2019.07.05.FRI

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業務効率化を目指す人へ ISOT入門【第2回】

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執筆者:小出 哲司

業務効率化を目指す人へ ISOT入門【第1回】

第2回 間接財への対策~ISOTの活用~

理科研株式会社 BID 事業部長 小出哲司

1、購買管理システムよる業務効率化
サプライチェーンの基点となる「仕入れ」。企業においての「仕入れ」は、製造に関わる材料調達の直接材、研究開発に関わる材料調達の間接材、大きくこの2つに区分されます。特に医薬品開発において、間接材の管理は従来手法のままでは、課題の多い領域であり、解決は難しいとされています。現在、購買管理システムの多くはERP(統合基幹管理システム)といった包括的なITツールで導入されるケースが少なくありません。購買管理システムは、一般的に下記のような特徴を持っています。
 
・調達業務を広く網羅した統合システム
・サプライヤーの利便性も考慮している
・グローバルシステムとして実績が多数ある
・周辺基幹システムとも連携可能
 
グローバル対応している購買管理システムを提供しているIT企業もあれば、日本国内におけるドメスティックシーンで強みを発揮しているIT企業もあります。各社のシステムはメリット・デメリットがありますので、導入を検討される際は、企業の皆さまが仕入れ業務において解決したい課題を明確化させておく事が重要です。その中で、医薬品開発現場における間接材の購買管理は非常に複雑です。購買管理システムを導入したとしても、いくつかの課題解決がポイントになるからです。
 
・間接材の自社カタログの管理運営の効率化
・各システム上の商品マスターの共通管理方法
・各施設での実在庫状況とシステム在庫状況の相関管理方法
・試薬管理システムと間接材購買システムとのシステム連携
 
特に試薬の取扱いにおいては、日本薬局方により規定されている各種法令に則った管理が義務付けられています。よって、電子カタログにおいても法令遵守のもと商品マスターの表示を厳密に管理しなくてはなりません。その商品マスター管理にどの程度の時間と人が関わるのでしょうか?また、電子決済が完了し、サプライヤーへ発注された商品が納入される際、JANコードやJISコードで統一管理されていない研究用試薬をどのようなデジタルツールで管理していくのでしょうか?昨今、アマゾンを始めとした巨大IT産業界は、エンドユーザーの手元に商品が届く最後のポイント『ラストワンマイル』を制した者がIT業界を制する。強いては物流を制する、と言われています。サプライチェーンの起点である仕入れ。購買管理システムを導入し、デジタル化を推進する際には、商品が納入され各施設までどのように納品され、納品完了後、施設内でどのように管理するのか?そこまでをどうやってデジタル管理するのか?この課題の可視化こそが真の課題解決に繋がっていきます。

2、『R-ist UP』とは?
 さて、『1』でご説明させていただきました購買管理システムですが、従来のシステム運用方法は、システムに保有されている機能『カタログ機能』を駆使して各社独自の商品マスターで間接材の受発注管理を実施しています。しかし、独自の商品マスターの管理には大きなリスクがあります。
 
  ・価格変更、販売中止商品の商品マスターメンテナンス
  ・新会社や海外メーカー商品の商品マスターの都度更新
  ・日本薬局方の改定による法令に合致した表記管理
 
  上記の管理を自社の人員でリアルタイム実施していくのはかなり難易度が高いです。では、どうすれば良いのか?外部サプライヤーに商品マスター管理を委託する方法。それも、デジタルツールを駆使して両社の業務効率化を図り、購買管理システムと購買管理システム用検索エンジンとのシステム連携であるパンチアウト連携を実現することです。
 
 図4:R-ist UPのワークフロー(理科研株式会社「ISOTのご提案」より)

 
 R-ist UPは上記の図の通り、購買管理システムと連携する事で、研究者様が購買管理システムにログインし、商品をR-ist UP上で検索、欲しい商品を選択しチェックアウトする。その後は、購買管理システムに戻っていき、発注決裁をもらい発注します。この流れのメリットは複数あります。
 
  ・商品マスター管理から開放されます
  ・560万品が掲載されており、間接材のロングテール対応が充実
  ・既に価格が表示されているので、見積不要
  ・定期的なキャンペーンを実施し、販売価格の適正化を強化
 
 専属のサイト管理者が商品マスターのアップデートを管理しており、表示の不具合に即時対応しています。また、正式受注した後、専任の管理薬剤師による該当法令のチェック、商品入荷後、検品担当者による商品ラベルの表記チェックのダブルチェックを実施してからの納品処理になりますので、各社の管理方法に合わせた納入ルールにも適宜、対応可能です。購買部や研究施設・工場施設で商品マスターを専任で管理していた方々の業務内容を劇的に改善させて、間接材管理の業務効率化を実現する事ができます。
  
3、『Lab Stock Support』とは?
 株式会社ZAICO(https://www.zaico.co.jp/)とのコラボレーションドライバーです。本ドライバーは、パソコン・スマートフォンで使用できるシンプルなクラウド在庫管理ソフトです。何故、このソフトを採用したのか?それは、在庫管理に特化したシンプルなソフトウエアであるからです。
 
図5:Lab Stock Supportの概要図(理科研株式会社「ISOTのご提案」より)

 
【ZAICOの特徴】
・シンプルで使い易い(PC・スマートフォンどちらでも対応可能)
・複数人が同時に、何処でも確認可能
・圧倒的なコストパフォーマンス(0円からスタート可能)
・QRコード、バーコード、NFC、RFID全てに対応可能
・AWSを使用した安心のクラウドデータ管理
・各種基幹システムとの連携が可能
 
 在庫管理システムには、リーズナブルなソフトや高額なシステムなど、様々なサービスが存在しています。医薬品メーカー様を始めとする企業様の場合、サプライチェーン全体の管理をするためのERP(統合基幹管理システム)を導入されているケースが圧倒的に多いです。その場合、必要以上の機能を搭載した在庫管理システムは既存のシステム連携を図る際に、予期せぬシステムバグを発生させる可能性があります。その点、ZAICOは、CSVやAPIによるデータ連携によって並行稼動させることが可能なソフトウエアなので、既存システムを完全に置き換えず運用が可能です。既存システムの良さを残しながら、本ドライバーを活用することで、従来では人海戦術を余儀なくされていた在庫管理の課題を最小限のデジタルツール導入で解決し、業務効率化が図れます。
 また、『R-ist UP』と『Lab Stock Support』とのドライバー連携をすると、『R-ist UP』に掲載されている560万品目の試薬・消耗品全てにQRコードもしくはRFIDタグなどを貼付し、指定の検収センターへ納品できます。入庫管理及び出庫管理をQRコードもしくはRFIDで実施することで、人による入力ミスは格段に減少します。

 こうして、大量の入庫検収処理が目視確認から、RFIDによるスキャン処理になる事で、検収作業の大幅な時間短縮と人件費コストの縮小を実現することができます。また、購買本部を一極集約し、各研究施設や工場施設での在庫管理が物理的に隔絶されてしまっている状況でも、クラウドシステム上で全ての施設の在庫状況を一元管理するので、リアルタイムに各施設の在庫状況(棚卸し資産状況)を認識することが可能です。全事業所においての『無理・無駄・無用』を排除していく事で、期限切れの試薬や、同じ消耗品を各研究室が過剰に購入するなどゼロミッション活動にも寄与できるサービスプログラムとして運用が可能になります。
 
以上

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小出 哲司

小出 哲司

理科研株式会社 ビジネスインテグレーションディビジョン 事業部長
2002年に理研ベンチャー、株式会社インプランタイノベーションズ取締役を歴任。
2007年より理科研株式会社に入社。2013年より戦略営業部の部長に就任。新規事業開発及び、企業戦略を立案実行。2017年4月より取締役執行役員に就任し現職。顧客の企業価値を高めるための事業推進ドライバーの創出を一貫して推進している。