2020.07.31.FRI

その他レギュレーション関連

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<189号>

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執筆者:橋本 奈央子

最近のウォーニングレターの概要

ASTROM通信<189号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2020.3.01】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー

~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

新型コロナウイルスの感染が広がっていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。 

今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(2件)について見ていきたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。


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最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-20-10■

オーストラリアの製造所の査察(2019/5/20~2019/5/24)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2019/12/5付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1
貴社は、権限のある職員のみが製造指図書原本及びその他の記録の変更を行えることを保証するために、コンピュータ及び関連システムの適切な管理を実施することを怠った。

<指摘1詳細>
貴社は、局所用OTC医薬品XXの製造を契約している。貴社は、出荷前に製品を試験するために使用されているガス・クロマトグラフィ(GC)の機器の十分な管理が欠けていた。特に貴社は、Empowerクロマトグラフィソフトウエアデータシステムを使って日常の分析試験を行っている分析者に管理者の特権を与えていた。
貴社の医薬品に関連し、Empowerクロマトグラフィソフトウエアの監査証跡のレビュ中、我々査察官は、貴社が2017年10月以来、100件以上の試験結果を削除したことを発見した。また、貴社は同じ期間に調査をせずに100件以上のサンプルの試験を中断した。
貴社の品質システムは、貴社が製造した医薬品の安全性、効能、品質を裏付けるためのデータの精確性と完全性を保証していない。完全で精確なレコードなしに、貴社は出荷判定、製品の安定性、及びその他の継続的な品質の保証の基本となる事に関する適切な判断を保証できない。
貴社は回答で、分析者がデータの削除の意味を理解していないことと、貴社のデータ・インテグリティの教育の欠如に原因があることを認めた。また貴社は、標準操作手順(SOP)の中に監査証跡の定期的なレビュがなかったと述べた。
貴社は、手順の改訂には、ユーザの管理、管理者特権の割り当て、管理者権限を使える場合の状況のガイダンスを含めるだろうと述べた。しかし、貴社が改訂した手順はまだ、分析者が通常の分析とは分けたフォルダ内に保持する意図の “試験的な作業”を実施することを許している。
これは受け入れられない手順である。医薬品のサンプルの分析から得られる全てのデータは、保持されレビュされることが絶対不可欠である。
貴社は以前に削除されたデータと中断されたサンプルの試験を調査することを約束した。貴社はこの調査の結果により、さらなるアクションをとるつもりであるとも述べたが、貴社の回答は不十分である。貴社は、品質への影響がないことを保証するため、または、貴社の試験室で生成された全てのデータのより広範囲のレビュをすることに責任を持つために、アメリカ市場に販売された製品の全てのロットに関するGCデータを評価しなかった。貴社の回答は、これに限定されないが、品質管理データの削除につながった行動や判断の発端の評価を含む独立したレビュに欠けている。

貴社は、貴社の将来のデータ・インテグリティの問題を防ぐための改善と経営層の監督の範囲の詳細を提供しなかった。この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・貴社の試験の活動、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント

 このレビュに基づき、貴社の試験システムの効果を改善し評価するための詳細な計画を提出せよ。

・貴社の品質部門が効果的に機能するために権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善の計画

 そのアセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含めるべきである。

 〇貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの判断

 〇適切な手順の順守を評価するための貴社の作業全体の品質部門の監督の体制

 〇品質部門がロットの処遇を判断する前の各ロットの完全な最終のレビュとそれに関連した情報

 〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための品質部門の監督の調査の承認及び他の全ての職務からの解放

 〇これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に取り組み、継続した管理状態を保証するためのタイムリーなリソースの提供を含んだ、トップの経営層がいかに品質保証と信頼できる作業をサポートするかについても述べよ。

・コンピュータシステムの性能と安全性の包括的で独立したアセスメント

 設計、管理の中の脆弱性を確認するレポートと、以下の要素に取り組む試験室の各コンピュータシステムの詳細な是正処置・予防処置の計画

 〇貴社の試験室で使用される全てのハードウエア(スタンドアロンとネットワークの両方)とソフトウエアのリスト

 〇これに限定されないが、構成設定、管理者の権限、パスワードの管理、監査証跡の機能と、各システムの実装の状態、適格性評価/バリデーションの状態、逸脱の履歴、バックアップの機能、ネットワーク要件、データの記録の完全性、使用目的に関する現在のハードウエア/ソフトウエアの適合性、変更管理、管理者の監督を含む、これら全てのコンピュータシステムの性能と安全性に関する脆弱性の特定と評価

 〇各システムのユーザの権限に関する詳細

  *試験室のコンピュータシステムへのアクセス権を持つ全ての職員の役割と
   関連する権限を述べよ。
   また、組織的な所属、責任と肩書を提出せよ。管理者権限を持つ全ての職
   員を明確に述べよ。

  *ラボの試験に関連する貴社の職員について、管理者の権限からの分離をい
   かに保証するかを十分に述べよ。管理者権限を持つことを許された全ての
   職員の役割に関し、特権の範囲とタイプを明確に述べよ。 

 〇ユニークなユーザ名とパスワードが使用されているかどうかを判断するために各システムを評価せよ。

 〇監査証跡、データ削除の禁止、結果の変更に特に重点を置いた、コンピュータとデータガバナンスに関するポリシーと手順を評価せよ。貴社がデータの削除と、文書化されていない/不適切なデータの修正をいかに防ぐかを明確に述べよ。また、オリジナルのデータと情報が常に保存されていることをいかに保証するかにつても述べよ。監査証跡のレビュの手順を提出せよ。

 〇全ての試験システムのデータの保持とバックアップに関する要件を提出せよ。

 〇全ての品質管理試験が分析者により実施され、分離された権限のある個人(例:ラボの管理者)による二番目のレビュを受けることを貴社がいかに保証するかを述べよ。関連する手順を提出せよ。

 〇CAPAの計画を実施しながら、信頼できる性能と安全性を保障するための貴社の内部の管理についてまとめよ。

 

●指摘2

貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証するために設計された製造と工程管理に関する文書化された手順を制定することを怠った。

<指摘2詳細>
貴社は、貴社の製品を製造するために使用されるXXのような装置の適格性評価をしていなかった。さらに貴社は、バッチレコードの中で、製造中の各段階で使用されるXXのXXを記録していなかった。
医薬品のバッチレコードは、XXのXXにおける成分のXXを必要とするが、貴社のXXはXXの値を保証せず、XXの保証もせず、代わりに、XXによりXXの範囲XXからXXの最大値XXに一致していると示した。
貴社は回答の中で、装置が意図した使用に適合していることを示すために、タンクXXとXXの適格性を評価をするつもりであると述べた。特に貴社は、タンクXXのXXを正確にセット出来ることを保証するためにXXの適格性を評価する計画をしている。貴社は、過去のプロセスバリデーションの研究を使用することにより、XXの値の適格性を評価した。
貴社は回答の中で、異なる目盛りの設定でスピードを決定したと述べ、装置が意図した使用に適していることを保証するために適格性の検証を実施するつもりであると述べた。貴社の回答は不十分である。貴社は、もしXXが、プロセスバリデーション中に定められたXXの値で機能しなかった場合の品質(例:XX)への潜在的な影響を評価していなかった。過去に販売されたロットが、意図した使用に適し、適格性の評価された装置で製造されたという保証はない。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・貴社の製造及び包装工程が適切な製造基準とパラメータを満たすような、データ駆動型のばらつきを特定し管理する科学的に合理的な適格性評価プログラム
プログラムはこれに限定されないが、装置の意図した目的への適合性の評価、投入原料の品質の保証、各製造工程のステップと管理の能力と信頼性の判断を含むべきである。

・既に販売された貴社の医薬品のアセスメント
販売された全ての製品で確認された製品の品質リスクに対応するための貴社の計画を提出せよ。

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橋本 奈央子

橋本 奈央子

株式会社プロス CSマネージャ

製薬企業向け生産管理システムの導入、バリデーション作業に従事。
コンピュータ化システムバリデーションにマンパワーをかけられない
中小の製薬企業にて、バリデーション作業支援を実施。
規制当局のサイト等から、最新の規制動向や指摘事例を収集し、月2回ASTROM通信にてご提供。