2017.10.13.FRI

再生医療

再生医療等製品の品質確保のための要求事項【第2回】

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執筆者:水谷 学

再生医療等製品の品質確保のための要求事項【第1回】

再生医療等製品の品質確保のための要求事項

【第2回】再生医療等製品の製品設計と工程設計

 ここでは、再生医療等製品の製品設計の特徴と、製品開発者の工程設計における留意点について概説します。
 
●製品開発から工程設計への流れ
 再生医療等製品の製造工程設計は、目的とする治療の実現に向け、研究段階(製品開発)において安全性と有効性が推定された細胞の品質を維持しつつ、必要とされる量を定められた形態で準備するために不可欠な、「ただ一つの手段」の構築となります。その理由として、最終製品(細胞群)は、単一の化合物のような同一性の証明ができないので、同等性/同質性で同じであることを示す必要があります。しかしながら、細胞の同等性/同質性を示すことは、現在の科学技術では容易ではありません。そのため、原料(細胞および細胞以外)および製造工程の変更はできるだけ避けるべきと考えます。また、再生医療等製品の設計を行う開発者は、製品設計の段階において、治験(あるいは臨床研究)から商用生産時までの施設と製造工程を想定して、できるだけ早い段階でこれらの変更管理(変更によるリスク管理)が求められていることを理解する必要があります。
 実際の工程設計では、原料細胞の変更については論外ですが、特に、培地や添加剤のような細胞以外の原料については、最終製品の品質に直接関わることが想定されるので、変更を行うことはむずかしいと考えます。研究の後段階や工程設計の段階で細胞以外の原料を変更することで、もし同等性/同質性を示すことができなければ、それまでに取得したデータが一貫したエビデンスとして活用できなくなるリスクが生じるので留意が必要です。また、原料そのものではないですが、ancillary materials(製造中に細胞と接触するが最終製品の一部ではない資材)についても同様に留意が必要と考えます。
 同じく、製造工程も最終製品の品質と密接な関係が生じますので、軽々に変更を行うことはできません。工数や動作パラメータ変更により細胞品質に影響が生じる工程については、あらかじめ重要な工数の上限や動作の標準化など、細胞製造性を留意した設計の考え方が必要となります。

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水谷 学

水谷 学

大阪大学 大学院工学研究科 生命先端工学 特任講師。
1997年群馬大学大学院工学研究科博士後期課程を中退。国立循環器病センター研究所生体工学部にて生体適合性材料の研究を行った後、株式会社東海メディカルプロダクツにて循環器用カテーテルの開発および製造に関わる。2004年より株式会社セルシードにて再生医療に係る開発および品質保証を担当し、臨床用細胞加工物の工程設計や細胞培養加工施設の設計と運用を実施。東京女子医科大学での細胞シート製造装置開発を経て、2014年より現職。細胞製造システムの開発に従事。日本再生医療学会臨床培養士制度委員会委員、H-CARM特定認定再生医療等委員会委員。