2021.03.05.FRI

品質システム(PQS)

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第42回】

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執筆者:中川原 愼也

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第41回】

QA業務


1.医薬品品質システム維持
 小林化工や化血研の事件にて、品質システムが適正に稼働していなかったことが取り上げられている。GMP省令改正1)において、QA業務を担う部署が求められている。ICH Q102)として、医薬品品質システムの構築は、すでに求められていた。しかし、品質や安全性は、目に見えるものではなく、通常業務としては、脚光を浴びる部署ではない。査察や監査の対応者として、逸脱やクレームの処理係程度にしか認識していない経営陣も少なからずいることだろう。今回のような事件が発生すると、品質システムとしての問題として、QA部署がどのような活動を行っていたか問われることになる。
 GMP省令3)で、「品質部門は、製造部門から独立していなければならない。」と規定されている。何故、独立していなければならないのか。品質部門であるQC(試験検査を担う部署)及びQA(品質保証を担う部署)はどちらも判定を行わなければならない組織である。
QCは試験検査に関しての判定であり、QAは出荷可否判定や逸脱処理、変更管理など多くの判定業務を担っている。品質部門は、スポーツの試合での審判員でなければならないと私は思う。実は、私は藤沢市少年野球の審判員をしていたが、少年野球チームから審判員の研修を受けた者が、市大会の審判をしていた。ただし、自分が所属するチームの試合は審判をすることができないことになっていた。それは、審判員として、公正な立場で判定ができない可能性があるからである。審判員は、どちらのチームに対しても、公正で中立な立場でなければならない。神戸製鋼が顧客との基準に不適であった製品の検査データを適合したかのように改ざんした事件があった。医薬品では、このような事件が起きないようGMPで、品質部門の独立を求めている。品質部門の独立は、日本だけではなく、海外のGMPでも求められている。しかし、安定供給を理由に、納期が迫った出荷可否判定などを急かされることも多いだろう。いくら急かされても、不十分なチェックにならないよう品質部門は努めなければならない。それが、品質部門が製造部門から独立していなければならない理由である。
 

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中川原 愼也

中川原 愼也

高田製薬株式会社生産本部品質統括部門品質統括部長
1984年神奈川県庁に入庁し、1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍した。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)の締結の際のEUの調査、2005年の製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職し、医薬品原薬輸入商社であるコーア商事株式会社で、品質保証部長として国内管理人としてのGQP取決め及び医薬品製造業としての GMP管理を統括した。2015年から株式会社ファーマプランニングにて、GxPコンサルタント業務に携わり、2017年高田製薬株式会社に入社、4月より同大宮工場製造管理者に就任。