2020.11.27.FRI

その他施設・設備関連

細胞加工施設を運用するキャリアの謎【第4.5回】

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執筆者:鮫島 葉月

細胞加工施設を運用するキャリアの謎【第4回】

第4.5回「みなさまはコロナ禍をどう過ごしましたか?」

 さて本稿は、細胞培養加工施設と呼ばれるハードウエアに関わる人間が、出自文系という不可思議なキャリアを絡めつつ、再生医療分野についてつらつら書いているコラムだ。…というか、だった。2020年1月までの話です。
 つまり本連載はほぼ1年ぶりの掲載で、それは果たして連載なのか?という気はものすごくするのだが、ではその期間になにがあったかといえば、そう、新型コロナの蔓延である。Covid-19である。毎年、今年の漢字だの流行語大賞だのの時期になると、1月の話が「これって今年だっけ??」という気がしてしまうほど薄れるのが常なのに、今回コロナスタートだったことは記憶に生々しく、しかも今なお継続中のこの案件。
 今回はいざ連載を再開するにあたり、一体筆者になにがあってこんなに間が開いて、しかも再開することになったかを、インターミッション的にお話ししたいと思う。ゆえに読み飛ばしても次回以降なんの支障もありません(次回読んでいただく場合の話ですが)。

 みなさまは、このコロナ禍を、どう過ごしましたか?

▽コロナ禍の過ごし方
 こんな冒頭を書くと、まるで筆者が医療機関系列で忙殺されていたり、もしくはコロナに罹患して大変だったり、という事態を想像される方がいるかもしれないので先に申し上げておくと、それは誤解である。筆者は現在まで、実に健康に業務を行っている。テレワークの恩恵も、ほんのちょっとしか受けられなかったくらいだ。
 前回(第4回)の原稿をあげたあと、新年1月はセミナーがあったため、連載は(例によって)おやすみ。さて2月に続きを書きましょうかと思ったこのタイミングこそ、新型コロナが某船を席捲し、徐々に世間を騒がせ始めたころ合いだった。
 筆者の居住エリアでは、日々なにをするにしても、渋谷か新宿を通らないわけにはいかない。もしあの人波を通り抜けていない日があるなら、それは吉祥寺で遊んでいる日!…ということになる。報道でも散々「賑わっていやがる」感をさらされた、そんな区域に住んでいる以上、人混みからは逃れようがない。したがって徐々に感染と社会不安が広がる中、閉じこもることもできなかった筆者は、
「もし新型コロナとやらがさらに蔓延してしまえば、遠からずどこかで私も罹るだろう。そうなればとにかく閉じこもって、取り急ぎ我が家のネコに伝染すことだけは避けねば」
 一人そういう悲壮(?)な決意をした上で、CPCにかかる業務をこなしていた。そういう次第である(なお、猫科動物がコロナに罹患するリスクがあるという情報は、結構早い段階で共有されていた。そのペット記事が『外に出しちゃダメ!うちの子がコロニャンに!?』…などというふざけたタイトルだったせいで、いまだに我が家では帰宅後の手洗い前に猫が突っ込んできた場合『コロニャンになったらどうするの』というお説教がついている。閑話休題)。
 あれよあれよという間の自粛要請、仕事は動き続けているとはいえ、ぶっちゃけマスクと消毒用アルコールは手に入らないのである。無塵衣などもっての他である。医療機関の皆様の活動を邪魔をするわけにはいかないのである。でもアルコールとマスク供給が止まってできるCPC業務ってなんだよ!という話である。3月末まではなんとか工事だの再バリデーションだのが動いていたのだが、この春の時点で「業務」とは、ものごとを動かすための業務ではなく、ものごとを止めるための業務と化した。果ての緊急事態宣言、はっと気づいた時には、桜の上に雪が降っていた。

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鮫島 葉月

鮫島 葉月

一般社団法人免疫細胞療法実施研究会事務局、株式会社日本
バイオセラピー研究所 事業推進部部長
慶応義塾大学大学院医学研究科(修士)修了後、2008年株式会社セルシードに入社。再生医療に係る臨床用細胞加工物の開発および品質保証を担当し、当時の細胞培養加工施設の運用整備(GMP準拠)に携わる。2012年(株)日本バイオセラピー研究所に入社、再生医療関連法に同社を適応させ、特定細胞加工物の製造許可を取得。新規の製造施設設計と運用構築、文書策定等を行い、年間3000バッチ以上の特定細胞加工物を製造する細胞加工施設の施設管理責任者を担っている。
一般社団法人免疫細胞療法実施研究会においては、研究会事務局として、再生医療等を行おうとする医療機関向けに申請サポートデスクを運営。すでに200以上の計画策定を支援している。
また当該法人にはICTA特定認定再生医療等委員会を設置し、委員会事務局として再生医療等の審査対応を行っている。