2019.11.22.FRI

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ラボにおけるERESとCSV【第58回】

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執筆者:望月 清

ラボにおけるERESとCSV【第57回】

ラボにおけるERESとCSV

FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(28)


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7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
 
■ KK社 2017/12/8 483
施設:原薬工場


Observation 6
コンピュータ化システムへの入力データを遡れない、
あるいは、入力データを検証できない。
例えば;

製造した原薬の保管や出荷の管理に倉庫管理システムが使用されている。物流の職員によりなされた倉庫システムへの入力が検証されていない。物流職員が倉庫管理システムに入力したロット番号が誤っているのが査察中に発見された。続いて、QC職員により誤った数量と質量が倉庫管理システムに入力された。

★解説:
倉庫管理システムに入力したロット番号が誤っていたとのことである。入庫した原薬のロット番号が誤っていると製品に使用した原薬ロットを把握出来なくなる。製品のロット番号が誤っていると正しい出荷先の把握が出来なくなる。いずれにせよ、倉庫管理システムに入力したロット番号の誤りは大きな問題である。ロット番号の自動照合が出来ないのであれば、人間によるダブルチェックが必要だと思われる。この会社の方に後日お聞きしたところ、ダブルチェックするようにしたとのことであった。

さて、査察官は限られた査察時間内においてどのようにしてこのような不適合を発見したのであろうか? 査察官が無作為にロットを抽出しその内容を確認したら、たまたま不適合が発見されてしまったとのことであった。査察官はときとして不適合項目を偶然抽出する能力を持ち合わせていることがあるようである。そのような話しをお伺いすることが時々ある。

なお、2018/12/28に厚労省より「GDPガイドライン」が事務連絡として発出された。その中でコンピュータ化システムについて以下の項目について規定されている。倉庫管理システムの信頼性確保は重要である。
 1)    システム使用開始前にバリデートすること
 2)    システム記述を用意すること
    原則、目的、セキュリティ対策、システムの範囲、使用方法等
 3)    権限者のみがデータの入力および変更を行うこと
 4)    データを
    •    物理的もしくは論理的に保護すること
    •    アクセスできること
    •    定期的にバックアップすること
    •    バックアップを定められた期間にわたり隔離保管すること
 5)    システム障害時の手順を定めること
 6)    コンピュータ化システム管理ガイドラインを参考とすること

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望月 清

望月 清

合同会社エクスプロ・アソシエイツ代表。
1973年山武ハネウエル株式会社(現アズビル)入社。分散型制御システム(DCS)を米国ハネウエル社と分担開発。2002年よりPart 11およびコンピュータ化システムバリデーションのコンサルテーションを大手製薬会社にご提供。2009年より微生物迅速測定装置の啓蒙普及に従事。2014年5月より現職。