2019.11.22.FRI

医療機器(品質システム)

医療機器リスクマネジメント-国際規格の要求事項と実践対応- 【第4回】

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執筆者:中谷 敬

医療機器リスクマネジメント-国際規格の要求事項と実践対応- 【第3回】

第4回 ハザード/危険状態の特定

リスク分析
リスクマネジメント計画立案後の主な活動は、リスク分析、リスク評価、リスクコントロールの3プロセスに大きく分かれる。リスク分析とリスク評価の活動を合わせて、リスクアセスメントと呼ぶ。リスクアセスメントとリスクコントロールの具体的なフローを図4-1に示す。

今回は、リスクアセスメントの中で、「ハザード/危険状態の特定」までのプロセスについて、次回は、「危害の発生確率と危害の重大性のレベル推定」について説明する。この2プロセスは、リスクマネジメント活動の中で、最も作業量が多く、重要なプロセスである。

意図する使用と特質の明確化
リスクマネジメント国際規格ISO 14971では、リスク分析開始に当たり、対象となる医療機器の「意図する使用と安全に関する特質の明確化」を要求している。「特質の明確化」はISO 14971の用語であるが、「意図する使用及び合理的に予見できる誤った使用」を明確にしてリストにまとめて文書化することである。

ISO 14971の附属書Cには、「特質の明確化」のための質問がリストアップされている。質問は、大きく34項目からなり、対象となる医療機器に即して質問事項に答えていけば、意図する使用と安全に関する「特質の明確化」を文書化できる。この特質の明確化は、製品仕様決定と並行して実施すべき作業である。したがって、製品の企画段階での製品仕様書案作成と摺り合わせながら実施することになる(第3回(https://www.gmp-platform.com/topics_detail1/id=13238)、「図3-1 製品の開発プロセスとリスクマネジメントプロセス」を参照)。製品の設計又は企画担当者に対し、安全の観点から製品仕様をレビューすることを求めているものと考えられる。

なお、改定予定のISO14971の第3版(2019年に発行予定)では、「特質の明確化」のための質問は、医療機器リスクマネジメントのガイドラインを示したISO/TR 24971に収載されることになっている。

   
リスク評価、残留リスク評価の結果、受容できないリスクがあると判断された場合は、前プロセスに戻って、リスク分析とリスクコントロールを行う。
図4-1 リスクアセスメントとリスクコントロールのフロー

 

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中谷 敬

中谷 敬

1974年、日本光電工業入社。医用センサ、生体情報計測機器の開発・設計に従事。
在職中、IEC/SC62D、ISO/TC121/SC3の日本国内委員会幹事として、医療機器国際規格の制定・改訂作業に参加。国際エキスパートとして日本コメントの作成・まとめを行い、国際会議に参加しての日本意見の反映に尽力した。
定年退職後は、コンサルタントとして独立。各種セミナー講師の他、首都圏の大学で客員教授、非常勤講師として医療機器技術、医療安全、国際規格について講義している。