2019.03.29.FRI

品質システム(PQS)

QCの役割を徹底理解【第3回】

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執筆者:脇坂 盛雄

QCの役割を徹底理解【第2回】

第3回 製剤の特徴と製造方法、現場の設備を知って上での評価


※執筆者によるセミナー開催
試験室管理のポイント
~重要な項目とその対応について具体的事例を交えて解説~

 

 しっかりとした品質保証をしたいと願うのであれば、GMPとレギュレーションの知識と対応だけでは不十分です。製剤の特徴と製造方法、そして実際の現場の状況を知っておく必要があります。
 現役の品責の時、変更管理の際に注意をしていたのは下記でした。
 品質保証の観点では、固形剤と注射剤では少し違います。
 ・固形剤:溶出試験/類縁・不純物/異物/気密性
 (アルミピローやコールドフォーム)
 ・注射剤:無菌性/不溶性異物
 それらの項目は、品質トラブルも多く、製品回収も多い事例です。

 原薬の銘柄を追加する場合、どのようなことを考えてみるかを挙げてみます。
 1)原薬の含量や異物は問題ないかを先ずは確認します。
 2)新規不純物がないかどうか、不純物プロファイルに変化がないかを確認します。

 PMDAの指摘事項に関しても下記の指摘がありました。
「出発物質のメーカーを変更していたが、バリデーションの必要性について検証していなかった。また、変更の前後の不純物プロファイルの変化などの品質に対する影響を確認してなかった。」
 本来、不純物プロファイルについては、「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドライン(平成15年6月24日)」に基づいて申請した新製品(平成16年11月1日以降に申請される新有効成分含有医薬品)に該当ですが、PMDAの指摘は全ての医薬品に適合させる指摘事項になっています。
 古い製品における原薬の試験方法は滴定や比色法など、分離分析でない場合があります。その場合は不純物プロファイルが確認できません。分離分析法を確立し、分析バリデーションを行い、そして現在の原薬の不純物プロファイルを確認します。それでようやく、新規銘柄の原薬の不純物プロファイルを確認して、新規不純物がないかどうかが確認できます。新規があれば減らすか、構造決定あるいは規格値設定など対応を行います。

 3)新規原薬の物性評価 
 溶出試験がある製剤では、原薬の物性が大きく影響する場合があります。
 以下の場合特に注意が必要になります。
 ・原薬を溶解する溶媒で溶解させていない
 ・溶出がバラツキ易い
 ・経年で溶出が低下する
 原薬の結晶形や物性は安定性だけでなく、溶出に大きく影響しますので、物性の違いとその製剤の造り方、溶出試験のバラツキと安定性などを総合的に判断することが必須になります。

 4)新規銘柄の原薬を使ってのPV、加速試験などの確認
 原薬の試験とその原薬を使った製剤のコンカレントバリデーションで判断する一番楽な方法から、PVを3ロット行い加速6か月&長期安定性を見る一番慎重な方法まで、どれを選択するかが力量の見せ場となります。どれを選択するかによって時間もコストも変わってきます。

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脇坂 盛雄

脇坂 盛雄

1979年エーザイ株式会社入社、9年間、品質管理と21年間、品質保証を担う。
専門領域はGQP品質保証、注射剤及び固形剤の異物対応、品質リスクの発見と低減対応 ・医薬品/食品の表示校閲、製品回収リスク回避対策 ・逸脱/苦情対応、変更管理(一変/軽微変更)対応。品質保証責任者(品責)、統括部長および理事を歴任し、2013年9月末に退職。
現在は企業のコンサル・顧問を行う傍ら講演会講師、書籍執筆などを精力的に行っている。