2019.04.12.FRI

その他医療機器関連

医療機器関連業界のいま【第4回】

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執筆者:吉川 典子

医療機器関連業界のいま【第3回】

医療機器関連業界のいま

【第4回】開発から流通へ 見落としていませんか

●要旨
 新しい時代に向かっていても、開発から流通へ、気をつけるべきことはいくつもあります。特に、平成17年の薬事法改正で、製造販売業を導入した意味を忘れてはいけません。また、医療の主体が患者さん自身に近いこれからの時代は、「医療用具」であった意味を、再認識する必要があります。
 新しい製品の薬事法の区分より、コンセプトをよく考えることが重要ですが、製造販売の体制について、周囲との協業により実現するのも大事なポイントです。

●はじめに 開発環境の変化の中で
 新しい時代の兆しを作る中で、過去を無視すべき、ということはありません。なぜそのルールができたのか、なぜ失敗したのか、なぜ参入がなかったのか、を過去から学ぶこともとても大事です。
 新しい手法で開発をする中で、ぜひ気をつけたいのが、マーケットとの繋がり方です。かつてのように、良いものを作ればたくさん売れるという時代ではありません。といって、欲しい人がいるからとたくさん作るのが正しいものではなさそうです。地球の上の環境問題などを背景に、エシカルな思考も求められています。また、IoT,の時代が進むにつれ、その人に合わせることがより重要になっています。その中で、開発の段階から気をつけたいことを述べていきます。

1 深刻なピットフォール
 先日、厚生労働省の医療機器行政の担当者が、久しぶりに平成17年の薬事法改正について言及しました。すでに10年以上も前ですから、記憶が薄れている方も多いでしょう。この改正は非常に大きなもので、製造業主体から、製造販売行為を重視する方向へ大きく舵を切りました。この数年前から、法改正の準備が行われ、アウトソーシングが一般化しつつあり、欧米型のホールセラーという考え方を導入することになりました。つまり、その製品の市場での動きに着目しました。日本の製造業は、ものづくり技術の高さで勝負をしていましたが、医療製品は特に、市場や現場での動きを重視することになりました。正しく使うことを促す、品質の問題を早く察知する、設計の問題を早く察知する、大事なことです。この時点で、視点が大きく変わったといえるでしょう。
 しかし、未だに、医療製品においても、ものづくりが主体であり、使うことについては注意及んでいないことを先日の言及で強く意識させられました。市場での扱いについても同じです。苦労をして承認を得た後、製造販売行為を長く続ける仕組みが必要ですが、許認可の取得だけに目がいくのが現実です。


<H17薬事法改正とは>

 開発の部隊と、製造販売の部隊は別であるからと、プロジェクトを次に渡せば終わりになっていませんか?これは大変な問題です。実際、いろいろな案件に関わっていると、各セクション同士の不協和音をしばしば聞きます。しかし、患者さん、医療従事者から見れば、どうでしょうか?
 革新的、あるいはニーズの高い製品を早期に世に送り出す支援政策は、次の法改正でさらに充実していくと思いますが、製造販売開始後の行動をおろそかにしていては、このような支援政策は無駄になります。最近では、承認審査の中でも、製造販売行為そのものにも厳しい目線があります。迅速に承認される一方で、大事な条件がつくのも、その一環です。いくつかの審査報告書を読むとよくわかりますが、正しく使われる工夫と、現場観察を求めています。製造販売業の通常業務の中で行いやすいように工夫することも開発の大事な要点だと考えてください。
 
 

<プロジェクトを渡す?>

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吉川 典子

吉川 典子

特定非営利活動法人医工連携推進機構 客員研究員 医工連携コーディネータ協議会会員
大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程にて生物学的人工肝臓をテーマに研究を行った後、製薬会社に入社し、開発企画実務を経験。兵庫県庁薬務課を皮切りに、保健衛生行政に携わる。政策研究などの経験も多い。医療機器センター調査部(PMDAの前身)にて、審査行政に関与。先端医療振興財団にて、振興業務に従事。神戸大学大学院医学研究科にて、プロジェクト支援を行った。また、各地の振興組織、大学研究機関での支援を長年行っており、医療従事者の目線を活かしたコラボ、参入促進や新規性の高い医療技術への支援に強みがある。
デザインに強い関心があり、京都造形芸術大学に在学中。