2021.02.19.FRI

品質システム(PQS)

医薬品GMP理解の第一歩【第7回】

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執筆者:小山 靖人

医薬品GMP理解の第一歩【第6回】

GMP省令における品質システム要素から、CAPAの要点について

1.はじめに

 今回はCAPAについてご説明したいと思います。CAPAといいますのは、是正措置(Corrective Action)と予防措置(Preventive Action)の頭文字を取ったものです。筆者は以前に米国系の外資系医薬品企業に勤務していたことがあるのですが、2003~2004年の頃でしょうか、米国本社の方から急にキャパキャパという言葉が聞かれるようになってきまして、その当時は何のことやらよく理解できなかったことを思い出します。現在ではCAPAは医薬品業界でも広く知られるようになり、隔日の感があります。
 CAPAはもともとこの連載で何度も取り上げましたように、品質システムのベースとなるISO 9000のコンセプトです。それに基づいて、ISO9000の医薬品版とも言うべきICH Q10(医薬品品質システムのガイドライン)で展開されています。CAPAの考え方は既にPIC/S-GMPのガイドラインで示されていますが、昨年11月に公表されたGMP省令改正案でも取り入れられ、法的要件となってきました。

2.CAPAの定義

 ICH Q10とGMP省令改正案でCAPA(是正措置と予防措置)がどのように規定されているのか見てみたいと思います。
 まず、ICH Q10です。
 「製薬企業は、苦情、製品不合格、非適合、回収、逸脱、監査、当局の査察及び指摘事項についての調査並びに製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングからの傾向に起因する、是正措置及び予防措置を実施するためのシステムを有さなければならない。また、根本的原因を決定する目的で、調査プロセスに対する構造化された取り組みが用いられなければならない。」(第3.2.2条)
 ICH Q10では、CAPAは品質システムを構成する4つの品質システム要素の一つとして特に規定されています。ここではCAPAは商業生産のみならず製品ライフサイクル全期間において適用されることとされており、すなわち、開発過程、技術移転、商業生産、及び製品の終結においてもCAPAの方法論を取り込むことが求められています 
 次に、GMP省令改正案を見てみましょう。
 「この省令で「是正措置」とは、検知された不適合(この省令に規定する要求事項等に適合しないことをいう。以下同じ。)その他の望ましくない状況の再発を防止するため、その原因となった状態を解消する措置をいう。」さらに、「この省令で「予防措置」とは、生じ得る不適合その他の望ましくない状況の発生を未然に防止するため、その原因となり得る状態を解消する措置をいう。」(以上、第2条「定義」)
 GMP省令改正案の中でこのCAPAは品質管理(第11条)、逸脱の管理(第15条)、及び品質情報等(第16条)で言及されています。

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小山 靖人

小山 靖人

小山ファーマコンサルティング代表
NPO-QAセンター顧問

1979年藤沢薬品工業株式会社(現アステラス製薬株式会社)入社、責任者として無菌製剤の製剤化研究、並びにGMP及び治験薬GMP全般に関する品質保証業務に従事。2003年日本イーライリリー株式会社に入社、開発QAマネージャーを担当。2007年塩野義製薬株式会社に入社し、金ケ崎工場の品質部門長を経て、本社部門の品質保証部にてGQPに関する製造所管理業務に従事。2019年、小山ファーマコンサルティングを起業。
この間、厚生労働科学研究「医薬品・医薬部外品製剤GMP指針」を座長として取りまとめ、厚生労働省より発出 (2003~2006年、主任研究官 檜山行雄先生)。厚生労働省の「PIC/Sガイドライン比較分析ワーキングチーム」に参加(2010~2011年)、また厚生労働行政推進調査事業「GDP国際整合化研究班」に参画し(2016年~現在)、GDPガイドライン発出に関与。日本薬剤学会「製剤の達人」受賞(2011年)、薬剤師、日本PDA製薬学会代議員。