2015.10.01.THU

体外診断薬

体外診断用医薬品とはどういうものか?【第4回】

この記事を印刷する

執筆者:笹嶋 政昭

体外診断用医薬品とはどういうものか?【第3回】

体外診断用医薬品とはどういうものか?

【第4回】体外診断用医薬品の技術革新の歴史とエポック

 体外診断薬の世界は自動化されたものと思われるだろうが、今から数十年前までは全く様相が異なっていた。欧州あたりでは、ドイツなど一部の国を除いて、四半世紀前までは用手法(マニュアル)、つまり機械を使うことなく人間が検査試薬を使って検査するものがほとんどだった。
 
 それが今では、先進国の検査室を眺めればどこもかしこも自動分析装置のオンパレードであり、それぞれの機器は連結されている場合も多い。日本の大手検査センターは世界でも屈指の自動化水準にあるが、そこはまさに工場そのものだ。つい最近まで自動化の蚊帳の外であった細菌学的検査にも、徐々に自動化の流れが起きつつある。
 
 体外診断用医薬品と言ってもいろいろなものがあるが、皆さんがよくお世話になるものに生化学検査項目がある。例えば、肝機能検査でお馴染みのALT(GPT)やAST(GOT)がそれである。これらの検査は生化学自動分析装置によって全自動で検査がなされる。現在では100項目以上が測定可能な機器システムである。
 
 しかし、この生化学検査項目を測定するための自動分析装置を最初に開発したのはアメリカ企業、テクニコン社であった。この機器は生化学検査試薬の用手法測定術式をそのまま自動化した装置であったため、装置建てに無理があり、機能的にも柔軟性のない装置であった。
 この状況の中で、日本国内では名だたる電機メーカー、日立、オリンパス、東芝などが相次いで、生化学検査項目測定の自動分析装置を商品化した。これらのMade in Japanの機器は世界中に輸出され、やがて世界の臨床検査市場を席巻することになる。医療機器としての計測器は日本の活躍舞台である。(残念ながら治療用医療機器は完全な輸入超過状態である。)
 日本企業が開発した装置は、単なる操作自動化に留まらず、ごく微量の検体と試薬を用いた多検体多項目を同時に高速測定するシステムである。
 その後、日本電子が、測定に供する試薬量と検体量を従来機種よりも劇的に削減した分析装置を開発商品化し、試薬の極微量化という流れにも火がついた。
 自動分析装置の発展とともに試薬開発も加速し、続々と試薬企業が誕生し、市場参入した。それまでの検査室での「自家調製」ではなく、企業の量産システムを活かした、そして日本企業が得意とする高品質な試薬群が開発・商品化されていくことになる。その多くは酵素を用いた試薬であり、伝統的に酵素に強みを持つ企業の市場参入が相次いだ。実は我が国は酵素開発と生産に強みを持っている。発酵産業が伝統的に強いのが我が国の特徴である。

1 / 5ページ

笹嶋 政昭

笹嶋 政昭

笹嶋グローバルコンサルティング 代表。
約30年間、ライフサイエンス業界一筋に、医療用医薬品の研究開発を皮切りにグローバル診断薬企業、化学企業、グローバル医療機器企業を中心に、近年では国産中堅企業にて活動。事業開発、研究開発、事業再構築を中心に、薬事申請やグローバル臨床開発なども経験。2014年6月より現職。
ライフサイエンス事業全般(医療機器、体外診断薬、創薬支援、細胞培養、再生医療、材料科学、ナノ技術、各種の計測技術、生物材料の物質生産等)における研究開発、事業開発、マーケティングを専門とする。