2019.05.31.FRI

その他レギュレーション関連

【PIC/Sデータ・インテグリティ関連ガイドラインドラフトについて】ASTROM通信<160号>

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執筆者:橋本 奈央子

【PIC/Sデータ・インテグリティ関連ガイドラインドラフトについて】

ASTROM通信<160号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2018.12.14】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー

~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

一気に寒くなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

今回は、2018年11月30日にPIC/Sから発出された、「GMP/GDP環境でのデータ管理とインテグリティに関する適正管理基準のガイドラインのドラフト(PI 041-1 (Draft 3))」について見ていきたいと思います。

データ・インテグリティとは、データがライフサイクルを通じて完全でなければならない(詳細は本文を参照してください)というもので、日本でもデータ・インテグリティに問題がないか、委託元や規制当局の査察においてチェックされることが増え、昨今ホットな話題です。

話を戻して、本ガイドラインの目的は、査察官がGMP/GDP施設の査察時に、データの管理とインテグリティに関し、調和したアプローチを促進することにあり、このドラフトに対し、2018年11月30日から2019年2月28日までコメント募集がされています。

これはドラフトなので、すぐにそのまま施行されることはありませんが、査察官が査察時にデータ・インテグリティの状態についてどのような点をチェックすることが推奨されているかを知ることで、皆様のデータ・インテグリティ対策に役立てて頂ければと思います

量が多いため、数回に分けて確認していきます。最後までお付き合いいただければ幸いです。

出典
https://www.picscheme.org/en/news


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PIC/S GMP/GDP環境でのデータ管理とインテグリティに関する適正管理基準のガイドラインのドラフト
GOOD PRACTICES FOR DATA MANAGEMENT AND INTEGRITY IN REGULATED GMP/GDP ENVIRONMENTSPI 041-1 (Draft 3)
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1章      文書の履歴
省略

2章 序論
2.1 PIC/Sに参加する当局は通常、GMP及びGDPの原則の遵守のレベルを判断するためにAPI及び医薬品の製造業者及び販売業者の査察を行っている。これらの査察は、通常、オンサイトで実施されるが、文書のエビデンスの評価は、リモートもしくはオフサイトで行われるかもしれないが、リモートのデータレビュのケースの制約が検討されるべきである

2.2 これらの査察プロセスの効果は、査察官に提供されるエビデンスの正確性と、最終的には根本的なデータのインテグリティにより判断される。査察官が、提出されたエビデンスと記録の正確性と完全性について判断でき、信頼できる査察プロセスが重要である。

2.3 データの正しい管理基準は、製造業者により生成され報告される全てのデータの品質に影響するので、これらの基準は、データが帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性、完全性、一貫性、耐久性、利用可能性のあることを保証しなければならない。この文書のメインフォーカスは、GMP/GDPの期待に関わるが、例えば、原薬や医薬品の管理戦略や定められた仕様に基づく登録関係書類一式に含まれるデータのように、より広いデータの正しい管理基準の背景も考慮されるべきである。

2.4 データ・インテグリティとは、ライフサイクルを通じて全てのデータが完全で一貫性があり正確であることと定義され、医薬品が求められる品質であることを保証する医薬品品質システムにおいては基本的なことである。貧弱なデータ・インテグリティの基準や脆弱性は、記録やエビデンスの品質をむしばみ、最終的には医薬品の品質をむしばむだろう。

2.5 データの正しい管理基準は、医薬品品質システムの全ての要素に適用し、この原則は、電子システム・紙ベースのシステムで生成されたデータに等しく適用される。

2.6 データの管理とインテグリティの正しい管理に関する責任は、査察を受ける製造業または販売業者にある。彼らは、データ管理システムの潜在的な脆弱性に関する評価を行い、データ・インテグリティが維持されることを確実にするための正しいデータガバナンス手順を設計して実施する責任と義務を負う。

3章 目的
3.1 この文書は、下記の目的で書かれた:
3.1.1 正しいデータ管理に関するGMP/GDPの要件を解釈して査察を実施するため、査察団にガイドラインを提供すること
3.1.2 現在の業界の手順とグローバル化されたサプライチェインのもとで、PIC/SのGMPとGDPのガイドラインに記述された通りに、データのインテグリティと信頼性に関して存在する要件が実装されることを可能にするための、リスクベースの管理戦略に関する統合され理解を助けるガイドラインを提供すること
3.1.3 GMP/GDP査察の決められた計画と実施において、効果的な正しいデータ管理の効果的な実施を促進すること、調和したGMP/GDP査察の道具を提供し、データ・インテグリティの期待に関する査察の品質を保証すること

3.2 このガイドラインにより、備忘録などの査察団の資産と共に、査察官が査察時間の最適な利用と、査察中のデータ・インテグリティ要素の最適な評価を可能にするべきである。

3.3 このガイドラインは、適正なデータ管理基準に関するリスクベースの査察の計画を助けるべきである。

3.4 正しいデータ管理は、いつもGMP/GDPの一部と考えられてきた。それゆえ、このガイドラインは、定められたことに追加で法的負荷を課すことを意図していない。むしろ、現在の業界のデータ管理手順に関し、存在するGMP/GDPの要件の解釈のガイドを提供することを意図している。

3.5 データ管理とインテグリティの原則は、紙ベース、コンピュータ化システム、紙とコンピュータのハイブリッドシステムに等しく適用し、開発や新しい概念や技術にいかなる制限も与えるべきでない。ICH Q10の原則により、このガイドラインは、継続的な改善を通じて、革新的な技術の適用を促進すべきである。

3.6 “医薬品品質システム”という表現は、品質目標を管理し達成するために使用される品質マネジメントシステムを表現するために、この文書の中の大部分に使用される。“医薬品品質システム”は、GMPの規制により使用されるが、この文書の目的のために、GDPの規制で使用される”品質システム“という表現にも置き換え可能とみなされるべきである。
 

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橋本 奈央子

橋本 奈央子

株式会社プロス CSマネージャ

製薬企業向け生産管理システムの導入、バリデーション作業に従事。
コンピュータ化システムバリデーションにマンパワーをかけられない
中小の製薬企業にて、バリデーション作業支援を実施。
規制当局のサイト等から、最新の規制動向や指摘事例を収集し、月2回ASTROM通信にてご提供。