2020.06.26.FRI

品質システム(PQS)

Quality Culture【第6回】

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執筆者:脇坂 盛雄

Quality Culture【第5回】

働く目的


※執筆者関連セミナー
GMP教育訓練による品質保証力の向上
~現場の意識づけとQuality Cultureへの取り組み~

 

「あなたは何のために働いていますか?」
「あなたはなぜ製薬企業で働いていますか?」
と質問された時、どう返答されるでしょうか?
以下の話しはQuality Culture【第2回】にも紹介しました。
大聖堂を造るためにレンガを積んでいる石工に尋ねました。
「あなたは、何のためにレンガを積んでいるのですか?」
 1)ある人は、上から言われたからやっている
 2)家族を養うためにやっている
 3)後世に残せる立派な大聖堂を造るためにやっている
まさに、何のために働いているかを尋ねているのです。

アブラハム・マズローの5段階説はご存知ですか?
下の欲求が満たされると上位の欲求を求めると説明しています。3の帰属欲求とはどこかに所属していることです。居場所があるともいえるかもしれません。その居場所でお互い助け合いが行われています。4の承認欲求は他者から認められている/愛されていると実感できている欲求です。当初、マズローは5段説を提唱していましたが、晩年にはその上に“自己超越欲求”を付け加えています。つまり、自分だけのことでは真の欲求満足を果たすことができないと気付いたのです。この5段階は下が満足しなくてもある程度、同時に起きているとの考え方も出ています。

https://lifeforearth.com/?p=6808  (参照2020-06-23)  LifeForEarthより引用

 瀬戸内寂聴さんがよく講演や本で言われている言葉があります。
「亡己利他(もうこりた)」
己を亡くして他を利するとの意味です。
これが究極の人の幸せを感じるのだと説法されています。
瀬戸内寂聴さんは今東光さんの紹介で天台宗で修行・得度されました。
http://www.tendai.or.jp/houwashuu/kiji.php?nid=26 (参照 2020-06-23) 天台宗について
 伝教大師最澄の言葉に『己(おのれ)を忘(わす)れて他(た)を利(り)するは慈悲(じひ)の極(きわ)みなり』という言葉があります。自分のことは後にして、まず人に喜んでいただくことをする、それは仏さまの行いで、そこに幸せがあるのだという言葉です。
 人の幸せを願うにはマズローの言っている5段階の欲求がある程度満たされていることも必要かもしれません。

ロゴセラピーでは、精神が心と身体の上位概念として位置付けています。
  精神
 心  身体

 心と身体の次元の上に精神があると考えます。心や身体は病むことはあっても、精神は病むことはないと言っています。この精神性が目指すのは“良心”に従って行動することを目指しています。また“扉は外側に開いている”と言っています。自分のことだけでは扉は閉じたままで外からの光(愛情や満足)は入ってきません。さらにロゴセラピーでは“自己超越”を大切にしています。
 このロゴセラピーは、ナチスの強制収容所を体験したオーストリアの精神科医ヴィクトール・フランクルが始めたセラピーで、その時の体験を本「夜と霧」に記しています。

「コロナ時代の必読本『夜と霧』から学ぶべきこと」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60306 (参照2020-06-30)
でも「夜と霧」が紹介されています。

 ロゴセラピーでは「人生が自分に問いかけてくる」、自分へのその問いかけに自分がどうするかの選択の自由があると考えます。十分指導してくれない上司に当たった時、上司がきちんと指導しないからだと上司のせいにするか、自分にできることで何とかしようとするかはまさに自分の選択肢です。この状況も何か意味があるのではないかと考え、その意味を見いだそうと行動するのがロゴセラピーです。もちろん、何を選択するかの自由がありますが、その結果の責任も自分にあります。
 人間関係は仕事の上ではとても重要です。特に上司との関係は大きいです。ただ、それより大きいのが、「あなたは何のために仕事をしていますか?」との問いかけであり、自分が目的(あるいは希望)を持っているかどうかがさらに重要になります。そして突き詰めると自己超越、このお薬を苦しんでいる困っている人に届けるとの思いです。自分がもしこの薬を服用するとしたら、投与されるとしたら、品質をどうしたいかの想いを持って日々実践しているかが大きいように思います。
 そのための取り組み事例を紹介します。

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脇坂 盛雄

脇坂 盛雄

1979年エーザイ株式会社入社、9年間、品質管理と21年間、品質保証を担う。
専門領域はGQP品質保証、注射剤及び固形剤の異物対応、品質リスクの発見と低減対応 ・医薬品/食品の表示校閲、製品回収リスク回避対策 ・逸脱/苦情対応、変更管理(一変/軽微変更)対応。品質保証責任者(品責)、統括部長および理事を歴任し、2013年9月末に退職。
現在は企業のコンサル・顧問を行う傍ら講演会講師、書籍執筆などを精力的に行っている。