2019.02.08.FRI

その他医療機器関連

医療機器関連業界のいま【第2回】

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執筆者:吉川 典子

医療機器関連業界のいま

【第2回】メンター、アクセラレータって?

●要旨
 医療機器業界の様子が大きく変化する中、ヘルスケア製品の開発の様子も変化しています。日本にも多数のヘルスケアベンチャーが生まれています。御意見番とは違うメンター、インキュベータとも違うアクセラレータが、ベンチャーを支えています。いずれも困難を突破するのにとても大事な仕組みです。旧来の支援手法を大きく見直した方が良い時代が来ています。

●はじめに 開発シーンの変化に気づいていますか
 ここ3年で、ヘルスケア製品の開発の様子が大きく変わりました。日本にも多数のヘルスケアベンチャーが生まれています。その開発の主体が、医療者自身であることも少なくありません。開発支援のあり方も変化していく必要があるのですが、残念ながら、いくつかの問題があります。まずは、プロダクト中心主義、そして、量産型モデルを中心とした考え方も問題です。医工連携においても、一つ一つの枠に一つの組織を入れておけば完成したようなものの見方も気になります。
 今、ヘルスケアにまつわる課題にチャレンジしようとしている人たちの多くは、平成時代を中心に過ごしてきた人たちで、小さなコミュニケーションも大事にしています。モノよりも、人、現場、サービスの方に目が向いているといってもよいでしょう。昭和の高度経済成長期のように、皆と同じものを手にすることで安心するのではなく、それぞれに合わせる、選び取ることについても考えを巡らせているのです。開発の手段だけでなく、開発を担う人々、環境が大きく変わったといえます。それらをロールという面で考えていきます。

1 全く新しい奴らがやってきた!?
 メンター、アクセラレータの存在は、このような環境で大きな意味合いを持ちます。支援の仕組みの中で、インキュベーション施設、インキュベーションマネージャーの常駐、コーディネータによるサポート、などという言葉よく聞きます。しかしそれらとは違う人々がますます重要になっています。
 メンターについては、企業の人材育成において、これまでに備えていたところもあるかもしれません。直接的な命令関係とは別に築く重要な人間関係です。医療の世界では、医局や医療機関のセクションだけの関係にとどまらず、技術や知識向上のために、外部に師匠を求めていくことは、昔から自然に行われています。これに近いと思えばわかりやすいでしょう。
 新しい事業を開始するときには、困難がついて回ります。それらに対して上下関係だけでコントロールするのは、かなりの心理的負担があります。そこでメンターの登場です。最近のスタートアップイベントなどを見ると、メンターのリストが書かれていることがあります。直接的な利害関係ではなく、幅広い見識を持った人たちが務めています。彼らは、ご意見番ではありません。事業を始める人たちのサポートを行うために腐心する人々です。辛口の意見も、励ましもしながら、どうすればそのプロジェクトが前に進められるのかを一緒になって考えます。
 メンターを含めて、アクセラレータの存在が、とても重要になってきました。文字通り、加速をする役割を担います。キャピタリストとも違っていて、環境を整備し、成果が早く得られるように、成長するように、支援をしていく役割です。最近の日本の活動的なヘルスケアベンチャーは、すでにメンタリングシステムを重視し、アクセラレータとの付き合いを大事にしています。開発の推進にベンチャーとの付き合いを重視するなら、このような環境について知っておきたいものです。
 

<図1 それぞれの位置づけ>
 

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吉川 典子

吉川 典子

特定非営利活動法人医工連携推進機構 客員研究員 医工連携コーディネータ協議会会員
大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程にて生物学的人工肝臓をテーマに研究を行った後、製薬会社に入社し、開発企画実務を経験。兵庫県庁薬務課を皮切りに、保健衛生行政に携わる。政策研究などの経験も多い。医療機器センター調査部(PMDAの前身)にて、審査行政に関与。先端医療振興財団にて、振興業務に従事。神戸大学大学院医学研究科にて、プロジェクト支援を行った。また、各地の振興組織、大学研究機関での支援を長年行っており、医療従事者の目線を活かしたコラボ、参入促進や新規性の高い医療技術への支援に強みがある。
デザインに強い関心があり、京都造形芸術大学に在学中。