2018.11.02.FRI

品質システム(PQS)

製販/MF国内管理人からみた外国医薬品製造所GMP適合性調査【第3回】

この記事を印刷する

執筆者:江森 健二

製販/MF国内管理人からみた外国医薬品製造所GMP適合性調査【第2回】

製販による事前監査と問題点
 MF国内管理人の立場からみて、原薬製造所への実地調査が決まると急に事前監査を申し出る製販(特に後発医薬品の場合)があり、日程調整に難航する場合がある。自社の国内製造所も同様であろうが、外国製造所も半年単位あるいは年単位で監査を受ける計画を立てるのが普通であることを理解しておくべきである。
 GQP省令第7条(製造業者等との取決め)には、「医薬品の製造販売業者は、製造業者等における製造管理及び品質管理の適正かつ円滑な実施を確保するため、製品の製造業者等と次に掲げる事項を取り決め、これを品質管理業務手順書等に記載しなければならない。」とあり、その三で「当該製造業者が適正かつ円滑な製造管理及び品質管理の下で行われていることについての製造販売業者による定期的な確認」が規定されている。また、施行通知の「5.製造業者等との取決め」には「(8)第3号の「定期的な確認」とは、製造開始前の確認及びその後の定期的な確認をいうこと。」とある。「製造開始前の確認」の時期をどのように考えるかは微妙であるが、プロセスバリデーションに用いた製剤を市販することが多いことを鑑みると、実地調査が決まって慌てふためいて原薬製造所の監査を言い出すのは製販としていかがなものかと思う。さらに、MF制度下で一番大切と思われる製法に係る部分は非開示パートであり、非開示下での製販による監査は片手落ちである感は否めない。また、この時点でMF登録内容と実態との整合性を確認したいとの理由で非開示パートの開示を求めることがあり、外国製造業者/MF国内管理人ともに対処に困惑することがある。品目選定に際して事前に製造元のGMPを十分調査したうえで製造業者を選定していると自信をもって言える製販はいかほどあろうか?MF制度の趣旨を理解したうえで、GMP/GQPに則った適切な対応を考える必要があると感じている。
 GMP調査における通訳の重要性については別途所感を述べる予定であるが、製販の監査においても重要であることに変わりはない。現地の言葉に自信がなく、自身でコミュニケーションを図れないと思う場合は、迷わず通訳をつけるべきである。通訳は一つの言語を他の言語に変換する訓練を受けたプロである。MF登録品を扱う場合等、多くの場合、外国製造業者との間には商社が介在するが、例え商社員が語学に堪能であるようにみえても通訳の代わりになるものではないことを知るべきである。個人でコミュニケーションが図れることと、その場で言語を変換して他人に伝えることは別である。

MF登録品目についての調査の問題点
 MF登録は、国内又は外国の原薬等製造業者等が法に規定する手続に従い、定められた様式の書類(登録申請書、変更登録申請書、軽微変更届書など)を機構に提出することにより行われる。即ち、登録を受けることが出来る(MF登録者になれる)のは原薬等を製造する者である。
 外国の製造業者がMF登録申請する場合は、日本国内に住所を有する当該登録申請等に係る事務を行う者(原薬等国内管理人)を選任する必要がある。
法的に原薬等国内管理人は、当該登録申請等に係る事務を行う者としてだけの責務であり何等要件は規定されていないが、次のような問題が発生していると指摘されている。
● 国内管理人がMF登録は行ったものの、単に送付された英文を和訳しただけであり、製造方法を理解していないことから十分な確認ができてなく、結果的に誤った記載のまま登録されていた。
● 国内管理人に薬事担当がおらず、製品及び照会事項の内容を十分に理解していなかったため、申請並びに照会事項対応が遅れた。
● 照会事項を製造所には連絡せず、MF国内管理人が自己判断により回答していた。
● MF国内管理人と製造所の間に、複数の海外エージェントが関与しているため、MF国内管理人が製造所と直接コミュニケーションが取れない。
● MF国内管理人がMFのメンテナンス(記載整備・変更登録・軽微変更届出)を過去に入手した古い情報を基に行っていた。

1 / 2ページ

江森 健二

江森 健二

ブリストル・マイヤーズ スクイブ(株)神奈川研究所 分析研究室、ファイザー(株)レギュラトリーオペレーション部、ヤンセンファーマ(株)CMC企画部を経て、商社 信頼性保証部に勤務。外資系CRO Independent Senior Consultant、CMC薬事全般に係る相談を頂いているPRD Consulting Group代表。
専門:CMC薬事、分析