2017.05.22.MON

品質システム(PQS)

製薬工場におけるヒューマンエラー対策の考え方【第2回】

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執筆者:浅井 俊一

製薬工場におけるヒューマンエラー対策の考え方【第1回】はじめに

製薬工場におけるヒューマンエラー対策の考え方

【第2回】求められる危機管理視点の経営姿勢

 医薬品の製造過程で発生するヒューマンエラー対策を考えるとき、先ず考慮しなければならないのは、医薬品は微量で生理活性を有し、一歩間違えば、服用する人の生命に重大な安全性上の問題を引き起こすという、極めて特殊な製造物であるという点です。この特性に鑑み、製造や販売に関して様々な規制が敷かれています。GMP省令はその代表であり、関連する行政通知とともに、医薬品製造に際する品質確保の手法が仔細に規定され、これに違反すると最悪の場合、営業停止が命令されることもあります。
 
 周知のように、医薬品の製造販売に関する業許可制度は2005年の法改正で大きな変更が行われ、それまでの「医薬品製造業」のみから「医薬品製造販売業」と「医薬品製造業」の2つに分けられ、製造販売業者が品目の承認の保有者となり、製造業者は品目承認の保有権限がない業態と定義されました。その結果、有効性、安全性、品質に関する最終責任は、製造販売業者に帰属することになりました。
 このことにより、医薬品の薬事・品質保証体制は製造販売業者が製造業者に対し、品質契約に基づき製造を委託するという形が基本となり、同時に、製造販売業者に対しては委託先製造業者を、品質確保を目的に管理監督し、必要に応じ改善指導することも許可要件とされました。ちなみに、ここでいう「委託先製造業者」には自社の製造所も含まれます。
 
 これに関する規制が、いわゆるGQP省令(「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令」)であり、この中で、製造販売業者が品質契約に基づき製造業者に対し実施すべき事項が詳しく規定されました。ちなみに、GQP省令と同様に、GVP省令(「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」)が施行され、これにより医薬品等の安全性の確保が図られています。製造販売業者はこのGQPとGVPの2つの省令を遵守し、製造業者を品質と安全性の確保の両面から監督・指導することが要件化されたということになります。
 また、関連して、GQP関連の責任者として品質保証責任者、GVP関連の責任者として安全管理責任者を任命・設置することが義務付けられ、この両者を統括する立場として、総括製造販売責任者の設置が義務付けられました。ちなみに、この総括製造販売責任者はGMPの製造管理者同様、薬剤師が資格要件となっています。

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浅井 俊一

浅井 俊一

1974年ロート製薬入社。品質管理・薬事・品質保証の各業務にそれぞれ7年・15年・16年間従事。退職後、2018年まで中国の原薬工場および国内受託企業において、改善・人材育成を含む品質保証全般に携わる。
中国での活動に、「新薬事法下の日本の医薬品品質保証体制」(2009/上海),「日本に輸出するための原薬品質の要件」(2017年/杭州)などの講演や、北京CFDA(現, NMPA)主管「医薬経済報」への「中国原薬の品質確保の視点」の連載(2012年)などがある。
取り組みテーマは「製薬工場のヒューマンエラー対策」,「中国等の海外原薬の品質と安定供給の確保」,「GMP記録の信頼性確保」,「組織コミュニケーションの活性化」,「作業者のモチベーションの確保」など。
著書に「改訂版GMP教育訓練マニュアル」(㈱じほう、共著),「3極対応/試験検査室管理実践資料集」(㈱情報機構、共著)などがある。
元,日薬連品質委員会常任委員。元,日本OTC医薬品協会品質委員会委員長。元日薬連CSV検討会メンバー。 薬剤師。