SAP開発を含むサプライチェーン全般の管理・改善を専門とする。