ゼロベースからの化粧品の品質管理【第8回】

 前回からやっと体制構築に向けて手順書作成についてお話させて頂いています。少し回り道をしたと思いますが、5S活動やISO9001の認証維持活動が形骸化している状況を良く耳にしていますので、体制を構築した後、確実に運用していくためには、前半の話しが重要事項と思っていますので最初にお話しさせて頂きました。
 さて、今回は手順書作成の内容の2回目です。しかしながら、いきなり⑪逸脱とは何?と思われる方がおられるかもしれませんので、付番について最初に説明させて頂きます。
ISO22716の要求事項を整理すると以下のようなります。その中で、今回お話する『逸脱』はこの付番では⑪ですので『⑪逸脱』とさせて頂いています。
 今回以降は、具体的な各手順書に落とし込む話となりますが、総括的な管理基準書を作られる場合には、製造管理基準書、品質管理基準書、衛生管理基準書で全体的なフローが分かることが必要です。化粧品においては、この3種の管理基準書を作られていない工場もあります。一方で、作られていても詳細は**手順書に従うとしか書いてない基準書を目にしたことがあります。ISO9001の旧の品質マニュアルの作りに慣れている方は、このような記載方法で片づけてしまいがちですが、GMP文書では、概要が判らないものは不味いと考えます。また、ISO9001を運用されている工場では、今回お話する『逸脱』はSO9001では工程のモニタリングの一つとして『逸脱』を扱うことになると思います。『逸脱』=ISO9001での『不適合』、ではないことの理解が必要ですので、ISO9001の体制を中心に運用されている工場では、表面的な用語の対応表を考えるのではなく、扱う事象の理解までの掘下げが必要と考えます。勿論、逸脱処理をすすめて規格外品の扱いとなった場合には一部『不適合品』の扱いになりますし、『不適合品』の中には市場からの申し出品や『市場からの回収』もありますので、今までもお話しましたがISO9001とGMPの違いについては注意が必要です。

<ISO22716の要求項目>
①従業員 1) 組織 2)教育・訓練
②構造設備 1) 区域の種類 2)空間 3)動線 
4)床,璧,天井,窓 5)手洗い・トイレ設備  
6)照明 7)換気    8)パイプ,排水管及びダクト 9)清掃及び消毒 10)消耗品 11)防虫対策
③機器 1)機器の設計 2)据付け 3)校正 
4)清掃及び消毒 5)保守 6)消耗品 7)権限 
8)バックアップシステム
④原料及び包装材料 1)購入 2)受け入れ 3)識別及び状態 
4)出庫 5)保管 6)再評価 
7)生産で使用する水の品質
⑤生産 1)製造作業 2)包装作業
⑥最終製品 1)出荷 2)保管 3)出荷 4)返品
⑦品質管理試験室 1)試験方法 2)判定基準 3)結果 
4)規格外の結果 5)規格外の結果 
6)試薬,溶液,標準品,培地
7)サンプリング 8)保管サンプル
⑧規格外品の処理 1)不合格となった最終製品,バルク製品,原料及び包装材料 2)再加工した最終製品及びバルク製品
⑨廃棄 1)廃棄物の種類 2)動線 3)容器 4)処分
⑩委託 1)委託の種類 2)委託者 3)受託者 4)契約書
⑪逸脱  
⑫苦情及び回収 1)製品に関する苦情 2)製品の改修
⑬変更管理  
⑭内部監査 1)取組み方法 2)追跡調査
⑮文書化 1)文書の種類 2)記述,承認及び配付 3)改訂 4)文書の保管

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