2016.10.27.THU

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現場の方に役に立つ化粧品GMP入門読本【第1回】

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執筆者:若山 義兼

【第1回】「化粧品」の概要

はじめに

 人が化粧を施す風習は、その目的が民族や文化の違いにより異なりますが、有史以来ずっと持ち続けられてきました。近世代に入り、美しく見せたい、美しくなりたい、という願望が、化粧品の普及と大衆化に拍車をかけ、まさに化粧品は文化のバロメーターとも言われるようになりました。化粧品が人間の本能に基づいて生まれた必需品です。必需品であるからこそ、これを製造・販売する企業は、顧客に適正な製品を恒常的に提供する責務があります。また研究開発機関でも、安全・安心を担保にしつつ、より高機能の化粧品の開発に弛まなく努力が続けられてきました。
 この一環として、昭和56年、業界の製造規範として、化粧品GMPが制定され、化粧品の製造管理・品質管理の定着が図られてきました。一方、医薬品等を含め化粧品のグローバル化の潮流のもと、平成13年には企業責任の拡大と消費者の商品選択のための情報の提供の義務化あるいは国際的な整合化を主眼とした制度の改正作業に着手し、平成14年に薬事法の大改正により市販後安全対策の強化を含めた大幅な許認可制度が行われ、平成17年4月には全面施行、化粧品の国際取引の拡大に伴い、各国で共通の化粧品規制に関する国際的統一ルールの作成が世界的に望まれ、改正薬事法の施行を機に、これまでの業界の製造規範を発展的解消、平成19年にはグローバルスタンダードであるISO22716(国際規格)が新しい業界規範に改正された。この改正を受けて、平成20年にISO22716(国際規格)を自主基準とすることが厚生労働省より通知され、化粧品GMP(自主基準)に準拠した製造管理・品質管理の徹底と定着化が業界の重要課題として課せられることになりました。
 しかし、GMPの実践に際して、「GMPの概念がわかり難い」GQP及びGMP規範等を読んでも何を言いたいのか分かりにくい」、「GMP書籍内容と実作業に大きなギャップがある」というように、多くの初心者がGMPの対応に戸惑いを感じられているように思われます。
 GMPの実践の中で、一番重要で最初に理解しなくてはならないことは、GMPの概念です。この概念の理解が不十分であると、どうしてもGMP拒絶感覚が芽生えてきます。GMPは特別のことを要求はしていません。お客さま(最終消費者)に安全・安心・満足に使用して頂くために、必要な最小限の決まりごとが述べられています。法令・規制要求事項は、普通、むつかしいことばで構成されています。一言一句の解釈の仕方にこだわると茶の木畑に入り込み本質を見失います。また、現場にそのようなことを持込んででも化粧品の品質向上には役にたちません。
 このようなことう踏まえ、化粧品企業の現場へのGMP浸透と定着化及び消費者満足に向けた化粧品品質の一段の向上の一助の願いから、入門読本を編纂しました。
 本稿は、Q&A様式で、できるだけわかり易い言葉で説明し、GMP初心者及び現場にて実際に作業しておられる方々を対象に、平たくかつ親しみ易さが前面に出るように纏めました。
 本稿の著作にあたり、日ごろ化粧品OEM製造所への監査とご指導をされ、現場に精通し見識豊かな化粧品製造販売業外山博美先生(注)に査読又アドバイスを頂き本稿を完成させました。
(注)ご略歴は本稿末尾の謝辞をご参考ください
 

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若山 義兼

若山 義兼

高槻医薬品GMP/食品ISOリサーチ所長
〈JRCA認定/品質マネジメントシステム〈QMS〉主任審査員〉
1966年名古屋大学工学部卒業、同年塩野義製薬入社。1992年まで設備適格性確認及びバリデーション(固形・液軟膏・無菌・動物薬品・植物薬品製剤、小分包装の処方設計、設備設計、工場建設)を担当、1993年より監査保証・品質保証に従事。その間、シオノギクオリカプスにてISO9001の管理責任者、品質監査室長を歴任し2003年退職。退職後はGMPコンサルタント及び大手ISO認証機関にてISO9001及びISO22000の審査業務に従事。またNPO-QAセンターにてGMP関連の講師を担当。