2021.06.04.FRI

品質システム(PQS)

省令改正案検討の経験からみるGMP省令改正のポイント【第1回】

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執筆者:寶田 哲仁

 改正GMP省令(以下、改正省令)が令和3年(以下、特段の理由がない限り西暦)4月28日付け官報(号外第98号)に掲載されました。名称は「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令」です。
 改正省令案は、2016年より厚生労働科学研究班「医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業 GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究」(代表研究者:櫻井信豪)で検討され、当年度末頃には案が厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課(以下、厚労省)に提出されました。厚生労働科学研究班(以下、厚労科研班)の委員には、業界側に日本製薬団体連合会(日薬連)品質委員会より、当局側としてPMDA等委員各数名が参加しての検討会となりました。
 2021年6月現在、正式に発出されているのは、改正省令の他(パブコメ回答は話題から除く)、同日発出の「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について」薬生監麻発0428第2号(以下、課長通知)です。課長通知は厚労科研班が直接関与せず、厚労省起草により、当局側委員によって確認作業(~コメント提供)が行われました。承知のとおり、課長通知にはバリデーションに関する規定も含まれており、バリデーション基準からバリデーション指針に名称変更されています。

改正のポイントは、大きくは次の3点かと思います。
 i)    医薬品品質システム(以下、PQS)の取込み
 ii)   平成25年8月30日薬食監麻発0830第1号通知(いわゆる施行通知)
   で追加された6項目のうちの5項目の取込み
 iii)   その他現状を踏まえた規制水準の整備等
 研究班での改正省令案は、研究成果物としての位置付け(いわゆるテクニカルレポート)で、例えば、今回新規に追加されたPQSの用語はICH Q10ガイドラインに準じて起草しましたが、法令上の用語の制限から厚労省での検討を経て、比較的大がかりな用語の変更が生じているのは承知のとおりです。その用語の差を課長通知が解説しながら埋めるという形になっています。従って、我々は省令を見ながら課長通知で概念を再確認し、更には今後改訂される予定のGMP事例集で運用の詳細(いわゆるHow to do)を判断していくという流れになります。
 このように、多少の解説を必要とすることから、規制の本質を理解することを目的に本稿を立ち上げることとしました。以降数回にわたり、省令や課長通知に関わる解釈を客観的に伝えるよう心掛ける予定ですが、これは筆者個人の経験に基づく見解となり、規制当局の正式な見解にはならないことを予めお断りします。
 

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寶田 哲仁

寶田 哲仁

東京理科大学薬学部 SCCPER 医薬品等品質・GMP講座プロジェクト研究員
1983年持田製薬株式会社入社;1989年以降品質保証業務,製造管理者・品質保証責任者等経て,2016年PMDA(無菌/生物/原薬シニア調査員,Asia Training Center等),2021年現職(再生医療等製品QbD,品質文化他)。ICH Q9製薬協副代表,Q9 Briefing Pack Team(本活動でUS FDAよりLeveraging Collaboration Award受賞),Q10製薬協専門委員,Q-IWG製薬協副代表,Q7-IWG 製薬協代表,PIC/S Annex 2A/2B WG,厚労科研(サクラ錠 Mock P2, サクラミル Mock S2, GMP/ GCTP省令改正案検討他)。